"離婚裁判で7歳の娘が見せた秘密の映像" 第19話
娘に背負わせたもの
休廷、藤先は私にを渡した。「画の内容はです。ただし、これでそのですべて決まるわけではありません」。私はうなずいた。相方には説の会があり、資の流れや類の作成経緯も調べる必がある。私が番気になっていたのは裁判の結果ではなく、娘が画の最に何を見たのかだった。観葉植物ので息を殺した柚が、父親に見つからなかったか、そればかり考えていた。
、調査官を通じて分かったことがある。あの夜、柚はをもうと階へり、らない女性の声を聞いた。父親が「ママはだめなだ」と話すのを聞き、以から遊びで使っていたタブレットの録画能を押したという。録画、元に置いていたぬいぐるみが倒れ、葉が揺れた。柚は慌てて端末を止め、階へ戻った。健太郎は気づかず、翌になって古い端末を処分しようとした。
柚は画面にひびが入っても、録画したものが消えないことをっていた。父親がしいタブレットを買ったも、古い方を捨てたくないと言った。母親に見せようと何度もったが、私が泣いているのを見るたびに言えなくなったという。学のカウンセラーに相談できたのは、佐伯先が「困ったことはに話していい」と言い続けてくれたからだった。
広告
カウンセラーからは、柚がしばらく物音に敏になるかもしれないと聞いた。私は夜に突然きな音をてないよう気をつけ、娘が眠れないには本を読んだ。何度も同じ面を説させることは避け、学にも必な範囲だけを共した。裁判に役つ話をもっと聞きたいとうほど、娘にとって今必なことは別にあると自分に言い聞かせた。
私はその話を聞いて、娘に謝りたいとった。しかし藤先は「まず、柚さんに責任をじさせないことです」と助言した。私はに帰り、娘の好きなうどんを作った。事の途、柚が「画、見た?」と聞いた。私は「見たよ」と答えた。娘は箸を置き、私の顔を確かめた。「ママ、泣いてる?」。私はし笑って「しかった。でも、柚が悪いからじゃないよ」と言った。
「柚、パパがるとった。でも、ママが悪いって言われるの、嫌だった」
私は娘を抱きしめた。ありがとうと言いたかったが、それだけでは娘が正義のために苦しい役目を果たしたとじてしまうかもしれない。「怖いいをしたね。もうで持たなくていいよ」と言うと、柚は初めて声をげて泣いた。私は背をさすり、泣きやむまで何も聞かなかった。歳の娘がの嘘を暴いたことより、歳らしく泣ける所を取り戻せたことの方が切だった。
広告
裁判では、画の保状態や撮についての確認がんだ。端末内の元データと複製の内容は致し、途で自然に切り貼りされた形跡も見つからなかった。健太郎側は私が娘に録画を指示した能性を主張したが、娘がカウンセラーへ話した経緯と、私が内容をらなかった記録が残っていた。藤先は「子どものを利用して相を攻撃するのではなく、映像に映ったのを確認してください」と求めた。
瀬名は追加の説で、健太郎との私な関係を認めた。見の観察を変更したことも認めたが、結論自体は正しいと主張した。裁判官は見の信用性を慎に検討する必があるとし、関係資料の追加提を求めた。川弁護士は健太郎の主張をそのまま繰り返すことをやめ、財産関係の記録を確認するを求めた。
帰宅した夜、私は古いタブレットを娘の机へ戻した。柚は「もう隠さなくていい?」と聞いた。「うん。今はたちが確かめているから、柚はいつもの活をしていいよ」と答えた。娘は端末を見つめ、「じゃあ、、図の続きやってもいい?」と言った。私は笑ってうなずいた。窓のでは、いつもと同じように隣のかりが点いていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第21話
妹の手術前に「家族やめれば?」――私はドナーを辞退した
幼い頃から父と継母に冷遇され、妹・直美の引き立て役として育った広美。家を出て新体操の夢を追っていた彼女は、重い肺の病気を患う妹を救うため、生体肺移植のドナー候補になることを決意する。 ところが手術前の食事会で、広美の席だけが用意されていなかった。 「なんで来たの? 家族やめれば?」 妹の冷酷な一言をきっかけに、広美は臓器提供を辞退する。さらに病院で見つかったのは、身に覚えのない署名がされた同意書だった。 家族の裏切りと隠された不正に向き合い、広美は自分の人生と夢を取り戻せるのか。怒り|兄弟姉妹|真相|親子関係2.9万字5 25 -
