"7年伸ばした髪を妹に切られた日、婚約者まで笑った" 第15話
止める権利
第期の拡運用が始まってか、予していなかった障害が起きた。夜に更される連携先の報が部反映されず、翌朝の画面に古い病報が残ったのだ。監担当の佐伯が異常を検し、私に連絡したのは午過ぎだった。私はすぐに連携を止する判断をし、現には代替の話確認順を案内するよう瀬に依頼した。
会社に着くと、営業の黒田が「せっかく増やした利用施設を止めるなんて、損失がきすぎる」と言った。私は障害の記録を見せ、「古い報を正しいものとして表示する方が危険です」と説した。津田さんは止判断を支持し、技術部には原因調査を、私には構側への説を任せた。予定していた発表会は延期になったが、利用者への案内を先にしたことで、混乱は最限に抑えられた。
原因は、部から送られるデータの項目が予告なく変更されたことと、こちらの検条件が分ではなかったことの組みわせだった。相先だけを責めることはできない。私は佐伯に「見つけてくれて助かった」と伝え、検できた点からの記録を残すよう頼んだ。彼は「止めたらられるとって、し迷いました」と打ちけた。私は「迷ったら止めていい。そのために基準を作ったんだから」
広告
と答えた。
佐伯は以、別の現で具を報告したが責められた経験を話した。私はその話を聞き、技術の問題だけではなく、報告できる空気を作らなければ同じことが起こるとった。次の会議では、障害をく見つけた担当者を責めないことを、運用の原則として文化した。
実証試験を急いだころ、私自も止める判断を怖がっていた。予定を守れなければ期待を裏切るとい、問題をさく見せたくなる瞬もあった。だからこそ、個の勇気だけに頼らない仕組みが必だった。止基準を先に決めておけば、現の担当者がで責任を背負わずに済む。私はそのことを報告にも記した。
佐伯は監画面の改善案を自分から持ってきた。夜担当者がで判断を抱え込まないよう、連絡先と止順を画面で見られるようにするという。私は採用を決め、次の訓練で試すことにした。失敗を隠さないが報われる仕組みを作ることも、責任者の役割なのだとった。
復旧までの、私はほとんど会議にいた。誰が何を確認したか、次の判断を誰がするかを確にし、休憩を取れるよう交代員を増やした。以の私は、自分が全部抱えればく終わるとっていた。けれど責任者が倒れれば、判断するがいなくなる。
広告
自分での用事を背負っていたころとは違い、ここでは任せることも仕事の部だった。
障害報告会で、理事は厳しい顔で質問をねた。「なぜ拡を止めたのか」「再発を防げるのか」。私は具の経緯と改善策を示し、監条件を増やすこと、変更通を契約の義務として理すること、現の代替順を定期に訓練することを提案した。理事は最に「隠さず止めた判断を評価する」と言い、改善計画を承認した。
会議が終わった夜、瀬は私に「今は何かべましたか」と尋ねた。私は考えてから「朝、パンをつだけ」と答えた。彼は「じゃあ、仕事の話をしない夕にしませんか」と言った。私は瞬迷ったが、は休みで、彼と話すを楽しみにしている自分に気づいた。は駅のさな定に入り、仕事の話ではなく、好きな本や旅先の話をした。
「凛さんは、どこへってみたいですか」
私はすぐには答えられなかった。族旅では父の好み、修との旅では彼の予定を優先してきたからだ。し考えて「のを見たいです。がないところで」と言うと、瀬は「いいですね。寒いけれど、静かそうだ」と答えた。次の休みに連れていくとも、勝に計画するとも言わなかった。ただ私の希望を、ひとつの希望として受け取ってくれた。
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
妹の手術前に「家族やめれば?」――私はドナーを辞退した
幼い頃から父と継母に冷遇され、妹・直美の引き立て役として育った広美。家を出て新体操の夢を追っていた彼女は、重い肺の病気を患う妹を救うため、生体肺移植のドナー候補になることを決意する。 ところが手術前の食事会で、広美の席だけが用意されていなかった。 「なんで来たの? 家族やめれば?」 妹の冷酷な一言をきっかけに、広美は臓器提供を辞退する。さらに病院で見つかったのは、身に覚えのない署名がされた同意書だった。 家族の裏切りと隠された不正に向き合い、広美は自分の人生と夢を取り戻せるのか。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係2.9万字5 0 -
完結第20話
借金3億の旅館を継いだ私を捨てた夫の誤算
父の急逝により、43歳の真帆が引き継ぐことになったのは、信州の古びた温泉旅館と約3億円の借金だった。夫の拓也は「貧乏になる前に離婚してくれ」と冷たく言い放ち、ただ一人、17歳の息子・勇気だけが母について行くと決める。 亡き父の宿を守ろうとする真帆だったが、遺された宿日誌から夫の恐ろしい裏切りが発覚。さらに離婚協議では、16年間つけ続けた家計簿が思わぬ反撃の切り札となる。 夫に見捨てられた母と息子は、3億円の借金を抱えた旅館で新たな人生を切り開けるのか――。人生逆転|真実|孤獨|親子関係2.4万字5 0 -
完結第16話
庭付き新居に押しかける長男夫婦、引越し当日に絶句
夫を亡くした62歳の田所美津子は、長年暮らした家を売り、菜園付きの一軒家で新生活を始めようとしていた。 ところが長男の琢磨と嫁の真理亜は、相談もなく同居を宣言。「断るなら一生介護しない」と脅しまでかけてくる。 夫の葬儀で遺産を要求された美津子は、もう息子に振り回されないと決意していた。 長女の美香と密かに進めていたのは、誰にも知らせていないもう一つの引っ越し計画。 何台ものトラックを連ね、当然のように新居へ乗り込んだ長男夫婦。だが引っ越し当日、二人は思いもよらない事実を知ることになる――。人生逆転|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|介護2.4万字5 0 -
完結第10話
義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私
34歳の藤崎菜央は、義父の古希祝いのため、親族57人の食事会を一人で準備し、手付金30万円も立て替えていた。ところが当日、会場に用意されていたのは55人分の席だけ。消されていたのは、菜央と13歳の娘・小春の席だった。 義妹と義母は「連れ子は家族ではない」と言い放ち、夫の啓介さえ娘をかばおうとしない。 菜央はホテルの支配人に「予約名義は私です」と告げ、契約の名義変更を求める。だが、本当の裏切りは三日前の予約変更記録に隠されていた――。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場1.4万字5 1 -
完結第14話
「3月末に出ていけ」離婚を迫る夫が知らない真実
結婚17年目、42歳の立花伊佐美は、単身赴任中の夫・秀哉から突然離婚を突きつけられた。 「3月末までに息子と家を出ていけ」 長年家庭を支えてきた妻に、夫はわずかな解決金しか渡さないと言い放つ。ところが、赴任先を訪れた伊佐美は、夫が別の女性と6歳の息子を育て、もう一つの家庭を築いていた事実を知る。 絶望する伊佐美に手を差し伸べたのは、夫と不仲だった義父・信造だった。 そして3月28日。新しい妻子を連れて家を奪いに来た秀哉は、まだ知らなかった。自分の知らないところで、すべてが変わっていたことを――。夫婦|真実|親子関係|修羅場|不倫1.9万字5 2 -
完結第20話
「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断
義父の死後、義母との同居を始めて十年。40歳の香織は仕事と育児を両立しながら、家事も義母の世話も一人で担ってきた。 しかし義父の法事の日、義母は親族の前で「遺産は全部娘に渡す。嫁には一円もやらない」と笑いながら宣言する。 限界を迎えた香織が「では出ていきます」と告げると、夫も五歳の息子も一緒に家を出ることを決意。 三人が去った途端、義母の生活は崩れ始める。さらに、香織が十年間隠し持っていた亡き義父のノートには、誰も知らない前田家の秘密が記されていた――。人生逆転|嫁姑|介護|金銭問題2.4万字5 3 -
完結第22話
離婚裁判で7歳の娘が見せた秘密の映像
夫の健太郎から突然離婚を突きつけられた詩音。七歳の娘・柚月の親権も、自分が貯金を出した家も奪われようとしていた。 夫が提出したのは、詩音を「母親失格」に仕立てる写真と専門家の意見書。しかし、資料の矛盾や消えた預金を調べるうちに、夫の隠された計画が浮かび上がる。 そんな中、柚月は画面の割れた古いタブレットを頑なに手放そうとしなかった。 そして裁判の日、娘が口にした思いがけない言葉。 「裁判長、ママも知らないもの、見せていい?」 七歳の娘が守り続けていた秘密とは――。人生逆転|夫婦|裡の顔|親子関係3.1万字5 16