みかん小説
本棚

"7年伸ばした髪を妹に切られた日、婚約者まで笑った" 第3話

っていた

翌朝、私は事部に赴任承諾を提し、居と通勤当の続きを始めた。福岡支社には単者用の借りげ宅があり、入居できるのはだという。今の部署では私が担当していた保守案件がつあったので、同僚に引き継ぎ資料を渡し、顧客ごとの連絡先と未解決事項を覧にした。誰かを困らせるためにるのではない。仕事だけは、最まで自分の責任で終えたかった。

昼休み、修から「まだってるのか」と話が来た。「昨、美緒が怖くて眠れなかったそうだ。姉なんだから、いつまでもを張るなよ」と言う。私は元の資料を閉じて、「どうして美緒が怖がるの」と聞いた。修は「おが本気でったからだろ。あいつはが悪いだけで、悪気はない」と答えた。悪気がないは、の涙に賭けたりしない。

「修、あののことをからっていたの?」

彼はしばらく黙ったあと、面倒そうに息を吐いた。「何をすれば凛が番るかって、美緒に聞かれたんだよ。適当に髪って答えた。まさか本当に切るとはわなかった」。私は子の背に指をかけた。修がっていたのは、私が髪を切にしていた理由だけではない。どう傷つければ私が番苦しむか、その答えを妹に渡していたのだ。

「っていて、止めなかったんだね」

「だから、そこまで刻に考えるなって。

広告

おはいつも静すぎるだろ。焦った顔を見せると、やっとらしくなるんだよ」

私ののに、の顔わせの夜が戻ってきた。修の両親に初めて会ったとき、私はいワンピースを着ていた。事、修の母親が何度も私の背に線を送っていた理由を、帰宅してからった。スカートのろには赤いできなハートが描かれていた。美緒は「うっかり触っただけ」と言い、修は「相のご両親も笑っていたから丈夫」と慰めた。けれど、私はあの夜、を洗いながら声を殺して泣いた。

「のも、あなたが教えたの?」

修は「何で今さらそんな話をするんだ」と言った。私はもう度尋ねた。すると彼は「美緒が何か面いことをしたいって言うから、いは汚れが目つって話しただけだ」と答えた。何気ない助言だと彼はっているのかもしれない。しかし私のいところをるが、その識を笑いの材料として別のに渡した事実は変わらない。

「末の事会のこと、し考えたい」

「気が済んだら写真を撮り直そう。今度はい髪にうを選べばいい」

話を切り、私は婚約披を予定していた会に連絡した。予約名義は私で、申込も私の座から支払っている。キャンセル規定を確認すると、今なら数料だけで取り消せるという。

広告

担当者は「お相様のご確認は必ですか」と丁寧に尋ねた。私は「予約者として、私の責任で取り消します」と答え、確認メールを保した。婚約そのものについては、修にも文でを伝えるつもりだった。

その夜、私はの写真を見返した。修が笑っている写真はたくさんあるのに、私がから笑っている写真を探すのは難しかった。美緒がふざけ、修がそれを面がり、私が困った顔をしている。何度も見慣れた構図だった。私は婚約指輪を箱に戻し、封筒に入れて机の奥へ置いた。

写真のには、私が誕の事を作ったあと、美緒にケーキを崩されて困っている面もあった。修はその写真を「族らしくていい」と保していた。私が台所で片づけをしている、彼らは笑いながら次のいたずらを相談していたのだろう。画面を閉じると、静かな部に蔵庫の音だけが残った。

そして、ひとつの決断をした。福岡へくことを族に告げるのは、発する朝にしよう。話しう余を残せば、また私が折れるまで全員で説得する。もう度同じことを繰り返すは、私には残っていなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: