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"葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡" 第11話

霊の帰還と破綻した弁

「な……直……? な、なんで……なんであんたが……そこにいるのよ……!?」

玄関のがり框にち尽くす数枝の顔からは、完全に血の気が引いていた。 からこぼれ落ちた印鑑ケースがので乾いた音をてて転がり、朱肉の赤いがたいタイルを汚す。 息子の無事な姿を目の当たりにした母親の反応ではなかった。 そこに浮かんでいたのは、堵でも歓でもなく、絶対にいてはならないパンドラの箱をこじけられたかのような、純粋な恐怖と揺だった。

「ただいま、母さん」 直は松葉杖をぎしりと軋ませ、へ歩踏みした。包帯の巻かれた額ので、黒い瞳がかつてないほど徹に母親を見据えている。 「俺の葬式代と保険の計算は、もう終わったかい?」

「な、何を馬鹿なことを言ってるのよ!」 数枝は裏返った切り声をげ、激しくずさりした。 「あんたは……あんたはんだのよ! 会社からも警察からも、そう連絡があったの! 私はちゃんと葬式をして、親戚にお披目して、喪主として派に送りしたのよ! 違いなんてあるはずがないじゃない!」

「違いだったんですよ、佐藤数枝さん」 ろに控えていた警察官が制の襟を正し、々しい取りで玄関ポーチへとがってきた。警察帳を提示し、数枝の目を射抜くように見据える。

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「事故現における元の確認作業に、な誤認がありました。病院で治療を受けていたのは、ご子息の直さんご本です。そして……昨、あなた方が葬されたご遺体は、現責任者であった誠さんでした」

「嘘よ……! そんな嘘に騙されるもんですか!」 数枝は現実を受け入れることを頑なに拒み、鬼のような形相で私を指差した。 「美ね!? あんたが仕組んだのね! 直がんで保険がに入らないと分かったから、どこからか直に似た男を連れてきて、私を騙そうとしているんでしょう! 警察の方、騙されないで! この女は昔からずる賢くて、おのことしかにない浅ましい嫁なんです!」

実の息子が目ので呼吸をし、声をげているというのに、数枝のからびすのは自己保のための荒唐無稽な言いがかりばかりだった。 直の表が、りを通り越してい絶望へと沈んでいくのが分かった。 、自分が「母さんも寂しいんだ」「悪気はないんだ」と庇い続けてきた肉親の、これが紛れもない本性だったのだ。

「母さん、見苦しい真似はやめてくれ」 直のく鋭いが、玄関先に霊した。 「俺の顔をよく見ろ。声を聞け。俺が誰だか本当に分からないとでも言うのか? 母さんが守りたかったのは俺じゃない。俺のによって転がり込んでくる千万円の保険と、このの権利だけだったんだろ!」

「ひっ……!」 息子の容赦ない追及に、数枝の喉が引きつったように鳴った。 その背から、喪にを包んだ周さんが静かに歩みた。 さんは数枝のにつと、々と、腰を度に折ってをげた。

「佐藤さん。……仏壇に置されている私の弟を、返してください。返してください、お願いします……!」 兄の血を吐くような訴が、静まり返ったのにく響き渡った。

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