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"大正十四年、卒業式で制服を脱いだ三十七人――母の署名に隠された秘密" 第15話

の靴

会の翌朝、枝は裁縫所へ来なかった。子どもがをし、朝から医者へ連れていったのだという。はるが配して訪ねると、枝のには薬代のために借りたのが置かれていた。彼女は目を伏せて、「桐が半分だけでも払ってくれるなら、もう残りは諦めたい」と言った。

はるはすぐに説得しなかった。枝にとって切なのは、来の学の仕組みよりも、今の子どものをげることだった。女たちが同じ額を待っているわけでも、同じ余裕を持っているわけでもない。その違いを認めなければ、皆で交渉することもできなかった。

そのの会では、宮裁縫所がつの提案をした。桐は既に買い取り希望のある着分について、代の受け取りをめる。そこで得たから、まず縫製所の未払い賃を定額支払ってもらう。残る着の布代については、学の援会と同窓会が引き受ける条件を決め、と分割の約束を交わす。

桐の主は厳しい顔をした。「売った分だけ先に支払えと言われても、うちは布の仕入れ代をまだ全部払っていない」。はるは「だから全部と言っていないんです。仕入れ先にも相談して、誰がどこまで待てるか、分けて決めたい」と答えた。

宗郎がそこでを挙げた。織物商としてのから、桐が仕入れ先へ支払いの期を改めて申し入れることは能ではないと説した。

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ただし自分が代わりに支払うつもりはなく、取引の責任は桐が負うべきだと言った。

居は最まで慎だった。「援会のは学のためのものだ。それを着のに使うなら、払ったたちへずつ説しなければならん」。志乃は「その説は私たち同窓会も伝います。その代わり、来から式を着るかどうかは、徒本が決められるようにしてください」と提案した。

そこで佐伯が静かにをいた。「今の徒たちが求めたのは、装をなくすことではありません。卒業のをの代で分けないことです。その決まりが変わるなら、来の徒たちもして選べます」。

会の結論は、そのもすべてはなかった。しかし桐は着分の代が入り次第、縫いたちへ部を先払いすることを文で約束した。は援会から必な費用を承認してもらうため、来週の臨会をくと決めた。

夕方、操とはるは枝のへ報告にった。枝は子どもの寝顔を確かめてから話を聞き、「しでも先に受け取れるなら助かる」と言った。はるは、彼女が同じ条件で最まで交渉に参加しなくても責めないと伝えた。「が必なことと、仕事をくしていいことは別だよ。受け取った分は記録に残して、あとで確かめよう」

。

帰り、操は靴の先でち止まった。さな子ども用の靴が並んでいる。母が式の仕事を受けた、になったら自分へしい靴を買ってやると言っていたことをいした。だが操はもう、そんな約束をにしようとはわなかった。

へ着くと、ちせが古い靴の底を直していた。操が「お母さん、しい靴はらないよ」と言うと、ちせは笑った。「るには買うさ。今は、る物を回しにしなくていいように、ちゃんと賃をもらう話をしてるんだから」。その言葉を聞き、操は自分たちの抗議がようやく暮らしの問題とつながった気がした。

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