みかん小説
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"磨かなかった靴" 第17話

同じ靴を履く者

になると、の通りにたいが吹いた。健太たちは箱のへ古い筵をげ、を温めながら仕事を続けていた。旅費を借りた俊はの町へ度戻り、靴修理に仕事の相談をした。健太と緒に暮らしたいが、今すぐみ込みの仕事を捨てれば、収入がなくなる。主は「京の仕事が決まるまで通ってもよいが、無理をするな」と助言した。

健太は兄を見送る、また会えなくなるのが怖かった。しかし俊は駅で「今度はき先をいて渡す」と言い、所と帰る予定のをに記した。健太はそのを胸にしまい、「俺も、こっちの所をく」と返した。別れることと、方が分からなくなることは違う。歳のにとって、それはきな発見だった。

では、信吉のの痛みがようやくらぎ、修理仕事もしずつ増えていた。静が週に度、古靴の修理方法を教えに来るようになった。対価として、健太たちは彼女ので使う糸や靴紐をの問からく仕入れる伝いをした。誰かに助けられて終わるのではなく、できることを返す。お志乃はそれを見て、「これならこの先も続けられるね」と言った。

ところが、売りげが増えるにつれ、たちのにもさな満がまれた。信吉は靴磨きの技術がい者にく渡したいと考え、利夫はの掃除や仕入れも仕事として数えてほしいと言った。

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常夫はがさいという理由で取り分が減るのを嫌がった。健太は昔なら信吉の決めた分け方に従っただろうが、今は皆で話さなければ同じことを繰り返すとじた。

話しいは夜まで続いた。お志乃はをさず、隣で針を使っていた。まず共同の材料費と使用料を取り、残った分を働いたと仕事内容で分けることになった。ただし病気や怪で休んだ者の費は、共同で残す分からす。簡単ではなかった。利夫は賃から借りたを返しているため、元に残る分がない。常夫は「俺もいつか妹のためにを送る」と言い、利夫を驚かせた。

相談所からのらせは、期待ほどくなかった。寺岡の記録と、作業の資料を確かめるには別の町へ照会しなければならないという。俊が移した具箱は、危険を避けるための判断だったと説できそうだったが、許なくかしたことへの責任は残った。利夫が運んだ別の箱は、現の監督が転売のために移させた能性がていた。しかし当の監督はすでに退職し、所が分からなかった。

健太は腹をてた。「皆、どこへったか分からないって言う。が分からなくなったら、それで終わりなのか」。片桐は「終わらせないために記録を残すんだよ」と答えた。「ただし、今すぐ全部戻せるとはわないで。

あなたたち自の活も止めないこと」。健太はその言葉を聞き、し黙った。兄を見つけた今も、仕事もべ物ものことだ。分からない部分を追うために、今の活を壊してよいわけではない。

その、へ篠田が来た。以のように靴を突きすのではなく、磨き台の横へった。「靴の底が剥がれた。直せるか」。健太は靴を見た。だった。篠田は「じゃなくて悪かったな」と言い、苦笑した。健太は「できます。料は修理を見てから言います」と答えた。男は子へ座り、が布を敷いて靴を扱うのを黙って見ていた。町で番偉いと言われる男も、片の靴底が剥がれれば歩きづらいのだと、健太は妙な気持ちになった。

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