みかん小説
本棚

"山奥の身代わり花嫁" 第7話

献表の裏側

堂の仕事を調べ始めると、料理を作ることより難しい問題がいくつも見つかった。所の番と遅番では休憩が違い、林班はがれば予定が変わる。調理担当の井さんは代の女性で、で献と仕入れを任されてきた。私が数表を作ろうとすると、彼女は「若いお客さんに勝に変えられるのは困る」と顔を曇らせた。

私はすぐに謝りそうになったが、言葉をみ込んだ。「変えたいのではなく、井さんが毎朝何分を用すればいいか分からない状態を減らしたいんです」。井さんはしばらく私を見ていたが、林班から昼の注文が急に増えたのことを話し始めた。材料がりず、文句を言われたのは厨だけだったという。

私は作業班ごとの数をの夕方までに伝えてもらう仕組みを提案した。急な変更があるのために、常温で保管できる補助も用する。厨のに仕事を増やさず、発注のを減らすため、献を単位で組むことにした。井さんは試しに週だけと条件をつけ、私に台所の帳簿を見せてくれた。

帳簿には材の値段だけでなく、使われずに捨てられた野菜の記録も残っていた。私はで覚えた季節の相をいし、隣の農から規格の野菜を仕入れられないか相談した。

広告

初めは「曲がった根をにすのか」と眉をひそめた職も、切って煮れば同じだとって笑った。べるができるよう、材料の産とアレルギー表示も献表に添えた。

週、昼をべるは以の倍くになった。午に菓子だけで済ませるが減り、休憩に戻ってくる顔も増えた。武さんは数字を見てんだが、私は「まだ週です。続けられるかを見ないと分かりません」と答えた。さんに教わったのは、たまたまおいしくできたより、も同じようにせることの切さだった。

ただ、変化をばないもいた。所の事務を担当するさんは、「社の結婚相なら料をす必はないんじゃないですか」と冗談めかして言った。周囲が曖昧に笑うなか、私はにした伝票を置いた。「私はまだ結婚するとは決めていません。働くなら、皆さんと同じように契約が必です」。声はさかったが、最まで言えた。

そのにいた武さんは私の代わりにらなかった。「その通りです。ここでは誰の仕事も無償で当然にはしません」とだけ言った。翌、さんは自分から謝り、堂の売と原価をまとめる表を作ってくれた。私はそれを受け取り、彼にも番気の炊き込みご飯をよそった。相を言い負かすより、仕事を続けられる関係を作るほうが事だとった。

末がづくと、堂の経費は予算内に収まり、廃棄する材も減っていた。井さんは私に「来週もいてくれたら助かる」と言いかけ、慌ててを閉じた。私が客としてかだけ滞していることをいしたのだろう。私は笑って「まだ決めていません」と答えた。

その夜、父から通の封が届いた。には受領のことには触れず、「族のことをへ話すな。おが帰らないなら、のさんにも事を聞く」とかれていた。私は便箋を折り直し、弁護士へ写真を送った。父が次に狙うのは、私をかばってくれたかもしれなかった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: