"一年後の請求書" 第13話
没収された学費
倒れ込んだを見ろしながら、昭雄はスーツの内ポケットから分い革の財布を取りし、枚の定期預通帳をカウンターのに置いた。
「主様。この百万円、私が今すぐ全額、括でお支払いいたします」
「え……?」 俺だけでなく、弁護士もわずかに目を見張った。 分割や減額の交渉をしてくるかといきや、即座の括弁済の申しだったからだ。
「親父、マジで!? 払ってくれるの!?」 のが、獄で仏に会ったかのように顔を輝かせ、いがってきた。 「さすが親父! 持つべきものは持ちの父親だな! 助かったぁ〜、これで全部チャラだな!」
だが、昭雄が息子に向けた差しは、氷よりも徹だった。 「チャラだと? 何を勘違いしているんだ、」
昭雄は通帳の残ページをき、の目のに突きつけた。 そこには、ちょうど百万円ほどの定期預残が印字されていた。 「このが何のためのか、おなら分かるはずだな」
「え……? これって……俺の、来と再来の学の授業料と、アパートの更費用……」 の顔から、急速に血の気が引いていった。
「そうだ。私が汗垂らして働き、おがの法律になってくれることを信じて積みててきた、おのための学費だ」 昭雄の声は、静かだが鋼のようにかった。 「主様への百万円は、この通帳から即座に振り込む。
広告
……ということは、どういうことか分かるな?」
「な……ななな……」 「来度の学の授業料は、円も払えん。よって、おは本付で学を退学だ」
「た……退学ぅぅぅっ!?」 の絶叫が、喉の奥から引き裂かれるように響いた。 「嘘だろ!? あとで卒業なんだぞ! 学退なんて、俺の終わりじゃん! 就職だってできなくなるんだぞ!!」
「勉もせず、カフェに入り浸ってゲーム昧だったに、学に通う資格などあるはずがないだろうが!」 昭雄は吐き捨てるように言った。 「おは勉の息抜きにカフェへっていたのではない。ゲームのに、アリバイ作りのためだけに学へ通っていたのだ。そんな穀潰しに、これ以円のもすつもりはない!」
「嫌だ! 退学だけは勘弁してくれ! 頼むよ親父ぃぃっ!」 元に縋り付いて泣き叫ぶを、昭雄はけ容赦なく蹴りばすように突き放した。 勝な甘えを許してきた親子の関係に、決定な鉄槌がされた瞬だった。
広告
おすすめ作品
-
完結第20話
宅配箱を盗む隣家の子…餌を入れた翌朝、母親が激怒
ペットショップを営む榊哲也の家で、宅配ボックスから荷物が次々と消える。近所の目撃情報が指したのは、隣家の小学五年生・航太。しかし母親の千晶は「子どもを疑うな」と哲也を非難し、町内に悪い噂まで広め始める。哲也は自分宛ての荷物に店で扱う乾燥コオロギの餌を入れ、防犯カメラで行方を確かめることに。すると映像には、少年の行動以上に不可解な親子のやり取りが残されていた。さらに消えた荷物を追ううち、地域の見守り活動に関わる不自然な書類まで浮かび上がる。小さな宅配トラブルの裏に、何が隠されているのか。怒り|真相|修羅場2.8万字5 66 -
完結第14話
50人ドタキャンで廃業寸前、そこへ現れた意外な客
父から受け継いだ居酒屋「二鉄」を守るため、会社を辞めた32歳のテツ。廃業寸前の店に舞い込んだのは、元同僚・真治からの50人貸切予約だった。ところが宴会開始30分前、真治は突然の全員キャンセルを告げ、支払いまで拒否する。大量の料理を前に途方に暮れるテツ。そのとき、「今から50人入れますか?」と一人の青年が駆け込んできた。職場逆転|裡切られた|怒り|金銭問題|修羅場1.7万字5 330 -
完結第20話
5000万円の新居に義両親が無断で引っ越し――夫の嘘
実家の両親から五千万円の援助を受け、念願の新居を購入した。夫の健太とは親との同居をしないと約束し、二人だけの新生活を始めるはずだった。ところが引っ越し当日、義両親のベッドやタンスを積んだトラックが突然到着する。「今日から俺の親も住む。親孝行は当然だろ」と言い放つ夫。彩佳の同意もなく進められていた同居計画には、夫が隠してきた嘘があった。人生逆転|裡切られた|嫁姑|夫婦|相続|金銭問題|修羅場2.3万字5 786 -
完結第15話
義妹が奪った父のベンツ――事故の電話で義母が絶句
義母や義妹の身勝手な要求に耐えてきた由美。ある日、亡き父の形見であるベンツの鍵を義母に取り上げられ、義妹の美穂に渡されてしまう。車の位置情報を調べると、向かった先はレストランではなく港の倉庫街。無断で売却しようとしていることを知った由美は、弁護士とともに証拠を集め始める。ところが夫まで関与していたうえ、生命保険の受取人を変更しようとした疑いも浮上。そんな中、ベンツが事故を起こしたという電話が入る。義母が電話口で放った信じられない一言をきっかけに、家族が隠していた本当の思惑が明らかになっていく。兄弟姉妹|嫁姑|修羅場2.1万字5 651 -
完結第12話
昭和44年、終電後に消えた駅員――28年目に見つかった記録
昭和44年、長野県の小さな駅で働く杉原修一は、最終列車を見送った夜、8万6,400円の現金とともに姿を消した。父を泥棒と呼ばれながら育った娘の美緒は、28年後、取り壊しが決まった駅舎で古い駅務日誌を発見する。そこには、父が終電の55分後、赤いランプを持って七号橋へ向かったという不可解な記録が残されていた。運休したはずの貨物列車、書き換えられた帳簿、沈黙を守る関係者たち。父はあの夜、何を知り、なぜ帰ってこなかったのか。昭和の小駅に封じられた28年間の謎を追う、家族と真実の物語。時代|歴史|昭和|ミステリー|真実2.9万字5 271 -
完結第16話
母の初盆を禁じた義父が、土地の名義を知った日
亡き母の初盆へ帰ろうとした由美は、義父から「籍を抜いて出ていけ」と言い渡される。結婚二十五年の夫・浩司も味方にはならず、由美は静かに家を出ることを決意した。 しかし、義父一家が暮らす家の土地は、十五年前に母が購入した由美名義のものだった。さらに夫が、その土地を無断で借金の担保にしようとしていたことが発覚する。 母の残した古い鍵と書類を手に、弁護士を訪ねた由美。やがて明らかになる夫の裏切りと、義父母が隠していた計画。二十五年間耐え続けた妻の、静かな人生逆転の物語。怒り|嫁姑|夫婦|修羅場2.3万字5 4656 -
完結第14話
「一緒に浪人」は嘘だった――俺に届いた特待生通知
高校三年生の高瀬優馬は、恋人・彩佳の受験勉強を支えるため、自分の研究や試験対策を後回しにしてきた。「どちらかが落ちても一緒に浪人しよう」――その約束を信じていた優馬だったが、合格発表の日、受かった彩佳は彼をあっさり突き放す。しかし優馬には、彼女に隠していた特別奨学生の選考通知があった。自分の未来を取り戻す決意をした優馬は、名門工科大学で研究の才能を開花させていく。やがて大学のコンテストで再会した二人を待っていたのは、残酷なほど鮮やかな立場の逆転だった。因果応報|人生逆転|修羅場2.3万字5 710