みかん小説
本棚

"「嫁には1円もやらない」義母へ、家族3人の決断" 第13話

崩壊した遺産の虚像

「お母さん……!」 ひろみさんは、隣でうずくまる義母の肩を激しく揺さぶった。 「お母さん、私に言ってたよね!?『このも貯も全部ひろみに残すから、織さんには円もやらない』って! でも……お父さんが遺してくれたお、もうほとんど残ってないんじゃないの!?」

義母は顔をげず、消え入るような声で呟いた。 「だ、だって……娘のあなたが困ってたから……。い孫のためだもの、助けてあげたかったのよ……」 「助けてもらったのは謝してるよ! でもね!」 ひろみさんの声が、りと惨さで裏返った。

「お母さんは私に『おは全部あげるから、その代わり実の面倒はお兄ちゃん夫婦に任せて、あんたは来なくていい』って言ったじゃない! だから私は甘えて、実の事も介護の伝いも、全部お義姉さんに丸投げしてきたのよ! それなのに……お義姉さんを追いしたら、全部私にりかかってくるなんて、聞いてないよ!!」

ひろみさんは、先ほど私に見せたあの民事代の見積を、座卓のに叩きつけた。 「見てよ、これ! 万円よ!? お母さんのじゃ、毎万円もりないの! お母さんの座の残、あといくら残ってるのよ!? あと何持つの!?」

義母はをパクパクとかしたが、具体な残の数字を答えることはできなかった。 義父が遺してくれた退職と預、約千万円。

広告

そこから、ひろみさんのの宅ローン繰りげ返済、壁塗装、孫の私学費用、毎の塾代、そして義母自の贅沢品購入で、すでに千万円以が消え失せていたのだ。 残された預は、わずか数百万円。 民の介護・事代サービスを利用すれば、、で完全に底をつく計算だった。

「残る遺産なんて、最初からなかったんじゃない……!」 ひろみさんはを抱え、に突っ伏して嗚咽した。 「あるのは、築でおばかりかかる古いと、毎赤字を垂れ流すお母さんの活費だけ……! 私、そんなの背負えないよ! うちの夫に話したら、『そんない虫の実なら、今すぐ縁を切れ』って婚届を突きつけられたのよ!!」

義母が誇らしげに振りかざしていた「遺産」という名の絶対な権力。 それは、娘を元に引き留め、嫁を隷属させるために作りげた、空っぽの蜃気楼に過ぎなかったのだ。 財産を餌にして実の娘を縛り、無償労働の盾として嫁を利用してきた老婆の元で、自らが掘った落とし穴がパックリとをけていた。

「ひろみ……そんなこと言わないでよ……」 義母が震えるで娘のの裾を掴もうとする。 「私をにしないで……! あなたが緒に暮らしてくれれば、事代のおなんてかからないじゃないの……!」

「無理!!」 ひろみさんは、母親のを激しく振り払った。

その拒絶は、に歳の陽太が見せた拒絶よりも、遥かに残酷で、致命な撃だった。 「私には私のがあるの! 自分の庭を壊してまで、お母さんの面倒なんて見られない! ……全部、お母さんがお義姉さんを追いしたから自業自得でしょ!!」

実の娘からの、容赦ないくだり半。 義母は座敷の真んで、まるで魂を抜き取られた抜け殻のように、ただ茫然とち尽くすしかなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: