"「片親の貧乏人」と息子を叩いた社長、母の正体を知って絶句" 第4話
母には円も渡さないで
私は現も働いている。
活に困っているわけでもないし、祥太から毎おを受け取ったことなど度もない。まして結婚に息子夫婦から仕送りをしてもらおうなどと考えたこともなかった。
「どうして若菜さんがそんな話を?」
「俺にも分からない」
祥太は困ったようにを掻いた。
「俺、母さんに仕送りするなんて言も言ってないんだ。でも若菜が急に、『結婚に約束して。お母さんに活費を渡さないって』って」
どうやら若菜は、以このへ来たの印象だけで、私が将来経済に祥太へ依すると考えたらしい。
「お母さんは今働けているけど、働けるわけじゃないでしょう」
若菜はそう言ったという。
「将来『活が苦しい』と言われても絶対助けないって約束して」
祥太はそれに違を覚えた。
「自分の親が困ったは助けたいって言ってるんだよ」
「若菜さんのご両親には?」
「うん。『親なんだから当然でしょ』って」
そこまで聞いて、私も黙り込んだ。
自分の親は助ける。しかし夫の母親には円も渡してほしくない。
単なる将来設計の話ではなさそうだった。
「母さんを嫌ってるんじゃないかってうんだ」
祥太がさく呟いた。
「俺の族を、自分のよりに見てる気がする」
私はすぐに結婚をやめろとは言わなかった。
広告
度の発言だけでを決めつけたくなかったし、何より祥太自が若菜を好きだったからだ。
「もう度ちゃんと話してみたら?」
「そうする」
その夜、祥太はし落ち着いた顔で帰っていった。
ところが、それから週。
私たち族にきな来事が起きた。
母から突然話がかかってきたのだ。
「桃、すぐ病院へ来て」
声が震えていた。
「お父さんが倒れたの」
父は会社で突然識を失い、救急搬送されていた。
私と祥太が病院へ駆けつけたには、母が処置ので震えていた。
「さっきまで普通だったのよ。朝もご飯をべて……」
私は母の背をさすりながら、何度もので祈った。
しかし、父が再び目をけることはなかった。
あまりにも突然だった。
昨まで話で仕事の相談をしていた父が、もういない。
しむも分ないまま、葬儀の準備が始まった。
その、最も私を支えてくれたのが祥太だった。
「母さんはばあちゃんのそばにいて。葬儀社との打ちわせ、俺もやるから」
自分だって好きな祖父を失ったばかりなのに、祥太は気丈に振るった。
父の葬儀には、くの社員や取引先が参列した。
私はそこで改めて、父がどれほどくのに支えられてきた経営者だったのかをった。
しかしだけ、違いな態度を取る男がいた。
副社の岡だった。
広告
「社もあっけなかったですね」
焼を終えた岡は、私のでく笑った。
「理ばかり語っていましたが、結局半ばですか」
「今、その話をする必がありますか?」
私が睨むと、岡は肩をすくめた。
「別に悪じゃありませんよ。ただ、これから会社がどうなるのか配しているだけです」
そして帰り際、を疑うような言葉を残した。
「これからは、今までのようにはいきませんよ。先代の無は私がらしますから」
岡と父が経営方針を巡って衝突することがあったのはっていた。
ただ、当の私は父をくしたばかりで、彼の言葉をく考える余裕がなかった。
それよりも気掛かりだったのは祥太だった。
実は父の葬儀のは、本来、祥太が若菜の実へ結婚挨拶にく予定だった。
内の幸だからと、に事を説して程を延期してもらったのだ。
相の両親も当然理解してくれたものだとっていた。
だが数、祥太から話が入った。
「母さん。若菜が、葬儀の程をずらせなかったのかってってるんだ」
を疑った。
さらに翌。
私のスマートフォンに、らない番号から通のメッセージが届いた。
送り主は若菜だった。
《どうして私の両親への結婚挨拶のに葬儀を入れたんですか?》
その文を読んだ瞬、以から抱えていた違が、はっきりとしたに変わった。
広告
おすすめ作品
-
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 72 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 159 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 91 -
完結第20話
高熱の娘を置き去りにした姉は、私の夫と不倫旅行中だった
結婚五年目の美和は、実の姉・麻里奈から生後十一か月の姪を十日間預けられる。ところが、姉が海外旅行へ出発した直後、幼い心ちゃんの容態が急変。必死に救急搬送する美和だったが、姉にも出張中の夫にも連絡がつかない。不審に思って姉のSNSを調べると、南国の写真に写り込んでいたのは、見覚えのある夫の腕時計だった。怒り|夫婦|親子関係|不倫1.8万字5 353 -
完結第10話
泥の作業着と誇り
高校卒業から十七年ぶりの同窓会。咲は、夫が農家だと話した途端、華やかな暮らしを自慢する同級生のレナから大勢の前で笑いものにされてしまう。「泥だらけの旦那なんて恥ずかしくないの?」心ない言葉に傷つきながらも、咲は「世界一自慢の夫よ」と言い返した。やがて、仕事帰りの夫・大地が泥のついた作業着で迎えに現れると、再び嘲笑が巻き起こる。しかし次の瞬間、幹事の西村が顔色を変え、夫に向かって深々と頭を下げた。誰も知らなかった大地の本当の姿が、少しずつ明らかになっていく。人生逆転|夫婦|真相|第二の人生|修羅場1.7万字5 347 -
完結第18話
離婚翌日、父と食事中の私を「また金持ちに寄生か」と笑った元夫の末路
結婚生活のすべてを一円単位で折半しながら、家事だけは妻に押しつけていた夫・亮介。「お前は寄生虫だ」と離婚を突きつけられた綾乃は、静かに別れを受け入れた。 その翌日、実父と高級ホテルで食事をしていると、偶然現れた亮介と不倫相手が「もう次の金持ちを捕まえたのか」と嘲笑する。因果応報|夫婦|真実|金銭問題|修羅場|不倫1.9万字5 285 -
完結第21話
赤ペンで消した夫
四十一歳の黒沢洋子は、出版社で腕を認められるベテラン校正者。編集長として出世した夫・和也を支え、七年間、穏やかな結婚生活を送ってきた。ところがある夜、夫から頼まれた若い女性作家の原稿に、見覚えのある文章を発見する。それは、かつて夫が洋子だけに囁いた愛の言葉だった。疑念を抱いた洋子が調べ始めると、原稿の裏には夫の不倫だけでは済まない重大な秘密が隠されていた。やがて和也は、女性作家との十日間の執筆合宿へ出発する。何も知らず帰宅を楽しみにする夫に、洋子は静かに最後の準備を進めていた。夫婦|真実|修羅場|不倫2.3万字5 337 -
完結第10話
産後七日目の決別
帝王切開からわずか七日。傷の痛みと貧血に苦しむ真帆に、夫の直人は「産んだ人が自分で育てればいい」と冷たく言い放った。生まれたばかりの娘を守るため、真帆は実家へ避難する。ところが直人と義母は、彼女を「産後うつで勝手に家出した妻」に仕立て上げ、親族に嘘を広め始めた。追い詰められた真帆は弁護士に相談し、あの日の暴言が記された助産師の記録を手に入れる。そして、夫の勤務先から届いた一通の回答書が、直人の主張を根底から覆そうとしていた――。夫婦|裡の顔|修羅場|不倫1.9万字5 416