完結第20話
借金3億の旅館を継いだ私を捨てた夫の誤算
父の急逝により、43歳の真帆が引き継ぐことになったのは、信州の古びた温泉旅館と約3億円の借金だった。夫の拓也は「貧乏になる前に離婚してくれ」と冷たく言い放ち、ただ一人、17歳の息子・勇気だけが母について行くと決める。 亡き父の宿を守ろうとする真帆だったが、遺された宿日誌から夫の恐ろしい裏切りが発覚。さらに離婚協議では、16年間つけ続けた家計簿が思わぬ反撃の切り札となる。 夫に見捨てられた母と息子は、3億円の借金を抱えた旅館で新たな人生を切り開けるのか――。人生逆転|真実|孤獨|親子関係2.4万字5 0 -
完結第16話
庭付き新居に押しかける長男夫婦、引越し当日に絶句
夫を亡くした62歳の田所美津子は、長年暮らした家を売り、菜園付きの一軒家で新生活を始めようとしていた。 ところが長男の琢磨と嫁の真理亜は、相談もなく同居を宣言。「断るなら一生介護しない」と脅しまでかけてくる。 夫の葬儀で遺産を要求された美津子は、もう息子に振り回されないと決意していた。 長女の美香と密かに進めていたのは、誰にも知らせていないもう一つの引っ越し計画。 何台ものトラックを連ね、当然のように新居へ乗り込んだ長男夫婦。だが引っ越し当日、二人は思いもよらない事実を知ることになる――。人生逆転|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|介護2.4万字5 0 -
完結第10話
義父の古希祝いで母娘の席が消えた――予約名義は私
34歳の藤崎菜央は、義父の古希祝いのため、親族57人の食事会を一人で準備し、手付金30万円も立て替えていた。ところが当日、会場に用意されていたのは55人分の席だけ。消されていたのは、菜央と13歳の娘・小春の席だった。 義妹と義母は「連れ子は家族ではない」と言い放ち、夫の啓介さえ娘をかばおうとしない。 菜央はホテルの支配人に「予約名義は私です」と告げ、契約の名義変更を求める。だが、本当の裏切りは三日前の予約変更記録に隠されていた――。裡切られた|祖父母と孫|嫁姑|親子関係|修羅場1.4万字5 112 -
完結第14話
「3月末に出ていけ」離婚を迫る夫が知らない真実
結婚17年目、42歳の立花伊佐美は、単身赴任中の夫・秀哉から突然離婚を突きつけられた。 「3月末までに息子と家を出ていけ」 長年家庭を支えてきた妻に、夫はわずかな解決金しか渡さないと言い放つ。ところが、赴任先を訪れた伊佐美は、夫が別の女性と6歳の息子を育て、もう一つの家庭を築いていた事実を知る。 絶望する伊佐美に手を差し伸べたのは、夫と不仲だった義父・信造だった。 そして3月28日。新しい妻子を連れて家を奪いに来た秀哉は、まだ知らなかった。自分の知らないところで、すべてが変わっていたことを――。夫婦|真実|親子関係|修羅場|不倫1.9万字5 34 -
完結第20話
「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断
義父の死後、義母との同居を始めて十年。40歳の香織は仕事と育児を両立しながら、家事も義母の世話も一人で担ってきた。 しかし義父の法事の日、義母は親族の前で「遺産は全部娘に渡す。嫁には一円もやらない」と笑いながら宣言する。 限界を迎えた香織が「では出ていきます」と告げると、夫も五歳の息子も一緒に家を出ることを決意。 三人が去った途端、義母の生活は崩れ始める。さらに、香織が十年間隠し持っていた亡き義父のノートには、誰も知らない前田家の秘密が記されていた――。人生逆転|嫁姑|介護|金銭問題2.4万字5 14 -
完結第18話
「家は俺が守る」息子を信じた母、4年後の衝撃
骨折をきっかけに高齢者施設へ入った72歳の黒田春江。息子の直樹は「家は俺が見ておく」と約束したが、回復後も「家が傷んでいる」と帰宅を拒み続けた。やがて面会も途絶え、気づけば四年。76歳になった春江は、相談員の助けを借りて自宅を訪ねる。ところが、荒れているはずの家は美しく整えられ、鍵まで交換されていた。さらに玄関の向こうから聞こえてきたのは、誰かの足音。息子が隠していた秘密とは何なのか。家族への信頼と、自分の人生を取り戻すための静かな反撃が始まる。親不孝|親子関係|介護|金銭問題2.5万字5 25