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"貧乏と俺を捨てた元カノ、次期社長との婚約に隠された誤算" 第7話

最初の失敗

島建設への転職を決めるまで、俺は週考えた。今の職にきな満はなく、司も引き止めてくれた。収入が急にねがるわけでもない。けれど、帳票の向こうにいる現のたちをい浮かべると、途でをすことができなかった。

入社初、俺は歓迎されなかった。健の部だとわれているもいれば、社がから連れてきた監役だと警戒するもいる。現主任の野寺は「机ので考えたことを、から全部変えろと言うなら帰ってくれ」と言った。俺はその言葉を受け止め、まず週は現に同させてほしいと頼んだ。

朝半、資材置きにはすでにトラックが並んでいた。図面の変更で必な部材が増えたのに、発注システムへ反映されていない。話で確認しているに別の現から催促が入り、担当者は昼を取る暇もなかった。数字だけ見ていたには分からなかった疲れが、現の空気に染み込んでいた。

俺はく成果をそうと焦った。配送予定を枚の共表にまとめれば、誰でも全体が見えると考えたのだ。ところが翌週、俺の作った表を信じていた両が、通制限のあるでち往した。現独自の連絡帳には規制報がかれていたのに、俺はその項目を拾っていなかった。

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「ほら見ろ。しい表なんか作って、結局こっちの仕事を増やしただけだ」

野寺のりは当然だった。俺は運転に謝り、待費用と現の遅れを記録した。責任を現へ押しつけず、自分の確認として司に報告した。初めての改革が失敗に終わった夜、俺は机に突っ伏してしまった。

ち往した運転は、子どもの誕にく帰る約束をしていたそうだ。俺が謝罪すると、「仕事だから仕方ない」と笑ってくれたが、その優しさに甘えてはいけないとった。会社の損失は費用として計算できても、取り戻せないは数字にならない。俺はそれまでの配送表に『到着予定』しかいていなかったことを恥ずかしくじた。

その晩、運転と話で話し、規制の報がどこから入るのかを聞いた。政の案内だけでは分からない事両の線があり、現ごとに経験が蓄積されている。俺は運転の許を得て、注点を図へ落とし込んだ。自分の失敗を埋めわせたいという気持ちだけでなく、次の担当者に同じいをさせたくなかった。

翌朝、野寺が無言で冊のノートを置いた。規制、搬入の幅、隣民からの注、のに滑る坂。現で働くたちが以かけてきしてきた報だった。俺は表の美しさばかり考えて、そこに積みなった恵を見落としていた。

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「このノート、共表に入れてもいいですか。作り直すは、野寺さんにも確認してほしい」

野寺はしばらく俺を見てから、「現に聞くなら、最初からそうしろ」とだけ言った。ってはいたが、ノートを取り返そうとはしなかった。俺はそののうちに現の担当者を集め、画面の項目をつずつ確認してもらった。

しい共表には、誰が最に確認したかを記す欄も加えた。確認の印を増やすためではなく、困ったに誰へ聞けばいいか分かるようにするためだ。野寺は「これならにも教えられる」と言い、若い担当者に使い方を説してくれた。自分の作った表が現の具になった瞬だった。

週、急ぎ便の件数がし減った。きな成果ではないが、運転が帰宅できるがだけくなった。野寺が「今は助かった」と言ってくれた、俺は初めて、この会社で働く実を得た。

だが、そのの夕方、健から呼びされた。「勝に現を方につけるな」と彼は言った。机には、俺の共表の部だけを切り取った資料が置かれている。そこには、すでに修正したはずの古い数字が、あえて残されていた。

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