"夫の愛人を家に招いた義母、3日後の悲鳴" 第8話
分のパッキング
寝に入った桜は、内のメイン照を点けなかった。 から井まで広がるパノラマウィンドウの向こう、京タワーとレインボーブリッジが放つ無数のネオンのだけが、静寂に包まれた部を青く照らししていた。
桜は迷うことなく、壁面に広がる型ウォークインクローゼットの扉をけ放った。 最段のラゲッジスペースから引きずりしたのは、世界をび回るビジネスの相棒である、リモワのシルバーアルミニウム製型スーツケース。 バチン、バチンと気よい属音をててロックをし、無垢材のフローリングのにきく広げた。
桜の作には、切の躊躇も迷いもなかった。 まず向かったのは、ベッドサイドテーブルの奥に隠された型の防庫だった。 体認証でロックを解除し、から取りしたのは、パスポート、資系のセキュリティトークン、そして通の分い茶封筒。
その封筒のこそ、の入籍直、渉法律事務所の敏腕弁護士のによって作成された【婚契約(公正証)】だった。 そこには、確に記されていた。 『本物件(豊洲タワーマンション)の取得に際し、全額を藤堂桜が拠し、以のローン返済も同の単独座よりうものとする。
広告
婚姻期および婚において、本物件は藤堂桜の完全なる特財産であり、夫・拓也には切の財産分与請求権がしないことを確認する』
桜はその契約の正本と登記識別報通(権利証)を防ケースに収め、スーツケースの底へと滑り込ませた。
続いて、ビルトインのジュエリーボックス。 代から自らの稼ぎで購入してきた、カルティエやヴァンクリーフ&アーペルのハイジュエリーコレクション。ケースごと、無駄なく隙にパッキングしていく。
そしてクローゼット。 部着やカジュアルなには目もくれなかった。 国際会議やな商談で着用する、完璧に仕てられた数着のオーダーメイドスーツと、質なシルクのブラウス。靴箱から、ルブタンとジミーチュウの勝負ヒールを。 エルメスのバーキンとケリー、そして常使いのシャネルのマトラッセ。 最に、デスクのから会社支の固な暗号化セキュリティが施されたノートパソコンと充器を回収し、ブリーフケースに収めた。
パッキングにしたは、わずか分。
ジッパーを引きげ、スーツケースのロックをカチリと閉めた瞬、リビングの方から幸子の品な笑い声が、廊を伝って微かに漏れ聞こえてきた。
『……だからね、今度の連休は拓也に頼んで、あんたをの級温泉旅館に連れてかせなさいよ! あの女は張ばっかりで、拓也をずっと放ったらかしにしてたんだから、これからはあんたがしっかり癒してあげなきゃねえ!』
桜は静かに目を閉じ、く息を吸い込んだ。 このの結婚活。 拓也の自尊を満たすために差しし続けた数千万円の資。 義母の傲な浪費を支えるために削り続けた自分の眠とプライド。 「私がすれば庭は回る」とい込んでいた、自らの愚かさと呪縛。
目をけた、桜の瞳から、未練やけの欠片は完全に消え失せていた。 残っていたのは、商数百億の事業を徹にかす、アジア統括役員としての研ぎ澄まされた刃のような理性だけだった。
スーツケースのテレスコープハンドルを握り、力く引きげる。 輪がフローリングを転がる質な音が、静寂の部に、反撃の号砲のように響き渡った。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
7年伸ばした髪を妹に切られた日、婚約者まで笑った
七年間大切に伸ばしてきた髪を、妹の美緒に突然切り落とされた凛。ところが両親も婚約者の修も、泣きそうな彼女を見て笑うばかり。それどころか、凛が泣き出すまでの時間を賭けていた。 長年、家族のために自分の希望を諦めてきた凛は、ついに婚約を破棄し、遠く福岡への転勤を決意する。 だが、彼女が去ったあと、家族が遊び半分で撮影していた動画から、思いがけない事実が明らかになっていく。 失った七年間を取り戻すように、新しい人生を歩み始めた凛。彼女を笑い続けた人々を待ち受ける結末とは――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|真相|第二の人生2.9万字5 6 -
完結第16話
義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した
結婚七年目の栗原早苗は、夫・正吾から突然、義実家での同居を告げられる。相談もなく決められた引っ越しに加え、義母からは朝食作りや洗濯、義父の弁当まで押しつけられることに。 何度反対しても、夫は「そのうち慣れる」と聞く耳を持たず、勝手に今のマンションまで解約してしまう。 追い詰められた早苗は、夫に内緒で自分だけの新居を契約。そして迎えた引っ越し当日、二台のトラックが別々の住所へ向かう。 義母からの三十件を超える着信。何も知らない夫が「荷物は全部運んだよな?」と尋ねたとき、早苗の静かな反撃が始まる。裡切られた|嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場2.1万字5 39 -
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 1610 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 491 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 907 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 1876