"離婚1時間でカード5枚停止、義母の豪邸宴会が一変" 第14話
元妻が帰ってきた
扉をけたのは、ホテルの若いスタッフだった。彼は私を見ると瞬驚き、すぐに宮崎へ連絡した。私は靴を揃え、汚れた廊をゆっくりんだ。壁に掛けた族写真はすでにされ、代わりに麗と達也の写真が飾られていた。その雑な入れ替え方を見て、りよりも先に寂しさがこみげた。
私はここへ来る、何度も言葉を考えた。豪邸の持ち主が誰なのかを言で突きつければ、達也は黙るだろう。けれど、肩きを見せつけて相を屈させるだけなら、私を苦しめた価値観と変わらない。だから私は、名刺より先に登記簿をすと決めた。の尊厳は財産の額で決まらないし、財産の権利は鳴り声で移るものでもない。
広へ入ると、達也が私を見つけた。「お、何しに来たんだ」。もちがり、「もうこのには関係ないでしょう」と叫んだ。私はのでち止まり、持参した封筒をテーブルに置いた。にあるのは登記事項証と、神堂アセットの会社報、居契約の写しだった。
「私に関係がないというなら、このが誰のものなのか、ここで確かめましょう」
私は類を枚ずつ広げた。所者欄には神堂アセット株式会社の名があり、代表者欄には私の名がある。達也はを覗き込み、「同姓同名だろう」
広告
と言った。私は名刺を差しした。神堂ホールディングス代表取締役会、神堂美緒。、では度も使わなかった肩きだった。
は名刺を受け取ろうとせず、「そんな会社の偉いが、毎うちの洗濯をするわけない」と言った。私はわず苦笑した。「私が洗濯をしたのは、族の員でいたかったからです。仕事ができないからでも、おがないからでもありません」。言いながら、自分がどれほどくその違いを説しなかったかをいった。
宮崎が静かに礼した。「神堂様は、当ホテルを運営するグループの代表でもいらっしゃいます」。その言で、親戚たちのざわめきが止まった。さっきまで「な嫁」と笑っていたたちが、今度は私の顔をうかがい始める。私はその変化を見て、しも嬉しくなかった。肩きつでの態度が変わることが嫌で、私は結婚活を隠していたのだから。
「嘘だ。だったらどうして俺に言わなかった」と達也が叫んだ。私はその問いから逃げなかった。「あなたに普通の夫として接してほしかったからです。でも、隠していたのは私の違いでした」。私は度言葉を切り、彼の目を見た。「ただし、私が分を隠したことと、あなたが私の署名を使ってを売ろうとしたことは別です」
達也の顔が変わった。が「何の話よ」
広告
と割り込んだが、私は保証会社に提された類の写しを取りした。「私の署名を真似た覚がされています。分証のコピーも使われていました。誰が作ったのか、これから正式に調べてもらいます」。親戚たちは互いの顔を見た。慎吾だけが、納得したように静かにうなずいていた。
麗がちがり、へ向かおうとした。私は呼び止めず、川に線を送った。彼女はすでに警察への相談資料をまとめており、必なことは正式な続きでめるつもりだった。麗をここで責めてても、亜設備のが戻るわけではない。
「宴会のお支払いは、達也さんとホテルの契約です」と私は言った。「のことは神堂アセットの代理が連絡します。私は、誰かをこので罰するために来たのではありません。あなたたちが私のものだとい込んでいたものの、持ち主を確認しに来ただけです」
その、達也の携帯話が鳴った。画面を見た彼の顔から血の気が引いていく。表示されていたのは、亜設備の社の名だった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
息子が遺した証拠
長野県松本市に暮らす70歳の元宮大工・柏木源一郎は、一人息子の健太を交通事故で亡くした。しかし、慎重だった息子が居眠り運転をしたという警察の説明に、どうしても納得できない。 そんな中、同居を始めた嫁の美咲が、毎週木曜の夜に化粧をして外出し、若い男の車に乗っているという噂を耳にする。さらに息子の勤務先から、500万円の見舞金と引き換えに不可解な合意書への署名を求められる。 嫁を信じたい源一郎は、ある夜、密かに後を追う。そこで目にしたのは、息子の死につながる恐ろしい事実だった――。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場2.3万字5 4 -
完結第14話
「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知
高校三年生の高瀬優馬は、恋人・彩佳の受験勉強を支えるため、自分の研究や試験対策を後回しにしてきた。「どちらかが落ちても一緒に浪人しよう」――その約束を信じていた優馬だったが、合格発表の日、受かった彩佳は彼をあっさり突き放す。しかし優馬には、彼女に隠していた特別奨学生の選考通知があった。自分の未来を取り戻す決意をした優馬は、名門工科大学で研究の才能を開花させていく。やがて大学のコンテストで再会した二人を待っていたのは、残酷なほど鮮やかな立場の逆転だった。因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 23 -
完結第13話
三千円の温泉旅行
町内会の会計を務める68歳の森川静子は、秋の日帰り旅行を一人三千円の温泉宿に決めた。ところが、副会長の妻・矢野夫人は「貧乏くさい」と不満を漏らし、勝手に高級旅館へ行き先を変更。会長の了承を得たと嘘をつき、参加者まで誘い出してしまう。 旅行当日、矢野夫人から突然「積立金三十万円を出しなさい」と電話が。拒否した静子は、今度は会費の使い込みを疑われ、町内中に帳簿の写真を広められる。 しかし、その写真と案内状には、矢野夫人が見落とした決定的な事実が残されていた――。人生逆転|第二の人生|ATM扱い|金銭問題1.5万字5 0 -
完結第20話
貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算
「月収四十万円で、私と結婚できると思ってたの?」七年間付き合った恋人・美香に、収入を理由に婚約を破棄された中島涼。失意の帰り道、公園で出会った風変わりな兄弟との交流が、彼の人生を大きく変えていく。物流の経験を生かして建設会社の経営改革に携わり、少しずつ信頼を築いていく涼。二年後、居酒屋で偶然再会した美香は「次期社長と結婚する」と勝ち誇っていた。しかし、彼女も婚約者も、会社で進んでいた重大な決定を知らなかった。金と肩書きで人を見下した二人を待つ、思いがけない逆転劇。人生逆転|裡切られた|真実|第二の人生|金銭問題2.9万字5 36 -
完結第10話
「バカ息子」と笑う義父母、旅行中に息子夫婦が消えた
結婚五年目の立花はる子と夫の琢磨は、念願の新居を手に入れた。しかし、何の相談もなく押しかけてきた義父母が居座り、生活費も払わず、家事をすべてはる子に押しつけるようになる。 ある日、買い物から帰った二人は、義父母が自分たちを嘲笑し、子どものことまで侮辱しているのを聞いてしまう。 長年、親の暴言に耐えてきた琢磨が、初めて口にした「もう限界だ」という言葉。 正面から逆らえない夫を守るため、はる子は義父母に三泊四日の温泉旅行を贈り、その留守中に密かな計画を実行する。何も知らず帰宅する義父母を待つ、予想外の光景とは――。人生逆転|嫁姑|親子関係1.7万字5 148