"磨かなかった靴" 第19話
兄と別々の
がづくころ、俊には京で靴修理の仕事をする話が来た。静ので、週に何か伝ってほしいという。の町の師匠は、俊が京へ戻りたい事を理解し、具を部譲ってくれた。ただし収入はすぐ定しない。健太は兄と緒に暮らせるものと信じていたが、相談所の片桐はまいについてをかけて考えようと言った。
「俺の弟です。緒に暮らしたいんです」。俊が言うと、片桐は「もちろん事な希望です」と答えた。「でも今の部にでめるか、毎の費をどうするか、学のことはどうするか、確かめたいんです」。健太は学という言葉に戸惑った。朝から仕事をし、字を読むのは帳面をくくらいになっていたからだ。兄が働けば、自分はまた子どもとして勉できるのだろうか。
健太は兄へ尋ねた。「俺、ここかられるのか」。俊は答えに詰まった。には信吉も利夫も常夫もいる。彼らは族とは違うが、健太が緒にきたたちだった。兄と暮らしたい方で、何も告げずに皆のから消えるような真似はしたくない。「俺がいなくなったら、の修理は誰がやるんだ」。健太が言うと、俊は「おだけが働いてるわけじゃないだろ」と笑った。
信吉は話を聞いて、「おがどこへっても、仲だったことは変わらねえ」
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と言った。ただし声にはし寂しさがあった。常夫は「緒に磨くって約束したのに」とむくれ、利夫は「曜に来ればいい」となだめた。お志乃は台所で芋を煮ながら、「が緒に暮らせる所を作るのは、言うほど簡単じゃないんだよ。でも、急いで決めなくてもいい」と言った。
けまでの、健太はで働きながら、夕方に所の勉会へ通うことになった。字の読みきは俊に教わったものの、計算は苦だった。最初の、同じくらいの歳の子どもが問題をすらすら解くのを見て、健太は恥ずかしくなった。帰ろうとすると、配の先が「分からない所からやればいい」と言った。健太はむっとしたが、机へ戻った。分からないことを聞くのは、らないふりをするよりずっと勇気が必だった。
俊は静ので働き始め、健太が通う勉会のくにさな宿を探した。賃はく、でめる部を見つけるのにがかかった。ようやく候補が見つかった、主は俊のを見てそうな顔をした。「ちゃんと働けるんですか」。俊は自分の直した靴を見せ、「この仕事なら続けられます」と答えた。主はすぐに返事をせず、静のへ仕事ぶりを確かめにった。
数、部を借りられることになった。健太は嬉しかったが、同に炭をるが本当にづいたことをじた。
で寝るには狭かった空き部が、急に懐かしく見えた。利夫は「おが置いてった箱、俺が使っていいか」と言った。健太は箱の割れ目を撫で、「直してから持っていけよ」と笑った。篠田に蹴られたの傷は、今も縄のに残っている。
引っ越しの夜、常夫が自分の靴を差しした。「最に、これ磨いて」。健太は「自分でやれって何度も教えただろ」と言ったが、常夫は首を振った。「今は健太に頼みたい」。健太は靴を受け取り、汚れを落とした。さな踵を持つに、よりずっと力がついていることが分かった。誰かの元をえる仕事は、ただを取るだけではない。も歩けるようにすることなのだと、健太はった。
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