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"愛人が妊娠、離婚を迫る夫が私の退職に大慌て" 第17話

夜の公衆話と徹な切断

のある曜の夜。 都内のタワーマンションので、私は翌週の取締役会資料の最終チェックを終え、淹れたてのハーブティーをに運んでいた。

しい活の拠点として借りた、見らしの良い2LDKの部。 リビングの窓からは、京の美しい夜景が望できる。 徹名義の自宅から完全に独し、自分の稼いだ役員報酬と、徹および美咲から回収した慰謝料・財産分与を元にに入れた、私だけのだった。

その、ローテーブルのに置いてあったスマートフォンの画面が、微かに点滅した。 表示されたのは『非通設定』。 仕事関係の緊急連絡かとい、私は通話ボタンをタップした。

「……はい、野です」 受話器の向こうから聞こえてきたのは、ひどく掠れた、酒焼けした男の震える声だった。

『……ももか……? ももかなのか……?』 臓がに波打った。元夫・武田徹の声だった。

『ももか、頼む……切らないでくれ! 頼むから、しだけ話を聞いてくれ……!』 背景からは、ザーザーという激しいの音と、型トラックがしぶきをげて通り過ぎる轟音が聞こえてくる。おそらく、方の沿いにある公衆話からかけてきているようだった。

「何の用ですか、武田さん。業務の個な連絡は、切断っているはずですが」 私の氷のようにたい声に、徹は話で泣き崩れるような声をげた。

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『悪かった……! 俺が全部悪かったんだよももか! この半、獄だった……! 毎まみれで荷物を運んで、誰からも相にされず、粗末な飯をって……! おが作ってくれてた温かい飯や、アイロンのかかったシャツが、どれほどありがたかったか……に染みて分かったんだ!』

「そうですか。に染みて分かったなら、これからのに活かしてください」

『やり直そう、ももか! 俺たち、も夫婦だったじゃないか! 母さんに言って、俺を本社に戻すよう頼んでくれ! おが取締役になったって聞いたよ! おの力があれば、俺を役員に復帰させることだってできるだろ!? 元夫を見捨てる気かよ!!』

男の浅ましい本音が、受話器から溢れしていた。 反省などではない。 自分がいがりたい、楽をしたい、元のぬるま湯に戻りたい――ただそので、自分がかつて「使い古した雑巾」と罵倒した元妻にすがっているのだ。

私は、の底から軽蔑の息を吐きした。 「武田さん。あなた、まだ自分がに寄してきていることに気づかないの? あなたが好きな『若くて綺麗な女の子』に頼んで、活費をしてもらえばいいじゃない。仕事はあるんだから、真面目に働きなさい」

『ももか! 待ってくれ、ももかぁぁっ――』

ピッと通話終ボタンを押し、私は即座に非通着信拒否の設定を化した。

スマートフォンの画面が暗転し、リビングには再び、よい静寂が戻ってきた。 私のには、片の揺も、れみすら残っていなかった。 過の霊がどれほど叫ぼうと、私の歩むの射す未来の邪魔をすることは、輪際できないのだ。

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