みかん小説
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"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第1話

廊にされた布団

「嫁に部なんて贅沢なのよ」

の夜、計はをし回っていた。

仕事を終えて義実に戻り、階へがった私は、廊の真んでを止めた。そこには私の敷布団と掛け布団、枕、毛布がきれいに積まれていた。番には、に自分で洗って装ケースにしまったはずのパジャマまで畳んで置かれている。

寝として使っていた畳のをけると、畳のに残っているのは夫・孝介の布団組だけだった。私の布団が敷いてあった所だけが、自然なほど広く空いている。

「これ、何ですか」

声をかけると、階段をがってきた義母のみつ子が、私のろでを止めた。歳になったばかりの義母は、エプロンのポケットに片を入れたまま、廊に積まれた布団を見て笑った。

「見れば分かるでしょ。あなたのよ」

「どうして廊にしてあるんですか」

「だから、嫁に部なんて贅沢なのよ。のこともしないんだから、廊で分でしょ」

冗談を言っている顔ではなかった。むしろ、ずっと準備していたことをようやく実できたのように、満そうな表をしていた。

私が何も言えずにいると、義母は畳の襖へ目をやった。

「孝介にはで使わせるわ。もともとあの子の部なんだから」

「では、私はどこで寝るんですか」

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「あら、そこよ。廊だって根のでしょう。にも濡れないし、贅沢言わないの」

そこへから音が聞こえた。夫の孝介だった。歳、品卸会社の営業職。テレビを見ていたところを義母に呼ばれたらしい。

孝介は階段の途でを止め、廊の布団と私の顔を見比べた。

「あなたもっていたの?」

尋ねると、孝介は面倒そうにをかいた。

「ってたっていうか……運ぶのは伝ったけど」

つまり、義母が勝にやったわけではなかった。

夕のすき焼きをべ終えたあと、で階へがり、敷布団を持ちげ、枕や毛布まで廊に積みげたのだろう。しかも義母は装ケースのから私のパジャマを探しし、それまで番に置いていた。

「いつまでここで寝ろっていうんですか」

私が聞くと、義母は差し指をてた。

「あなたが謝るまで。それから、会社を辞めますってちゃんと言うまでよ。孝介と約束したんでしょう」

私は孝介を見た。

孝介は目をそらした。

「母さんに謝れば、部へ戻してもらえるんじゃない?」

「何を謝るの?」

「だから……母さんに逆らったことだよ」

その言葉を聞いた瞬、議なほどりが消えた。

私はその、朝半にをた。会社では半期の締めで、各部署の数字を確認し、請求処理の最終確認をして、夕方からは役員会にた。

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会社をたのはを回ってからだった。

以働いて帰ってきた妻をに、夫は言った。

「晩くらいだろ。母さんに逆らうからこうなるんだよ」

私は孝介の顔をじっと見た。

夫にとって、これは罰なのだ。

義母に従わなかった妻は、寝から追いされても仕方がない。廊で晩眠れば反省する。謝れば元に戻してやればいい。

この、ずっと数えてきた何かが、そこでぴたりと止まった。

義母はスマートフォンを取りし、廊の布団へ向けた。

さなシャッター音がした。

「何を撮っているんですか」

「記よ。あなたが反省したの」

義母は写真を確認し、満そうにスマートフォンをポケットへしまった。

私は廊を見渡した。

に押入れからされた装ケース。洗面台から撤された化粧品の箱。そして、今夜された布団、枕、毛布。

かけて、このから私のものだけがつずつへされていった。そして最に、私自の寝る所までなくなった。

「嫁はここで寝ればいいのよ」

義母は布団の端をで廊の央へ押した。

私はしばらく黙っていた。

私が謝るとったのだろう。義母は腕を組み、孝介もようやく話が収まるという顔をしている。

だから私は、を順番に見て言った。

「分かりました」

義母の元ががった。

「別ので寝ます」

瞬、廊が静かになった。

次の瞬、は顔を見わせて笑った。

「別のって何よ。ホテルでもくの?」

「いいえ」

私は通勤鞄の持ちを握り直した。

「がありますので」

孝介の笑い声だけが、そこで止まった。

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