"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第13話
会の真実と母の誇り
翌朝、私は退職の続きと私物の理をうため、武田業の本社ビルへと向かった。 役員フロアの空気は張り詰めており、社のネームプレートはすでにされていた。 私が総務課で類を受け取り、廊を歩いていると、会のドアがき、志津子会自らが私を招きした。
「ももかさん、しお入り」 なウォールナットのデスクの向こうには、湯呑みがつ並んでいた。 志津子は私に座の革張りソファを勧め、自ら温かい緑茶を注いでくれた。 「昨夜は、本当に醜いものを見せてしまってすまなかったね」
「いいえ、お義母様。お義母様が毅然と対応してくださらなければ、沼の争いになっていました。謝しています」 私が々とをげると、志津子は静かに首を横に振った。
「謝しなければならないのは、私の方だよ。……ももかさん、あんたがこの、徹の愚をどれだけ裏で始末してくれたか、私がらないとでもっていたかい?」 志津子は引きしから、古い帳を取りした。 そこには、徹が過に引き起こした営業トラブルのと、私が奔して収束させた経緯が、几帳面な跡で克に記録されていた。
「あの子はね、父親をくにくしたせいで、親戚から甘やかされて育った。懐っこい笑顔だけで世渡りをしてきて、苦労というものをらなかったんだ。
広告
だから、ももかさんが嫁いできてくれた、私は底救われたとった。……でもね、あの子はあんたの能さに嫉妬し、劣等を抱いていたのさ」
「徹さんが……私に?」 いもよらぬ言葉に、私は目を見張った。
「そうさ。男としてのっぺらいプライドを守るために、あんたの容姿を貶し、『子供が産めない』と責めてることで、精神ににとうとしていたんだよ。本当にけなくて、恥ずかしい男だよ。……私がもっとくに厳しく灸を据えていれば、あんたにこんな辛いいをさせずに済んだものを」 志津子の目に、微かにるものが浮かんでいた。
「お義母様……」 「ももかさん。あんたはね、武田の嫁としてではなく、のとして、誰よりも誇りく、優秀な女性だよ。継ぎが産めないなんてことで、あんたの価値がミリでも揺らぐはずがない。……あの子との縁は切れるが、私はあんたのことを、自分の誇るべき娘だとっているよ」
厳格で鳴らした女帝の、震える温かな。 私のの甲を包み込むその温もりに触れた瞬、昨夜まで張り詰めていたの鎧が溶けし、粒の涙がポロポロと頬を伝って落ちた。 の苦闘は、無駄ではなかった。 なくとも、このは私の流した汗と涙を、すべて見ていてくれたのだ。
「ありがとうございます、お義母様……。そのお言葉だけで、私のは救われました」
私は涙を拭い、れやかな笑顔を向けた。 過の鎖を断ち切り、自分のでを向いて歩きすための、確かな力が湧きがっていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
現地払いの還暦旅行
旅行会社に勤める弘志は、義父の還暦祝いに伊豆の高級ホテルを手配する。ところが旅行当日、義父母と義姉、さらには妻の優希までが、駅で「お前はもう帰れ」と弘志を追い返した。 屈辱をこらえて帰宅した弘志のもとに、妻から不可解なメッセージが届く。一方、義家族はホテルで高級料理や酒、エステを次々と注文していた。 しかし彼らは、旅行のしおりに記された重要な支払い条件を見落としていた。チェックアウトの日、彼らを待ち受ける驚愕の請求と、妻が隠していた秘密とは――。人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|絶縁|修羅場2.8万字5 6 -
完結第22話
「慰謝料500万円」ママ友が出した弁護士の名刺に驚愕
夫を亡くし、九歳の娘すももを一人で育てる弁護士・水瀬ひまり。ある日、投資で多額の借金を抱えたママ友の香織から、突然「夫との浮気の慰謝料500万円を払え」と迫られる。 証拠として突きつけられたのは、身に覚えのないLINEと、弁護士を名乗る男の名刺。ところが、その名刺には、ひまり自身の名前が記されていた。 偽りの請求、広がる不倫の噂、そして娘の学校生活にまで及ぶ嫌がらせ。ひまりが証拠を集め始めると、思いもよらない金銭トラブルが浮かび上がる。母として、弁護士として、彼女が下す決断とは――。怒り|裡の顔|真相|第二の人生|金銭問題2.8万字5 14 -
完結第10話
銀座の384万円
巨大企業グループの総帥という身分を隠し、平凡な専業主婦として暮らす美央。夫と義母に見下されながらも、温かい家族を夢見て五年間耐え続けてきた。 義母の誕生日、55万円の高級バッグを用意して銀座のレストランへ向かうと、義家族はすでに食事を終えていた。美央の席も料理もなく、代わりに突きつけられたのは384万円もの請求書。 「会計はあなたが払って」 その言葉に、美央は静かに微笑んで店を去る。しかし義家族はまだ知らなかった。自分たちが誰を敵に回したのかを――。因果応報|人生逆転|嫁姑|夫婦|金銭問題|修羅場1.6万字5 2 -
完結第15話
親族会議で追放された妻――翌朝、七枚のカードが全停止
七年間、夫の翔平と宮田家を陰で支え続けてきた神崎紗良。しかし親族会議の席で、夫から突然離婚を宣告される。 「慰謝料も財産分与もなし。一円も持たずに出ていけ」 義父母や親戚からも見下された紗良は、反論することなく離婚届に署名し、屋敷を去った。 ところが翌朝、翔平の七枚のブラックカードがすべて使えなくなる。続いて二軒の豪邸に届く契約終了通知、銀行からの融資見直し。 実は宮田家の誰も、紗良の本当の正体を知らなかった。九十九件もの着信を重ねた元夫が、最後に突きつけられる真実とは――。裡切られた|嫁姑|夫婦|金銭問題1.9万字5 7 -
完結第15話
「25万円振り込め」と脅す夫へ、私はもう妻じゃない
フリーランスの設計士・美穂は、三年間無職の夫・浩司と同居する義母・富江を、自分の収入で養い続けてきた。感謝されるどころか、夫からは「離婚するぞ」と脅され、生活費として25万円を要求される日々。 ところが、夫の浮気だけでなく、義母まで愛人を家へ招き入れ、亡き父から相続した家を奪おうとしていることが発覚する。 半年間、証拠を集め続けた美穂は、三年前に夫が署名した離婚届を手に、静かな反撃を決意する。しかし、何も知らない夫と義母は、さらに300万円を要求してきて――。怒り|夫婦|金銭問題|修羅場1.8万字5 46