"「嫁は廊下で寝ろ」私が二度と帰らなかった理由" 第11話
の廊
半。
私はもう度と戻らないとっていた義実の玄関にっていた。
インターホンを押すに扉がいた。
義父だった。
仙台から戻ったばかりらしく、スーツ姿のままネクタイだけをしていた。顔には疲れが浮かんでいる。
「来てくれてありがとう」
「お邪魔します」
私は「ただいま」とは言わなかった。
義父はそれに気づいたようだったが、何も言わず、玄関でくをげた。
居には義母と孝介が並んで座っていた。
義母の目は赤く腫れ、孝介はばかり見ている。
義父は背広の内ポケットから黒い名刺入れを取りした。
そこから枚の名刺を抜き、卓袱台の央へ置く。
《株式会社青葉システム 代表取締役 林瀬恵里》
の付と、案件名が裏面にかれていた。
「俺が本社にいた頃、きなシステム刷案件があった。最初の会議でこの名刺をもらった」
孝介は自分のスマートフォンで会社名を検索した。
代表者の写真。社員数百名。取材記事。
画面を見ているうちに、顔が変わっていく。
「本当に……恵里なの?」
私は静かに答えた。
「会社を経営していることは、最初から話しています」
義母が震える声で聞いた。
「なんで今まで黙ってたのよ」
「黙っていたつもりはありません。ただ、では肩きで見られたくなかったんです」
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義父が息子を見た。
「事会で恵里さんの顔を見た、俺は驚いた。仕事で何度も会っていた社が、息子の婚約者として座っていたんだからな」
それから私との約束を説した。
「には仕事を持ち込まない。そう決めた。俺もそのつもりで守ってきた」
義父の声が沈んだ。
「それなのに、俺が黙っているに、肩きのない嫁を廊で寝かせるになっていた」
誰も何も言わなかった。
義父は名刺をしまった。
「だが、今話したいのはこの名刺じゃない」
義母の肩が揺れた。
義父は妻へ向き直った。
「みつ子。おがこのに来たのことを、孝介に話したことはあるか」
義母は答えない。
「だ。俺とみつ子は歳で結婚した。がなくて、こので俺の両親と暮らし始めた」
孝介が顔をげた。
義父は続ける。
「みつ子は駅の信用庫に勤めていた。末は締めで帰りが遅くなった。、になることもあった」
私は息を止めた。
、義母へ通帳を返したのことをいした。
義母は迷いなくページをめくり、「昔、信用庫にほどいたのよ」と言った。
そのの話だった。
「俺の母は、それが気に入らなかった。嫁が夜までで働くなんてみっともない、のことをしない嫁だって、親戚に言って回った」
義母の指が震えていた。
「そしての終わりだ。
末の夜、俺が仕事から帰ったら――」
義父は度言葉を切った。
「階の廊に、みつ子の布団がされていた」
臓がきく鳴った。
階の廊。
今、私の布団が置かれている所。
「母がみつ子に何て言ったとう?」
孝介は答えられない。
義母は元を押さえた。
義父は語ずつ言った。
「『嫁に部なんて贅沢なのよ』だ」
部の空気が止まった。
夜、義母が私へ言った言葉と同じだった。
言も違わない。
、あの廊で義母自が浴びた言葉だった。
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