"消えた路地の矢印" 第4話
分の回り
翌、俊は休憩を使って、診療所までの迂回を歩いてみた。
最初はひとりで歩くつもりだったが、活版所の直子が帳簿を閉じててきた。彼女は、にした鉛とさなノートを見せた。
「私もきます。をっているつもりでも、実際に測ったことはありませんから」
2はの入から幹線へた。しい歩は舗装の途で、ところどころに砂利が盛られている。横断歩の線はまだく、交通理の警備員がを止めるたび、歩者は急いで渡らなければならなかった。
「図では、ここを渡ることになっています」
俊が図面を指すと、直子は向かい側を見た。
「でも、あの角には荷物が積まれています。買い物帰りのは、いったんへりないと通れません」
「片付けてもらえば」
「片付けてもらえるなら、もう片付いています」
直子は責めるようには言わなかった。商の荷ろしは、が空いている朝にうしかない。先に荷物を置くをくするには、がる。事の都でがずれれば、荷物はに歩へる。
2は、別のを探した。郵便局の裏を通る細いは、表通りよりがなかったが、途に段差があった。自転なら勢いで越えられても、杖をつくには危ない。さらにむと、事柵が置かれ、は袋になっていた。
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「ここは、昨まで通れたんです」
直子が言った。
「事がんで、今から塞がれたんでしょう」
俊は柵の位置をノートにいた。は、図面に線を引けば終わるものではなかった。事のみ具で、昨のが今のではなくなる。
診療所へ着くまで、2は何度もち止まった。俊が腕計を見ると、最のなら5分で着く距に、18分かかっていた。
野医師は、診察のに2のノートを見た。
「これは助かります。患者さんのには、い距を歩けない方もいる。だけでなく、休める所や段差も切です」
護婦の野寺が、診療所の古い見取り図を持ってきた。そこには、患者がよく使うが鉛でき込まれていた。薬局から来る、青果の脇を抜ける、のに根のある通を使う。公式の図にはない細い線が、いくつもなっていた。
「昔から、患者さんにを聞かれるたびにきしてきたんです」
野寺は言った。
「ただ、これも古くなっています。がなくなるなら、き直さないと」
俊は、診療所の見取り図と自分のノートを並べた。役所の図は、の位置を正確に示している。診療所の見取り図は、がどこから来て、どこで迷うかを示している。どちらか方だけでは、実際の案内にならない。
会社へ戻ると、杉が作業員たちを集めていた。
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事区域の封鎖が予定よりまり、の入は3に閉じられるという。標識の取り付けも、それにわせて倒しになった。
俊はノートを差しし、迂回の問題を説した。
杉は最まで聞いたが、表は変わらなかった。
「よく調べた。だが、これは管理の仕事だ。うちが勝に別のを案内することはできない」
「正しいを確認して、役所に提案することはできます」
「誰がその確認を承認する。標識の設置所は、もう決まっている。期を遅らせれば、ほかの業者にも響がる」
「それでも、迷うがます」
「迷わせないために、標識を設置するんだ。だからこそ、違った標識はせない」
杉の声には、りよりも切迫があった。契約には期限があり、現には順番がある。ひとつの事を止めれば、次の作業員のが空き、資材の搬入が遅れ、別のの完成にも響く。
俊は、ノートを握りしめた。
「じゃあ、のたちは、どこを通ればいいんですか」
「役所が決める」
「決まるまでに、は閉じられます」
杉はしばらく俊を見つめていたが、やがてい声で言った。
「おが見つけたが、本当に全だという証拠をせ。歩ける、というだけではりん。とぶつからないか。夜は見えるか。事がんでも使えるか。そこまで調べてから、もう度来い」
許ではなかった。だが、払いでもなかった。
そのの夕方、俊がへ戻ると、入の古い板に赤い線が引かれていた。撤が、に変更されていた。
そして迂回の先では、しい事柵が運び込まれ、俊たちが午に見つけたの半分を塞ごうとしていた。
彼らには、正しいを探すさえ、残されていなかった。
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