"離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私" 第3話
分の卓
夕のになり、母に呼ばれて階へりると、族はすでに卓を囲んでいた。父はテレビのニュースを見たまま私へ目を向けず、健太も嫌そうに箸をかしている。由紀さんだけがちがり、「お久しぶりです」とお茶を入れてくれた。
焼き魚と煮物、噌汁。昔と変わらない母の料理のはずなのに、何をに運んでもが分からなかった。
誰も「お帰り」と言わない。そのことが、妙に胸へ引っかかった。
夫から婚を突きつけられ、帰る所を求めてたどり着いた娘に、もうし優しくしてくれてもいいのではないか。私は次第に腹がってきた。ここにいなかったとしても、自分だってこのの族ではないか。
「私だって、このの族でしょう」
い沈黙に耐えられず、私がそう言うと、健太の箸が止まった。
弟はゆっくり顔をげた。
「姉ちゃん、最に親父の病院へ付き添ったの、いつ?」
予の問いだった。
父が数に軽い脳梗塞を患い、今も定期に通院していることはっていた。しかし、誰が病院へ連れてっているのかまで考えたことはない。
「私はくにんでたし、向こうの庭もあったから……」
「じゃあ、母さんが膝を術したは?」
私は言葉に詰まった。
母が入院した、話で「丈夫?」と尋ねた。母はいつも通りるい声で「健太がいるから平気」
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と言った。だから私はして、見いにもかなかった。
「、台で根を直したは?」
健太はさらに続けた。
私は反射に言った。
「私だって、おは送ったでしょう」
その瞬、健太の顔が険しくなった。
「正に万円送ってきた話?」
私は何も言えなくなった。
毎、両親へ万円ほど送っていた。くに暮らす娘として、それなりに親孝をしているつもりだった。しかし根の修繕費、医療費、用品、での送迎、それらすべてと比べれば、私の万円など自己満にかった。
「を悪者みたいに言わないでよ」
声が震えた。
すると健太は卓へ両をついた。
「こっちはやってんだよ」
「?」
「俺と由紀がこのに入ってからだよ。親父が倒れて、母さんの膝が悪くなって、の修理が増えて、役所の続きも病院も全部やってきた。だ」
その数字のさに、私は黙り込んだ。
由紀さんが「健太、もういいから」と静かに止めた。
「よくないだろ。姉ちゃんは突然帰ってきて、自分も族だって言う。でも族って言うなら、こので何が起きてたか度でも見ようとしたのかよ」
父はテレビから目をそらさなかった。母は「今はもうべましょう」と必に取りなそうとした。
私はそれ以何も言えなかった。
事を終え、階へ戻ると、物置の隅に折り畳み式のシャワーチェアが置かれていることに気づいた。
父か母が呂で使っているものだろう。そばには介護用品の箱と、病院の名が印刷された封筒が積まれていた。
私はそれまで、そのどれもらなかった。
母に話をするたび、「こっちは丈夫」と聞いていた。
そして必ず続く言葉があった。
「健太がくにいるからね」
私はそれを聞くたびにした。
弟がくにいるなら、自分が何もしなくても丈夫だと。
暗い部での残をけば、そこにはを変えられるほどの数字がある。それでも今、こので起きていることのでは、その数字がひどくさく見えた。
億円を渡せば、健太はぶだろうか。
のりは消えるのだろうか。
考えれば考えるほど、答えは逆の方向へざかっていった。
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