"夫の愛人を家に招いた義母、3日後の悲鳴" 第17話
裁判所のまみれの願
裁判所のな正面玄関をた瞬、の澄み渡った青空から、眩いばかりの陽がり注いできた。 桜がパーキングにめてあったベンツへ向かおうとしたその、背から狂乱した音が駆け寄ってきた。
「桜ちゃん! 桜ちゃん、待って! お願いだから、話を聞いてちょうだい!」
振り返ると、そこにいたのは義母の幸子だった。 かつてバーバリーのコートを翻して座を闊歩していた姿はどこにもない。 毛玉だらけの古びたセーターに、汚れたスニーカー。髪が乱れ、わずかヶで歳も老け込んだような老婆が、桜ののに両膝を突いて倒れ込んだ。
「桜ちゃん……私が悪かったわ! この通りよ、許してちょうだい!」 幸子はアスファルトに額を擦り付け、両を必に揉みわせながら泣き叫んだ。 通りかかる弁護士や裁判所職員たちが、眉をひそめてを止める。
「タワマンをてくのは分かったわ! 拓也の借も、あの子に働かせて返させればいい! でもね……私のむ所だけは、何とかしてちょうだいよ! 毎万のお遣いも止められて、あのカードも使えなくて、私、今夜べるパンを買うおすら円もないのよ!」
幸子は顔をげ、涙とでぐしゃぐしゃになった顔を歪ませた。 「お願いだから、都内のワンルームでいいから、さなアパートの賃を払ってちょうだい! 私、青森のド田舎になんて絶対に帰りたくないのよ! あそこははに埋もれるし、実のボロは漏りするし……あんなところに戻ったら、親戚から『京でセレブ気取りしてたバカな母親』ってろ指を指されてんじゃうわよ!」
広告
桜はのドアハンドルにをかけたまま、元で蠢く老婆を、氷のようにたい差しで見ろしていた。
ふと、脳裏をよぎる記憶。 仕事で夜に帰り、え切った牛脂の浮いた鍋を見ていた自分。 パントリーの片隅で、百円のカップ麺をすすっていた自分。 その横で、「息子の親孝で座へく」と勝ち誇っていたこの女の傲な顔。 に松坂牛を取り分け、「あんたはロボットだ、本妻の座を譲れ」と唾をばして叫んでいたあの夜の姿。
桜はのドアをけた。 そして、面に平伏する幸子にだけ聞こえるよう、く、透き通った声で宣告した。
「幸子さん。そもそも、この都会の京に、あなたが自力でてる所なんて、最初からミリもしなかったのですよ」
幸子の呼吸が止まった。 「あなたが『セレブな社の母』気取りでふんぞり返ってきてこられたのは、でもない、私が自分のと健康を削り、血を流してあなたに与えていたからです」
桜は運転席に乗り込み、パワーウィンドウを半分だけげて見ろした。 「甘い寄のは、もう終わりました。……ご自のの丈にった、国の寒のへお帰りなさい」
ウィーンと音をてて、黒いスモークガラスが完全に閉ざされた。 ベンツは滑らかな加速で比通りへとりし、バックミラーので泣き叫びながらを伸ばす老婆の姿は、あっというにさくなり、の蜃気楼のへと消えっていった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
7年伸ばした髪を妹に切られた日、婚約者まで笑った
七年間大切に伸ばしてきた髪を、妹の美緒に突然切り落とされた凛。ところが両親も婚約者の修も、泣きそうな彼女を見て笑うばかり。それどころか、凛が泣き出すまでの時間を賭けていた。 長年、家族のために自分の希望を諦めてきた凛は、ついに婚約を破棄し、遠く福岡への転勤を決意する。 だが、彼女が去ったあと、家族が遊び半分で撮影していた動画から、思いがけない事実が明らかになっていく。 失った七年間を取り戻すように、新しい人生を歩み始めた凛。彼女を笑い続けた人々を待ち受ける結末とは――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|真相|第二の人生2.9万字5 6 -
