"離婚1時間でカード5枚停止、義母の豪邸宴会が一変" 第15話
会社からの話
達也は話を切ろうとしたが、すぐにまた着信があった。彼は私たちかられ、廊で通話を始めた。声を落としていたものの、「そんな話はらない」「俺だけの責任じゃない」という言葉が聞こえてきた。は息子の様子を見て「仕事の話でしょう」と笑おうとしたが、その笑顔は続かなかった。
数分、達也が戻ってきた。顔は悪く、に持つ携帯話が震えている。「美緒、お、俺の会社に何をした」。私は首を横に振った。「私から何かを指示したことはありません。亜設備は自分たちの帳簿を調べているだけです」。達也は「嘘をつくな」と言ったが、その目は私を見ていなかった。
亜設備は、架空の注費について警察に相談し、達也の担当業務を止することを決めたらしい。彼には翌週、会社側の弁護士を交えた事確認に応じるよう求める通が届いていた。私は内容を詳しくるではないし、る必もなかった。彼が会社で何をしたのかは、被害を受けたたちと捜査関が調べることだ。
「億千万円って、どういうことなの」と麗がをいた。達也は振り向き、彼女を睨んだ。「おこそ何を言ってる。瑞穂企画の請求はおがしたんだろう」。その瞬、広に残っていた親戚たちが息をのんだ。は互いを守る代わりに、責任を押しつけ始めた。
広告
麗は唇を噛み、「私は言われたとおりに類を作っただけ」と言った。達也は「代表者はおだ」と言い返す。私はの言い争いを止めた。「ここで説しうことではありません。関係する資料を保して、亜設備と捜査関に話してください」。自分ので聞いた言葉だけを記録し、推測で結論をさないことにした。
達也は私の返事を聞き、急に「し待ってくれ」と言った。「会社に話せばは用できる。今までだって俺は何度もきな取引をまとめてきた」。私は彼の言葉を遮らず、最まで聞いた。だが彼がにする取引は、すでに調査対象になっているものばかりだった。を作る段と、からを預かる責任の区別が、彼には最までついていなかったのだとう。
宮崎が会計の件で私に確認を求めた。私は「ホテルの規定どおりに」と答えた。達也に括で支払う能力がないなら、分割や担保の協議が能かを担当部署が判断する。私が個のりで条件を厳しくしたり、逆に族だったからと帳消しにしたりすることはしない。従業員が働いた対価を守る責任も、私にはある。
は私のへ来て、急に声を柔らかくした。「美緒さん、族だったじゃない。達也だって反省しているわ。今の代だけ、あなたが払ってくれないかしら」
広告
。私は静かに答えた。「、私は何度も払ってきました。あなたが旅へったも、達也がを買ったも。でも、今の宴会はあなたたちが自分で決めたものです」
は顔を歪め、「たい女」と言った。私はそれを聞いても、もう揺れなかった。以ならその言を恐れて、何かを差ししていただろう。今は、払わないという選択も、相を憎むこととは違うと分かる。私が線を引かなければ、同じことが何度でも繰り返されるだけだった。
達也は突然、膝をついた。「頼む。婚をなかったことにしてくれ」。その声には、区役所で私を見していた男の余裕はなかった。私はしだけ胸が痛んだが、彼を起こそうとはしなかった。「婚はもう成しています。これから必なのは、やり直しの約束ではなく、あなた自がしたことへの説です」。彼は返事をせず、に落ちた契約を見つめていた。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
息子が遺した証拠
長野県松本市に暮らす70歳の元宮大工・柏木源一郎は、一人息子の健太を交通事故で亡くした。しかし、慎重だった息子が居眠り運転をしたという警察の説明に、どうしても納得できない。 そんな中、同居を始めた嫁の美咲が、毎週木曜の夜に化粧をして外出し、若い男の車に乗っているという噂を耳にする。さらに息子の勤務先から、500万円の見舞金と引き換えに不可解な合意書への署名を求められる。 嫁を信じたい源一郎は、ある夜、密かに後を追う。そこで目にしたのは、息子の死につながる恐ろしい事実だった――。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場2.3万字5 2 -
完結第14話
「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知
高校三年生の高瀬優馬は、恋人・彩佳の受験勉強を支えるため、自分の研究や試験対策を後回しにしてきた。「どちらかが落ちても一緒に浪人しよう」――その約束を信じていた優馬だったが、合格発表の日、受かった彩佳は彼をあっさり突き放す。しかし優馬には、彼女に隠していた特別奨学生の選考通知があった。自分の未来を取り戻す決意をした優馬は、名門工科大学で研究の才能を開花させていく。やがて大学のコンテストで再会した二人を待っていたのは、残酷なほど鮮やかな立場の逆転だった。因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 23 -
完結第13話
三千円の温泉旅行
町内会の会計を務める68歳の森川静子は、秋の日帰り旅行を一人三千円の温泉宿に決めた。ところが、副会長の妻・矢野夫人は「貧乏くさい」と不満を漏らし、勝手に高級旅館へ行き先を変更。会長の了承を得たと嘘をつき、参加者まで誘い出してしまう。 旅行当日、矢野夫人から突然「積立金三十万円を出しなさい」と電話が。拒否した静子は、今度は会費の使い込みを疑われ、町内中に帳簿の写真を広められる。 しかし、その写真と案内状には、矢野夫人が見落とした決定的な事実が残されていた――。人生逆転|第二の人生|ATM扱い|金銭問題1.5万字5 0 -
完結第20話
貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算
「月収四十万円で、私と結婚できると思ってたの?」七年間付き合った恋人・美香に、収入を理由に婚約を破棄された中島涼。失意の帰り道、公園で出会った風変わりな兄弟との交流が、彼の人生を大きく変えていく。物流の経験を生かして建設会社の経営改革に携わり、少しずつ信頼を築いていく涼。二年後、居酒屋で偶然再会した美香は「次期社長と結婚する」と勝ち誇っていた。しかし、彼女も婚約者も、会社で進んでいた重大な決定を知らなかった。金と肩書きで人を見下した二人を待つ、思いがけない逆転劇。人生逆転|裡切られた|真実|第二の人生|金銭問題2.9万字5 29 -
完結第10話
「バカ息子」と笑う義父母、旅行中に息子夫婦が消えた
結婚五年目の立花はる子と夫の琢磨は、念願の新居を手に入れた。しかし、何の相談もなく押しかけてきた義父母が居座り、生活費も払わず、家事をすべてはる子に押しつけるようになる。 ある日、買い物から帰った二人は、義父母が自分たちを嘲笑し、子どものことまで侮辱しているのを聞いてしまう。 長年、親の暴言に耐えてきた琢磨が、初めて口にした「もう限界だ」という言葉。 正面から逆らえない夫を守るため、はる子は義父母に三泊四日の温泉旅行を贈り、その留守中に密かな計画を実行する。何も知らず帰宅する義父母を待つ、予想外の光景とは――。人生逆転|嫁姑|親子関係1.7万字5 147