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"「慰謝料500万円」ママ友が出した弁護士の名刺に驚愕" 第1話

裁判官は学

「判決を言い渡します。被告を、今のおやつ抜きの刑に処します!」

曜の午、リビングに娘のすももの声が響いた。ソファの背もたれに座布団をて、そこを裁判官席に見てている。歳のすももは私の古い黒いカーディガンを羽織り、友達の凛ちゃんが持ってきたの定規を槌代わりに握っていた。

「異議あり! その判決はすぎます。被告には反省の余があります」

弁護士役の凛ちゃんがちがると、すももはすかさず「静粛に」と定規を鳴らした。被告も兼ねているぬいぐるみの熊は、昨夜こっそりクッキーをべたという設定らしい。私は洗い物を終えたをタオルで拭きながら、の真剣な顔を眺めていた。

「ねえ、すもも。裁判のに、熊さんが本当にべたか調べたの?」

私が尋ねると、すももは定規をろした。「あっ。証拠を忘れてた」。凛ちゃんが声をげて笑い、熊の元についていたチョコレートの糸を指さした。すももはそれを慎に確認してから、判決を撤回した。

娘は最、弁護士が登するテレビドラマにだった。将来は私のような弁護士になると言いしたかとえば、翌には宇宙士になると宣言する。気が変わるたびに真剣なのが、すももの面いところだった。

夫の伊織がくなったのは、すももがかの頃だ。

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急な病気だった。葬儀が終わった夜、何も分からず眠る娘を抱きながら、私はこの子のでは何とかっていようと決めた。あれから余り、弁護士として働きながらで娘を育ててきた。

私の勤務先は都内の未来法律事務所。企業法務も扱うが、私は婚や養育費、消費者被害の相談を担当することがい。域の保護者には仕事の詳しい話をほとんどしていなかった。聞かれれば答えるけれど、学事では誰かの母親として普通に過ごしたかったからだ。

「ママ、次は被告役ね。おやつを個べた罪」

「それは事実を争います。私は個しかべていません」

「証拠は?」

「台所の皿に、残りが個あるはずです」

すももは凛ちゃんと顔を見わせ、「現検証!」とっていった。私は笑いながら計を見た。夕の材料がりない。が凛ちゃんのお母さんと遊びにる約束をしていたので、私は所のスーパーへ向かうことにした。

野菜売りでキャベツを選んでいると、背からきな声で名を呼ばれた。振り返ると、同じ学の保護者である浦織さんがっていた。隣には夫の健也さんもいる。織さんとはに子ども同士が同じクラスになってから、挨拶を交わす程度の付きいだった。

「ひまりさん、ちょうどよかった。うち、すごい投資を始めたのよ」

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織さんは私の返事を待たず、スマートフォンの画面を差しした。派なのグラフが肩がりに伸びている。画面のには『バットコイン』という、聞き慣れない暗号資産の名が表示されていた。

「もう百万円分も買ったの。これから倍になるって話なのよ」

「百万円も? 活費は丈夫なんですか」

「借りればいいじゃない。チャンスは今しかないんだから」

健也さんが得そうに言った。私は数字のどころを尋ねたが、とも「詳しいがそう言っている」と繰り返すばかりだった。私が購入を断ると、織さんは急に元を曲げた。

「シングルマザーだと、やっぱりきな勝負は怖いのね」

私は言い返さず、画面の端にさく表示された販売元の名だけを覚えた。儲け話を断った相を見すのは、よくある勧誘のやり方だ。だが、彼女が最ににした言葉だけは気になった。

「来には借りた分も全部返せるわ。もしりなかったら、別の方法で何とかするもの」

そのとき私は、別の方法という言葉のをく考えなかった。になって、あのスーパーで引き留めてでも確かめておけばよかったとうことになる。

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