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"「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない" 第15話

私だけの鍵

数かけてを掃除した。

を拭き、テーブルを磨き、キッチンの戸棚をつずつ理した。

浩司が放置していた郵便物。

富が買い込んだ使わない器。

、私が見て見ぬふりをしていた物が次々てきた。

何かをつ片づけるたび、のまで軽くなっていく気がした。

夕方になると、庭先から声がした。

「美穂ちゃん」

由美だった。

にはきな保容器を持っている。

「母が肉じゃが作ったから、持っていけって」

「ありがとう」

受け取った容器はまだ温かかった。

由美は縁側へ腰掛けた。

「、駅の方へ歩いてたよ」

「そう」

「あんまり聞かない方がいいかもしれないけど、丈夫?」

私はし考えてから頷いた。

「うん。ったより丈夫」

本当だった。

なら、になることを怖いとったかもしれない。

でも今は違う。

になったのではない。

私の活に入り込んでいたたちがていっただけだ。

私はまだ仕事を持っている。

もある。

由美のように配してくれるもいる。

何より、自分自を取り戻した。

「これからどうするの?」

由美に聞かれ、庭の桜を見た。

「仕事を続ける」

「それは美穂ちゃんらしい」

「もっとちゃんと、自分が好きだとえるを設計したい」

私は笑った。

「父みたいに、誰かが帰ってきたにほっとできる所を作りたい」

そのの夜。

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玄関の鍵をしいものへ交換した。

業者から渡された鍵をのひらへ乗せる。

のさな属。

それなのに、議なくらいくじた。

これまで私は、「族なら入れて当然」だとっていた。

嫌なことを言われても。

勝に物を触られても。

おを求されても。

族だからするしかないとっていた。

けれど違った。

族であっても、越えてはいけない線はある。

自分のへ入っていいを決めるのは、自分だ。

翌朝。

鳥の声で目を覚ました。

カーテンをけると、庭の桜が朝に照らされていた。

リビングへっても、浩司の鳴り声は聞こえない。

「コーヒーまだ?」

という富の声もない。

私は自分のために湯を沸かした。

豆を挽き、ゆっくりと湯を注ぐ。

コーヒーのりが、檜の匂いと混ざって部へ広がった。

テーブルに座り、マグカップを両で包む。

これから銭関係について話しうことは残っている。

婚について浩司が何か主張してくる能性もある。

終わったからといって、からすべてが簡単になるわけではない。

それでも私は、もう以の私ではなかった。

誰かに「婚するぞ」と脅されるたびに黙る必はない。

誰かの嫌を取るために、自分の収入を差しす必もない。

父が残したで、自分の仕事を続ける。

稼いだおを自分で管理し、自分が切だとうやもののために使う。

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その当たりの活を、これからつずつ作り直せばいい。

私はコーヒーをみ、仕事部の扉をけた。

机のには、昨まで途だった宅の設計図が広がっている。

窓から差し込む朝が、いをるく照らしていた。

父のので、私はしい線を本引いた。

それは図面の線にすぎない。

けれど私には、自分のをもう度自分ので描き始める最初の本にえた。

昼。

スマホに林先から今の打ちわせについて連絡が届いた。

私は確認してから、静かに画面を閉じた。

そして玄関へ目を向ける。

昨夜替えたばかりのしい鍵が、朝を受けてさくっている。

もう、あの扉を誰かの都でけることはない。

このは父が私に残してくれた所。

そしてこれからは、

誰にも奪われない、私自のを守る所だった。

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