"昭和46年、優勝した妻に夫が告げた「帰るな」" 第9話
払えない
教は週の試期を過ぎ、子は利用料を支払うために会計をまとめた。参加費を受け取ったは欄に印をつけ、会へ払ったは別に記した。にくいた、計簿はつけていても自分の働きに値段をつけたことはなかった。に残ったのは、もうけと呼ぶにはさすぎる額だった。それでも続けたいというは増えていた。
問題は、毎回同じが来られるわけではないことだった。初枝はが忙しい週には来られず、京子は百が仕入れで忙しい朝には抜ける。参加費を額にすれば来られないが損をし、回ごとにすれば会の支払いが定しない。子はつの料を考えたが、栗田から「にも決まった費用があります」と釘を刺された。
その頃、澄子が週続けて参加費を払わなかった。忘れたのかとい、子は終わったでそっと声をかけた。「今度でええですよ」。澄子は瞬表をくし、「次は必ず」と言った。しかし翌週も財布をさない。ほかの参加者が「澄子さんだけ無料なんですか」と尋ねた、子はごまかしてしまった。「し事があって」。それがまずかった。
京子は教の帰りに子を引き留めた。「私もが苦しいはある。それでも払ってる。誰かを助けたいなら、最初から皆に言うて相談してほしい」
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。子は反論できなかった。自分だけが良いになろうとして、のに負担を押しつけていたのである。会計を見せると、桂子も同じことを言った。「あんたが払ってあげるなら勝やけど、それを会のからしてはいかん」
皆を集める、子は末の領収を並べてみた。机のには靴の貸し代、会代、代が順に置かれ、そこに会費の欠けたところがつだけ見える。誰かを名指しするためではなく、この欠けた分を誰が負担しているのか分かるようにしたかった。自分の賞から払った分も赤鉛でいた。京子がそれを見て「黙ってしてくれてたんやね」と言った、子は「その方が簡単やとってた」と答えた。だが簡単な方法ほど、から誰かの満になることがある。
子は澄子ときりで話した。澄子は夫の入院費がなり、で受け取るのほとんどをへ入れていた。「来たい気持ちが先にってしまった。ごめんなさい」。子は謝罪を受け、過の分は自分の賞からて替えると約束した。しかしそのままでは問題は続く。翌週、教の皆に会計を見せたうえで、参加できないへの支援をどうするか話しった。
初枝がな提案をした。「入れ替わりで伝った分、次の回をくしてもらうのはどうです」。靴を揃える、受付をする、初めて来たへ説する。
すべて子と青柳だけでやってきた仕事である。ただしボウリングの指導や械の点検は素にはできない。栗田と相談し、伝いの内容と料を確にした。澄子は「それなら私、名簿の理ならできます」と申した。
信夫はその話を取引先の妻から聞き、気まずくなった。では子がしていた洗濯や事の準備を、伝いではなく当然の役目と考えていた。しかし妻の教では、靴を揃える仕事にまで価値がつけられている。信夫は台所にち、買ってきた根を切った。娘はその包丁を見て「すぎる」と言ったが、取りげはしなかった。父が作った煮物はが濃かった。それでもで最までべた。
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