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"車椅子の妻を離島に置き去り――船上の夫が見たもの" 第2話

消えた領収

事故に遭ったのは、半のの夕方だった。青信号で横断歩を渡っていたところへ配送用のトラックが曲がってきた。気づいたときには病院の井が見えていて、腰からが自分の体ではないようにかった。医師は脊髄の完全損傷だと説した。神経の働きが部残っていても、以のように歩ける保証はないと言われた。

啓介は当初、仕事を終えると毎病院へ来てくれた。私のをさすり、退院に使う子の寸法まで調べた。「歩けなくても、の活は終わらない」。そう言ってくれた夜、私はこのと結婚してよかったとからった。だから退院して半ほどたち、夫の帰宅が遅くなり始めても、疲れさせているのは自分だと考えていた。

けれど疲労だけでは説できないことが増えた。啓介は通院の付き添いを断る方、私が姉や移支援サービスを頼むと嫌になった。自分では伝わないのに、にを借りることも嫌がる。浴の改修事のことを持ちして恩に着せるくせに、私が領収を見せようとすると「細かい女だ」とった。

旅を持ちかけられた翌、私はその領収をもう度確かめようとった。類箱には事の見積と請求が残っていたが、振込控えだけが抜けていた。

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私はの取引履歴をき、改修会社へ百万円を送った記録を見つけた。振込は昨。夫の料座からたではない。

さらに妙な取引が件あった。週、私たちの活費用の共同座から万円が「業務替」の名目でされていた。啓介の会社はさな建材商社で、私はそこで働いていない。共同座から会社の替を払う理由などないはずだった。私は履歴を保し、額の横に赤い印をつけた。

「最、啓介さんの仕事はどうなの」。そのの午、姉の子が話で尋ねた。姉は歳で、夫をくしてからでさなを営んでいる。私は初めて、夫が賠償の通帳を欲しがっていることを話した。子はしばらく黙り、「それは世話をした対価として求していいおじゃない」と言った。

「あなたが使うおは、あなたが決めていい。にけないことと、判断できないことは別よ」

姉の言葉は簡単だったが、私は話を切ったあとも何度もい返した。子になってから、できないことばかりを数えていた。階段をれない。買い物袋を持ってく歩けない。のにでタクシーへ乗り移るのが難しい。けれど計簿をつけ、契約を読み、振込先を確かめる力まで失ったわけではない。

私は共同座の入通を自分のスマートフォンへ設定し直した。

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啓介にはらせなかった。をかすたびに夫を疑いたいわけではない。これ以、自分の活に何が起きているか分からない状態を続けたくなかった。設定を終えたとき、から本確認の通が届いた。見覚えのない端末でログインが試みられ、失敗していたという。

は夜の午分。私はそのころ寝にいて、啓介は居で、私のスマートフォンの充器を探していた。胸の奥がたくなった。夫がの話で指を震わせた理由は、単なる満ではないのかもしれない。

翌朝、私はへ話をかけた。取引履歴の照会と、第者による操作を防ぐための設定変更を依頼する。担当者は丁寧に続きを案内し、必なら移が難しい顧客向けの相談方法もあると教えてくれた。話を切る、担当者がつ確認した。「昨、ご主を名乗る方から、代理として座を管理できないかというお問いわせがありましたが、ご承ですか」。私は「承していません」と答えた。

夫はもう、私の同を待つつもりがないのだ。

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