完結第16話
義実家同居を勝手に決めた夫、私は別の新居へ引っ越した
結婚七年目の栗原早苗は、夫・正吾から突然、義実家での同居を告げられる。相談もなく決められた引っ越しに加え、義母からは朝食作りや洗濯、義父の弁当まで押しつけられることに。 何度反対しても、夫は「そのうち慣れる」と聞く耳を持たず、勝手に今のマンションまで解約してしまう。 追い詰められた早苗は、夫に内緒で自分だけの新居を契約。そして迎えた引っ越し当日、二台のトラックが別々の住所へ向かう。 義母からの三十件を超える着信。何も知らない夫が「荷物は全部運んだよな?」と尋ねたとき、早苗の静かな反撃が始まる。裡切られた|嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場2.1万字5 39 -
完結第20話
四十九日の絶縁
夫を突然亡くした三十七歳の裕子。悲しみに暮れる間もなく迎えた四十九日法要の日、帰宅した彼女を待っていたのは、ゴミ捨て場に放り出された自分の荷物だった。「息子が死んだら嫁は赤の他人よ!」そう言い放つ姑は、さらに幼い二人の子供まで裕子から引き離そうとする。だが、姑が三歳の息子だけを異常に可愛がる裏には、恐ろしい計画が隠されていた。子供たちを守るため、裕子は静かに反撃の準備を始める。そして数か月後、助けを求めて電話してきた姑に、裕子が告げた言葉とは――。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|裡の顔|介護2.3万字5 1610 -
完結第13話
俺を睨む「氷の女」が、双子の前で笑った日
妹を事故で亡くし、遺された六歳の双子を男手一つで育てる伊吹公平。仕事と育児に追われる毎日の中、彼が最も苦手としていたのは、職場で「氷の女」と恐れられる経理主任・桐谷エリカだった。ところがある日、保育園へ迎えに行った公平は、娘たちに囲まれて優しく微笑むエリカの姿を目撃する。しかも、誰にも甘えようとしなかった内気な妹・りこが、彼女の服を握って離さない。冷たい視線の裏に隠されていた意外な素顔。そして、少しずつ変わり始める三人の暮らし。孤独を抱えた大人たちと、小さな双子が紡ぐ、温かな家族の物語。人生逆転|兄弟姉妹|裡の顔|親子関係|金銭問題1.9万字5 491 -
完結第18話
離婚翌日に6億円当選、実家で弟に「居場所はない」と拒絶された私
十五年間の結婚生活を終え、四十二歳で一人になった沙耶。途方に暮れていた彼女に、突然、六億円を超える宝くじの当選という奇跡が訪れる。両親を助け、人生をやり直そうと実家へ帰った沙耶だったが、弟の健太は「この家に姉ちゃんの居場所はない」と冷たく言い放った。理由も分からず傷つく沙耶。しかし、弟夫婦が十二年間背負ってきた現実を知り、彼女の考えは大きく揺らぎ始める。さらに当選を打ち明けた夜、健太が突きつけた一言が、家族の隠してきた本音を浮かび上がらせる。六億円があっても取り戻せないものとは――。人生逆転|兄弟姉妹|親子関係|金銭問題1.8万字5 907 -
完結第20話
「息子が高熱なのに来い!」夫一家に185万円の請求書を押しつけられた私の正体
夫と義家族から「何もできない専業主婦」と見下され、金銭まで搾り取られてきた松岡美央。しかし彼女には、世界的なホテルグループの最高責任者という、誰にも明かしていない秘密があった。ある夜、高熱を出した息子を看病していると、義母から三十件以上の着信が届く。「緊急事態だから今すぐ来なさい!」慌ててホテルへ駆けつけた美央を待っていたのは、豪華な食事を楽しむ夫一家と、185万円もの請求書だった。裡切られた|怒り|嫁姑|夫婦|親子関係|修羅場2.6万字5 1876