みかん小説
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"元夫に投げつけられたカード、残高は一億五千万円" 第2話

畳の朝と油の匂い

午。まだ全体が群青のに包まれている、枕元の目覚まし計が鳴るに私は目を覚ます。

歳になった私の体は、昔のように無理が利かなくなっていた。え切った畳半の台所にち、素く顔を洗うと、まずは洗濯のスイッチを入れる。ガタゴトと規則正しい音が響くに、さなまな板ので蒼太の朝と、自分の昼用のお弁当の仕込みを始める。

には洗濯物をベランダの物干し竿に並べ、掃除をサッとらせる。バタバタとき回り、計の針が半を指したところで、ようやく息をえて寝へと向かった。

「蒼太、朝よ。起きなさい」

布団ので丸まっていたさな体が、モゾモゾとく。

「……ん……おはよう、お母さん」

学、歳になった蒼太は、眠そうに目を擦りながらも、ぐずることなく起きがってきた。

「今の朝ごはん、チーズホットサンドだよ。蒼太のリクエスト」

「やった! 本当? 急いで顔洗ってくる!」

パタパタと素で廊を駆けていく息子の背を見送りながら、私はさく微笑んだ。

この、シングルマザーとして必にってきた。実のくにあるさなアパートに居を構え、両親に甘え切ることもせず、自分のだけで息子を育てげるとに誓った。

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朝から晩まで働き詰めの々だったが、毎朝こうして息子の屈託のない笑顔を見られることだけが、私のきる支えだった。

卓に向かいって座ると、蒼太は美しそうにパンを頬張る。

その横顔を見るたび、私の胸の奥がチクリと痛むことがあった。通った筋、本を読むときにし眉を寄せる癖。成するにつれて、息子の姿はかつてした元夫・に驚くほど似通ってきていたからだ。

「お母さん、今のお仕事は何まで?」

「今はね、の械の定期点検があるから、午でおしまいなの。夕方には帰ってこられるよ」

「じゃあ、緒に図館にける?」

「ええ、もちろんよ。宿題を終わらせて待っててね」

「うん!」

元気よくランドセルを背負って玄関をていく息子の背にを振り、鍵を閉める。

静まり返った部ので、私はふと息をついた。

婚、私は隣の属加のラインとして正社員の職を得た。を卒業して以来、ずっと本の員としてしか働いてこなかった私にとって、ち並ぶ型械の油の匂いと容赦なく響く属音は、最初は耐え難い苦痛だった。指先は毎のように摩擦で豆だらけになり、爪のには黒い油汚れが染み付いて取れなくなった。

それでも、私は音を吐かなかった。自分のでち、息子に自由のない暮らしをさせたいというだけが、私を支えていた。

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「……さて、片付けをしてかける準備をしなきゃね」

今は平だが、は休みだ。の窓がいているにける貴なだった。

私は寝の箪笥の引きしをけ、番奥に押し込んであったさな巾着袋を取りした。から現れたのは、プラスチックの表面が擦れた、あの枚のキャッシュカード。

若。と暮らしていた、あの町にしかないさな方のカードだった。

というが流れ、蒼太も現実を理解し始めている。そろそろ、あの男との繋がりを完全に断ち切るべきが来ていた。座に残っているであろう端をすべて引きし、正式に解約続きを取る。

から受け取った屈辱の証を、こので完全に消しるために、私はぶりにあの町へと向かうに乗り込んだ。

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