みかん小説
本棚

"「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断" 第11話

き義父の告と暴かれた無能

畳の座敷に、静まり返ったの空気が澱んでいた。 座卓の央に置かれた学ノート。表には、き義父・茂之さんの几帳面でし角張った跡が、褪せたのインクで刻まれていた。 『のこと――久美子には見せんでくれ。あれの面目がたん』

義母は、指先をピクリともかせずにいた。 「な……何よ、これ。お父さんが……私に内緒で、こんなものを……?」 「ええ。、お義父さんが急性全でくなるヶ、脈で週だけ検査入院されたことがありましたよね」 私が静かに告げると、義母の瞳がかすかに揺れた。

「あの病で、お義父さんが万がを覚悟してき遺された記録です。私が見つけたのは、同居を始めたの暮れ、お義父さんの斎の机を理していたでした。番の引きしの奥、底の隙に滑り込ませてあったんです」 私はページをめくり、枚ほどで途切れている義父の自のページをいた。 そして、そこに記されたを、を交えずに読みげ始めた。

『。松はにす。き初めのは仏の押し入れ段。 。町内会の総会。班の順番は玄関の駄箱裏に貼ってあるの通り。 。久美子の誕。ちらし寿司。あれは自分からは言わんが、作らんと嫌を損ねる。

広告

。側溝掃除。靴は物置の奥。 。お元。名簿は次の頁。 。命。お寺へ分の管理費を納める。封筒は無でよい。 。植。親方は気がいが腕は良い。でがくから急かすな。 。お歳暮と賀状。久美子は宛名きをひどく嫌う』

義母の肩が、さく震え始めた。 「……何よ、それ。そんなことまで……」 「まだ続きがあります」 私は息を吸い、そのページの番最に、ひときわい圧で殴りきされていた結びのを、はっきりと読みげた。

『久美子は、これらの段取りをひとつもらん。 勘定と見栄ばかりで、との付きいもの維持も、すべて私が裏で回してきた。 このは、久美子では半と持たずに止まる。 けない話だが、私が逝った、どうか誰か、このと久美子を支えてやってくれ。頼む』

座敷の空気が、完全に凍りついた。 義母の顔から、完全に血の気が引いていく。唇がに変し、両で畳を掴んだまま、声すらせずにいた。

「お義父さんは、最初からすべて分かっていたんです」 私はノートを見つめたまま、静かに語りかけた。 「お義母さんが所で『私がこのを切り盛りして、息子夫婦をまわせてやっている』と言いふらしていたことも、自分が何つを回せないだという現実から目を背けていたことも。

広告

……お義父さんは、あなたのプライドを守るために、病で、恥を忍んでこのノートをいたんです」

義母はうつむき、畳にポタポタと粒の涙をこぼした。 「そんな……お父さん……私を、そんなに……」 「お義父さんの字は、枚で終わっていました」 私はその先の、真っだったはずの分いページをパラパラとめくって見せた。 そこには、過にわたり、私の几帳面な文字でびっしりとき込まれた、無数の記録が連なっていた。 更された植の携帯番号、樋の修理業者、町内会の役員の引き継ぎ記録、義母の通院履歴、処方薬の変更点、そして毎のちらし寿司の献。

「お義父さんの遺した『頼む』という痛な叫びを拾い、、あなたの代わりにこのを回し続けてきたのは、でもない私です」 私の徹な宣告が、座敷の静寂を容赦なく切り裂いた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: