みかん小説
本棚

"「3月末に出ていけ」離婚を迫る夫が知らない真実" 第11話

に投げされた

「さあ、てってください。これ以騒ぐなら、本当に警察を呼びます」

伊佐美がスマートフォンを掲げると、秀哉は充血した両目を血らせ、涎を垂らしながらちがった。

「伊佐美……頼む! やり直そう! 僕が悪かった! 麻とは今すぐを切る! 宗太のことも認しない! 族で、またここで暮らそう!」

「ちょっと! 秀哉さん、何を言ってるのよ!」

麻が狂乱して秀哉に掴みかかった。

「宗太を認しないってどういうこと!? あんた、私に『おと子供のために婚する』って言ったじゃない! この嘘つき!」

「うるさい、この売女! おさえいなきゃ、俺は今頃億万者の夫だったんだよ! 全部おのせいだ!」

「あんたの浮気につけ込まれただけでしょ! ふざけないでよ!」

の醜い罵りいの元で、歳の宗太が「うわーん!」と激しく泣き叫び始めた。

徹夜がたいつきで玄関のい鉄扉を全にした。のたい夕が、ホールに吹き込んでくる。

「所迷惑だから、でやってくれよ。の庭の痴話喧嘩に付きう義理はないんでね」

「待ってくれ、伊佐美! 徹夜!」

の柄な背を、徹夜が容赦なくへと押しした。

バタンッ!

激しい属音とともにドアが閉まり、即座に内側からのシリンダー錠がカチャリと回された。続いて、チェーンが固く掛けられる音が響く。

広告

のへ放りされたの元に、夕が容赦なく迫っていた。

「けろ! 伊佐美、けてくれえええっ!」

秀哉が狂ったようにドアノブをガチャガチャと揺らし、鉄の扉を拳でドンドンと叩き続ける。しかし、内側からは何の応答もなかった。

隣の民たちが物音を聞きつけ、カーテンの隙から、あるいは扉から顔をし、で取り乱すエリート商社マンの異様な姿を好奇と軽蔑の目で見つめ始めた。

「……何見てんだよ!」

秀哉が通につ当たりするように鳴ると、麻がえ切った声で吐き捨てた。

「……最悪。本当に最の男ね」

「あんだと!?」

「もない、もない、奥さんには完全に見捨てられて……おまけに子供ので恥を晒して。あんたについてきた私がバカだったわ」

麻は泣きじゃくる宗太のを乱暴に引き、ヒールを鳴らしてに歩きした。

「待て! 麻、どこへくんだ!」

「実に帰るのよ! あんたの顔なんて度と見たくない!」

「待てよ! 俺のはどうなるんだ! おの活費にいくら注ぎ込んだとってんだ!」

逃げると、それを惨めに追いかける男の声。

階の自の窓辺から、伊佐美はその醜悪な列を静かに見ろしていた。

。自分は何を恐れ、何に慮してきてきたのだろう。

夫の嫌な顔を窺い、世体を気にし、自分を殺して尽くし続けた々の記憶が、急速に褪せていくのをじていた。

「母さん」

背から、温かいマグカップをにした徹夜が声をかけてきた。

「もう、見なくていいよ。あんなやつらのこと」

「……ええ。そうね」

伊佐美は窓のカーテンをシャッと引いた。のと、過の荷を完全に遮断するように。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: