みかん小説
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"消えた十一丁の鍬" 第10話

借りた鍬の値段

の修理が延びる方、の畑では仕事の遅れが目ち始めた。佐代は弥助の鍬を使えるようになったが、桑畑へ伝いにくと貸しの順番がなる。よそのの具は借りられても、必なに自由に使えるわけではない。彼女は信の帳面を見ながら、「具が空いていても、私の体はつに分けられないの」と言った。

お勢は女たちを集め、具の貸しではなく、仕事そのものを緒にう案をした。午は佐代の畦、午は弥助の芋畑という具に、と具をまとまってかす。それなら丁を何軒も渡り歩かせずに済む。最初は男たちも「女たちだけで勝に決めるな」とを挟んだが、で々の細かな仕事を担っているのは彼女らだった。

作業の打せに子どもたちまで連れてきたのは佐代だった。さな夫は端で芋を洗い、弥助の娘は皆のみを運ぶ。お勢は「働けるを増やすというのは、子どもに無理をさせることじゃない。が交代で見てやれるようにすることでもある」と話した。女たちはうなずき、畑へ入れないにもできる仕事を割り振った。信は初めて、農作業を支えるのは鍬を振るだけではないとった。

しかし共同作業が始まると、すぐ別の問題が起きた。佐代の田は際にあり、歩いていくだけでがかかる。

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方、の央にきな田を持つ槻のは、い移でくの面積を入れできる。「効率を考えたら、広い田からやるべきだ」と健が言った。佐代は黙り込んだ。効率だけを優先すれば、狭い田とさなはいつまでもになる。

信は午、を歩いて実際にかかるを測った。具を担いで歩く距、ぬかるみにを取られる、昼に子どもへ事をすために帰る。作業が遅いにはそれぞれ理由がある。「広い田から」という提案も違いではないが、それだけでは誰かの暮らしを切り捨ててしまう。信は図にだけでなく族の数をき加えた。

そこには歩くのが遅い老のことも、子を背負う母親のこともき込んだ。作業の順序が数字だけで決まらなくなるほど、のは複雑になっていった。だが以よりずっと現実にい図になった。

その夜、徳兵は佐代のへった。無断で刃を使った鍬の代わりに、まだ使える古い刃を持参したのである。刃は佐代のにしかったが、彼女は「これなら畑へ持っていける」と受け取った。ただし、それで許したわけではない。「次からは、勝に私の具のき先を決めないでね」とを押した。徳兵はくをげた。

へ戻る途、父子は用の脇でち止まった。

量はのあとで増え、仮に積んだ嚢がじっとり濡れている。信は「、軸の話がかなければ、別の補も考えよう」と言った。父は「鉄がりないのはだけじゃない。待つにも限りがある」と答えた。互いに違うことを考えていても、以のように相の言葉を遮らなくなっていた。

翌朝、健が慌ててへ来た。「の畑のが、借りた鍬を返さないと言っている。持ち主も譲らない。このままだと寄が割れるぞ」。信は帳面を閉じた。鉄の回収をめぐって始まった争いは、今や丁の鍬を誰が先に使うかという、もっとな争いに変わっていた。父が昔からで決めてきたことを、が自分たちで決める難しさに向きうが来ていた。

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