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"出征前夜、夫から突然の離縁状――日記に隠された本心" 第10話

終戦

のある、町の空気が変わった。

々がラジオのあるへ集まり、誰もが黙って放送を聞いた。

戦争が終わった。

そのを、私はすぐにはみ込めなかった。

終わった。

ならば、帰ってくる。

最初にそうった。

町のあちこちでも同じ期待が膨らんだ。

夫が、息子が、父親が帰る。

駅へけば、復員してきた男たちを待つがいた。

私は毎のように駅へった。

汽が着くたび、胸が鳴る。

痩せた男たちが荷物を抱えてりてくる。

族が駆け寄る。

泣き声と笑い声が入り混じる。

私はしれた所から、の顔を見た。

淳さんはいなかった。

翌も。

その翌も。

週。

か。

になっても帰らなかった。

「すぐには帰れないもいるそうだよ」

志乃さんが励ましてくれた。

私も頷いた。

分かっている。

い所にいるはがかかる。

怪をしていれば、もっと遅れるかもしれない。

それでも、戦争が終わるよりはくなった。

終わったのに帰ってこない。

その事実が、しずつを削った。

役所へ何度も問いわせた。

返ってくるのは「確認」という答えだけだった。

。

所。

その文字を見るたび、胸がたくなった。

叔母は終戦からかほどして、久しぶりに現れた。

以ほどい調ではなかった。

「キヌ」

「はい」

「もう、いいんじゃないかい」

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は分かっていた。

「何がですか」

「あんたもを過ぎた。いつ帰るか分からない男を待って、この先どうする」

私は答えなかった。

叔母は座敷を見回した。

「このだって、いつまでもで守れるものじゃないよ」

「守ります」

「何?」

初めて、返事に詰まった。

。

。

。

私はどこまで待てるのだろう。

自分でも分からなかった。

叔母はそれを見逃さなかった。

「野さんだって、あんたに待つなと言ったんだろう」

私は顔をげた。

「どうしてっているんですか」

叔母は瞬黙った。

「に本から聞いたよ。征のに、あんたを実へ返すって」

その瞬、胸ので何かが引っかかった。

「いつ?」

「何が」

「旦様は、いつ叔母さんに話したんですか」

叔母は目を逸らした。

私は待った。

やがて叔母が面倒そうに言った。

「召集令状が来た翌だよ。あのがうちへ来たんだ」

らなかった。

淳さんは征、叔母に会っていた。

「何を話したんですか」

「別に」

「教えてください」

「昔のことだよ」

「お願いします」

い沈黙のあと、叔母はため息をついた。

「野さんはね、私にを渡したんだよ」

私はを疑った。

「お?」

「あんたをしばらく置いてほしいって。そのでべさせてくれってさ」

息が止まった。

淳さんは私に「実へ帰れ」と言った。

だが私が戻ったあと、叔母の負担にならないようまで用していた。

「どのくらいですか」

叔母は答えなかった。

「叔母さん」

「もう使ったよ!」

苛ったように叫んだ。

「何ものことだ。今さらどうするんだい」

私はその言葉を聞いても鳴らなかった。

ただ、ようやく分かった。

淳さんは私をざけるためだけに縁したのではない。

縁したあと私が困らないところまで、全部考えていた。

そしてその夜。

私は久しぶりに記をいた。

最の方に、まだ読んでいない頁が枚残っていることに気づいた。

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