"葬儀3日後、姑に追放された私に亡き夫からの連絡" 第18話
取り戻した典と、絶縁状
翌週、私たちは弁護士を伴い、勾留の数枝との接見に臨んだ。 警察署のアクリル板の向こうに現れた義母は、わずか数で歳も老け込んだようにさく縮こまっていた。 派なカーディガンは脱がされ、のスウェット姿で、うつむいたまま線をわせようとしない。
「母さん」 直が、静かにをいた。 数枝はビクッと肩を震わせ、掠れた声で呟いた。 「直……弁護士さんを雇って、私をここからして頂戴……。私、騙されたのよ。会社のに言われて、あんたのためをってやったのよ……」
「まだそんな嘘をつくのか」 直の声には、りすら含まれていなかった。あるのは、完全な拒絶と淡さだけだった。 「母さんが仏壇の引きしに残していたノートを見たよ。事故の翌朝、俺がきてるってっていながら、保険のために見殺しにしようとしたんだろ」
数枝の顔から、最の言い訳が消えった。 アクリル板にをつき、涙を流しながら叫ぶ。 「悪かったわよ! でもね、直! 私はあんたのたったの母親なのよ! 親を刑務所に入れる気なの!? 美さんに唆されて、親を捨てる気!?」
「唆されたんじゃない。俺自の志だ」 直は鞄から、弁護士が作成した通の面をアクリル板に押し当てた。
【親族関係断絶に関するおよび財産返還請求】
広告
「母さんが持ちった百万円の典、ならびに美の与から当に徴収していた活費の残額、計百万円の即返還を求める。こののと建物は、父さんの遺言に従い、俺と美の共名義に変更した。母さんの居権は剥奪する」
「な……なんですって……!? 私のよ! 私を追いす気!?」 「の夜、美と咲を追いしたのは母さんだ」 直は徹に言い放った。 「母さんは、をともわず、と見栄のために族を踏みにじった。その報いを受けてもらう。……実刑判決がても、俺たちは切の減刑嘆願はさない。保釈もさない。度と、俺たちのに現れるな」
「直! 直ぉぉぉっ!!」 喚き散らす数枝を背に、私たちは度も振り返ることなく接見をにした。 弁護士の続きにより、数枝の個座から奪われた典全額が回収され、参列してくださった方々への返礼と、葬儀費用の正規の支払いに充てられた。
そして、さんのご遺族に対しても、会社からの巨額の損害賠償とは別に、直の個座から誠誠の弔慰が支払われ、誠さんの名誉は、真の殉職者として公に回復されたのだった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
「妻に休んでほしい」退職夫が勝手に決めた私の人生
夫・修司の退職祝いで、家族から温かな拍手が起こった。「これからは妻にもゆっくりしてもらいたい」。しかし、58歳の洋子だけは笑えなかった。 夫は相談もなく洋子の退職を決めつけ、楽しみにしていた水曜日の手芸講座まで変更させようとしていた。さらに、息子夫婦には孫の保育園への迎えまで勝手に約束していたことが発覚する。 三十年以上、家族を優先してきた洋子は、初めて自分の意思を伝える決心をする。夫の定年をきっかけに始まる、妻の小さくも大きな人生の転機。夫婦|第二の人生|退職金|熟年離婚2.8万字5 14 -
完結第20話
息子が遺した証拠
長野県松本市に暮らす70歳の元宮大工・柏木源一郎は、一人息子の健太を交通事故で亡くした。しかし、慎重だった息子が居眠り運転をしたという警察の説明に、どうしても納得できない。 そんな中、同居を始めた嫁の美咲が、毎週木曜の夜に化粧をして外出し、若い男の車に乗っているという噂を耳にする。さらに息子の勤務先から、500万円の見舞金と引き換えに不可解な合意書への署名を求められる。 嫁を信じたい源一郎は、ある夜、密かに後を追う。そこで目にしたのは、息子の死につながる恐ろしい事実だった――。夫婦|親不孝|金銭問題|修羅場2.3万字5 44 -
完結第10話
四年分の介護記録
四年間のシンガポール赴任を終え、出世を手に帰国した52歳の高橋健一。胸には、妻・由美に突きつけるための離婚届があった。 しかし帰宅した彼を待っていたのは、真っ白な髪と痩せ細った体に変わり果てた妻、そして半年前に亡くなった母の仏壇だった。 重度の認知症を患った義母を、たった一人で介護し続けた由美。夫が毎月送った30万円では到底足りず、彼女はすべてを犠牲にしていた。 そして由美が差し出した四年分の介護記録と、亡き母が残した最後の遺言が、健一の人生を大きく揺るがしていく。嫁姑|夫婦|親子関係|介護1.7万字5 61 -
完結第16話
母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日
亡き母の初盆へ帰ろうとした由美は、義父から「籍を抜いて出ていけ」と言い渡される。結婚二十五年の夫・浩司も味方にはならず、由美は静かに家を出ることを決意した。 しかし、義父一家が暮らす家の土地は、十五年前に母が購入した由美名義のものだった。さらに夫が、その土地を無断で借金の担保にしようとしていたことが発覚する。 母の残した古い鍵と書類を手に、弁護士を訪ねた由美。やがて明らかになる夫の裏切りと、義父母が隠していた計画。二十五年間耐え続けた妻の、静かな人生逆転の物語。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.3万字5 67 -
完結第12話
雨宮停留所の黄色い傘
私は六十二歳。幼いころから、ときどき人には見えない姿や声を感じることがある。 山梨の小さな町で叔母の家を片づけていたある雨の日、廃止された停留所の水たまりに、黄色い傘を差した少年が映った。 そこで出会った老女は、四十年近く前に失踪した息子を今も待ち続けているという。 「まだ帰れない」 少年が残した言葉を手がかりに調べ始めると、破り取られたバスの運行日誌、隠された手紙、そして家族が長年伏せてきた秘密が浮かび上がる。 あの少年は、いったい何を伝えようとしているのか。日常ホラー|ミステリー|真相|親子関係2.2万字5 20 -
完結第14話
「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知
高校三年生の高瀬優馬は、恋人・彩佳の受験勉強を支えるため、自分の研究や試験対策を後回しにしてきた。「どちらかが落ちても一緒に浪人しよう」――その約束を信じていた優馬だったが、合格発表の日、受かった彩佳は彼をあっさり突き放す。しかし優馬には、彼女に隠していた特別奨学生の選考通知があった。自分の未来を取り戻す決意をした優馬は、名門工科大学で研究の才能を開花させていく。やがて大学のコンテストで再会した二人を待っていたのは、残酷なほど鮮やかな立場の逆転だった。因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 225