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"消えた十一丁の鍬" 第20話

丁の代わり

がづくと、鍛冶の炭はさらに貴になった。徳兵は炉を燃やすことをやめ、修理をまとめてうようにした。信はいで何丁直せるか計算し、すみが札を並べて順番を確認した。お勢はのを訪ね、借りた具をいつ返せるか話しった。以は父が決めていた仕事に、族と持ち主の声が入るようになっていた。

しかし丁を全て元通りにするのは難しかった。軸の鉄はの補に使い、農具の刃をしく作るための材料はわずかしか残っていない。徳兵は自分ので使ってきた古い刃を枚し、これを打ち直して先に返そうとした。信は刃のみを確かめ、使い方の違うには無理に渡さないと決めた。くて振れない鍬を返しても、形だけの弁償にしかならないからだった。

佐代のしい鍬ができたのは、初の便りが聞こえた頃だった。彼女は鍛冶で柄を握り、し振ってみた。「これなら使えるわ」。徳兵は「失くした物と同じにはできなかった。すまなかった」とをげた。佐代はしばらく黙っていたが、「同じじゃなくても、私が使っていけるならいい。でも残りのの分も忘れないでください」と答えた。

夫は鍬を受け取った母のそばで、柄に結ばれたしい紐を指さした。

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徳兵が持ち主の名を取り違えないように付けた札だった。佐代はそれをさず、「来のまでつけておくわ」と言った。自分の名のある具が戻ってきたことが、嬉しかったのかもしれない。信は子どもへ、鍬を持つは刃先をへ向けないことと、柄に割れ目があればすぐらせることを教えた。の具を預かる責任は、使うへ全な形で返して終わりではないとった。

佐代は鍬のさを確かめ、の裏にて掛けてから鍛冶へ戻ってきた。「今度は困ったに、ちゃんと相談に来ます」。徳兵は初めてし笑い、「それがよい」と答えた。

丁、丁と返していくうち、徳兵のはまた痛み始めた。ある、信が残りの札を数えると、まだ軒の名があった。具を返せずにいるへは、徳兵が畑仕事を伝うを決めていたが、になれば鍛冶も農も別の仕事が増える。失敗を償うには、謝るだけではりず、いを使うしかなかった。

信は修理札を数え直し、まだ残るへ伝いにくをき込んだ。は畑の仕事が減るが、薪や囲いの仕事は増える。刃を失わせた責任を引き受けるなら、になるまで待てとは言えなかった。

槻はの寄で、農具の修理を軒の鍛冶だけに任せてきたことを見直す案をした。

にある余分な柄や具を共し、預けたの仕事が止まらないよう、予備の具をしずつえる。じゅうが同じ物を持つ必はないが、壊れたに誰かが困らない備えはできるかもしれない。「供する鉄を考えるに、で必な鉄を確かめよう」。槻は初めて自分からそう言った。

夜、徳兵がへ戻ると、信は父の修理札を片づけていた。「あの、納へ隠さなければ、こんなに揉めなかったのかな」。信の問いに父はく答えなかった。「隠したことだけなら、別のやり方があった。だが、壊れたを放っておけなかった気持ちまで、嘘にはできん」。信はうなずいた。善いがあっても、勝にの物を使えば失敗する。そのことを忘れないためにも、札は捨てずに残しておこうとった。

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