"磨かなかった靴" 第18話
約束の代
篠田の靴を直した、健太は定めた料をそのまま伝えた。以なら相が持ちだからく言おうとしたかもしれないし、怖いからくしたかもしれない。今は糸と革の代、かかったを数えて決めた。篠田は代を払い、靴を履いて数歩歩いた。「悪くない」。それだけ言って帰っていった。利夫は肩をすくめ、「結局、普通の客になったな」と呟いた。
数、寺岡に関する話しいの結果が届いた。すべての賃が取り戻せるわけではないが、齢の確認をせずに発続きをめたことと、本の同を確かめていなかったことについて、紹介の扱いを改めるよう求められた。健太と常夫の発続きは取り消され、類には正しい齢が記された。片桐はその写しを渡し、「自分でも枚持っておいて」と言った。
宗男の治療費についても、部は作業の負担として理される見通しになった。ただして替えたをめぐる関係者の言い分はい違い、すぐに精算できるものばかりではない。利夫が運んだ具箱については、寺岡とは別の現責任者が移を指示したことを示す記録がてきた。利夫自が盗んだと疑われる理由はれたが、勝にの齢を変えたことへの悔は消えない。
俊は京へ来て、片桐に自分の経緯を改めて話した。
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具を無断で移したことは認めつつ、危険な作業を止めたかったこと、宗男の怪に対して何度も相談していたことを説した。片桐は必な記録を残し、これ以本だけが失われた具の責任を背負う根拠は乏しいと伝えた。俊はく息を吐いた。完全に無実だと言われるより、どこまでが自分の責任かを分けてもらえたことがありがたかった。
そのの夕方、兄弟は篠田商会へ寄った。篠田は古い靴を机に載せて待っていた。の踵に茶の糸が残る、あの靴だった。「これは俺が買った物だ。だが、あんたの弟には悪いことをした」。篠田は俊へ言った。「あの、したが何に使われたのか、俺も確かめずに終わらせた。靴の代については、うちの帳面の理がついた。引き取りたければ、持ってけ」
俊はすぐにをさなかった。「今さらですから、代を払います」と言った。篠田は「もう度売りつけるほど落ちぶれてはいない」と笑ったが、俊は引かなかった。はしばらく話し、靴の補修代を含めた額を確かめたうえで、古い靴を引き取ることになった。健太は兄が自分の靴を買い戻すことをし残にったが、事をらずに渡された物をただ受け取るより、兄らしい選び方だともじた。
篠田は「もう仕事を紹介するのは御免だ」
と言った。俊は「その方がよいかもしれません」と答えた。健太は何か言いたかったが、黙っていた。篠田は今もきなの主で、駅の所をどう使うかにも見を持つ。男が急に別になることはない。しかし健太の元を見て、以のように箱を蹴ることもしなかった。
へ帰ると、常夫が古い革靴を抱えて待っていた。「お客さんが、直してほしいって」。利夫はので伝票をき、信吉は来がった鞄を渡していた。俊の靴は包みに入ったまま、健太の膝のに置かれていた。、兄と緒に縫った糸を指でなぞると、まだしざらざらしていた。健太はようやくった。靴が返ってきたことより、兄のでまた歩けることが嬉しい。
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