"消えた路地の矢印" 第9話
枚の図
俊は、図を3枚に分けて描き直した。
1枚目は、役所から渡された図。の幅、の方向、事区域、完成予定を正確に写した。2枚目は、事主任と歩いて確認した作業の図。何にトラックが入り、どの柵がき、どこが通止めになるかを記した。3枚目は、診療所の野寺や商のたちに聞いた、暮らしの図だった。
そこには、患者が休む軒先、荷が曲がれない角、子供が学へ向かう、のにが溜まる所が記されていた。役所の図に比べれば、ずいぶん格好だった。線はなり、文字はさく、所によっては鉛の跡を消して何度も描き直している。
それでも、3枚をねると、ひとつのことが見えてきた。全に通れるがないのではない。通れると所が、それぞれ違っていたのだ。事両が入る午は通れないも、昼過ぎなら使える。荷ろしが終わるまで待てば、商の脇を通れる所もある。問題は、それをらないが、自分で見つけなければならないことだった。
杉は、3枚の図を作業台のに並べ、いこと見比べた。
「おは、を増やそうとしているんじゃないな」
「はい。今あるのから、歩くが使えるを選びたいんです」
「なら、選ぶのはおじゃない。現と、そこを使うと、管理する側だ」
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「だから、みんなに同じ図を見てもらいたいんです」
杉は、図の端を揃えた。
「、区役所の担当者と事主任を呼ぶ。診療所にも来てもらえ。説するなら、を見せるだけじゃ駄目だ。実際に歩いてもらう」
翌朝、俊たちは区役所の佐藤という職員を連れて現を歩いた。佐藤は最初、腕計を何度も見ていた。役所には別の会議があり、事の捗報告も待っている。けれど、横断歩ので、荷物を積んだが歩者の界を遮るのを見て、を止めた。
「図には、ここまでかれていませんね」
「の線だけなら、く必がないんです」
俊は答えた。
「でも、は線のを歩くわけではありません。を置ける所を歩きます」
佐藤は何も言わず、直子が持っていた3枚目の図を受け取った。診療所の患者がよくち止まる所、商の荷ろしがなる、子供たちがを横切る所。ひとつひとつの印を、現の景と照らしわせていった。
診療所へ向かう最のは、もう使えない。通りを回るは全だが、のいにはすぎる。そこで俊は、松稲荷の裏を通るを提案した。神社の境内に沿って歩き、裏の細い通から診療所のくへる。は入れないが、歩者なら通れる幅がある。
ただし、そこは公ではなかった。
「神社の敷を、案内板にくわけにはいきません」
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佐藤は即座に言った。
「所者の許が必です。事故が起きたの管理も決めなければならない」
「許をお願いしにきます」
直子が言った。
「を使わせてほしいと頼むだけでは駄目です。誰が掃除するのか、事のが入るはどうするのか、夜にが閉まったらどうするのか。先に決めておかなければ」
彼女の言葉に、佐藤は頷いた。今度は、断るための理由を探しているようには見えなかった。
神社の裏は、境内の倉庫へ荷物を運ぶためにも使われていた。神主の森田は、事のだけ通をけることに理解を示したが、条件をした。
「が通るなら、誰かが見ていなければいけません。境内をにするが増えて、夜にごみを捨てられては困る。けるを決め、毎、の状態を確認するを置いてください」
「町内会で交代できます」
直子は、すぐに答えた。
「ただし、事が終わったあとも通をけ続ける約束はできません」
森田はを押した。を借りることは、誰かに負担を引き受けてもらうことでもある。俊は、その条件をノートにき留めた。
区役所へ戻ると、佐藤は仮設の歩者ルートとして、期限定で案内板を設置する案を検討すると約束した。正式な標識ではなく、事区域内の歩者誘導として扱う。通の入とには、放を記する。
事のでが変わるは、現主任が朝に確認し、標識が板を移す。
すべてが決まったわけではない。類の承認にはがかかり、神社側との取り決めも必だった。だが、俊の3枚の図は、初めて役所の机ので、ひとつの案として扱われた。
帰り際、佐藤は俊に言った。
「図を作る仕事は、線を引くだけではないんですね」
翌、俊たちは提案したを、実際に歩くの目線で確かめることにした。野寺が杖をつき、直子が買い物籠を持ち、事主任がしきな荷物を抱えた。俊は先を歩かず、全員のろから、どこでが止まるかを記録した。
神社の裏へ向かう曲がり角では、案内板が建物のに隠れてしまう。側では、診療所へく矢印が見えるに、商へ向かうが別の角を曲がってしまう。そこで板のさを変え、矢印を見せる位置をしにずらした。
野寺は、杖の先で面を確かめながら歩いた。段差のでは、いったんち止まり、体の向きを変えてからをげる。直子は買い物籠を持ち替える所で、通の幅が狭いことに気づいた。図を眺めているだけでは、誰も気づかなかったことだった。
「案内板を読むは、いつも正面から見てくれるとは限りません」
俊は、板の角度を直しながら言った。
「荷物を持っていたり、を探して振り返ったりしている。
見える所に置かなければ、そこにないのと同じです」
佐藤はそので設置位置の変更を認めた。承認のための類は必だったが、現を見たの彼は、机の図面だけで判断しようとはしなかった。
翌、俊たちは提案したを、実際に歩くの目線で確かめることにした。野寺が杖をつき、直子が買い物籠を持ち、事主任がしきな荷物を抱えた。俊は先を歩かず、全員のろから、どこでが止まるかを記録した。
神社の裏へ向かう曲がり角では、案内板が建物のに隠れてしまう。側では、診療所へく矢印が見えるに、商へ向かうが別の角を曲がってしまう。そこで板のさを変え、矢印を見せる位置をしにずらした。
野寺は、杖の先で面を確かめながら歩いた。段差のでは、いったんち止まり、体の向きを変えてからをげる。直子は買い物籠を持ち替える所で、通の幅が狭いことに気づいた。図を眺めているだけでは、誰も気づかなかったことだった。
「案内板を読むは、いつも正面から見てくれるとは限りません」
俊は、板の角度を直しながら言った。
「荷物を持っていたり、を探して振り返ったりしている。見える所に置かなければ、そこにないのと同じです」
佐藤はそので設置位置の変更を認めた。
承認のための類は必だったが、現を見たの彼は、机の図面だけで判断しようとはしなかった。
翌、俊たちは提案したを、実際に歩くの目線で確かめることにした。野寺が杖をつき、直子が買い物籠を持ち、事主任がしきな荷物を抱えた。俊は先を歩かず、全員のろから、どこでが止まるかを記録した。
神社の裏へ向かう曲がり角では、案内板が建物のに隠れてしまう。側では、診療所へく矢印が見えるに、商へ向かうが別の角を曲がってしまう。そこで板のさを変え、矢印を見せる位置をしにずらした。
野寺は、杖の先で面を確かめながら歩いた。段差のでは、いったんち止まり、体の向きを変えてからをげる。直子は買い物籠を持ち替える所で、通の幅が狭いことに気づいた。図を眺めているだけでは、誰も気づかなかったことだった。
「案内板を読むは、いつも正面から見てくれるとは限りません」
俊は、板の角度を直しながら言った。
「荷物を持っていたり、を探して振り返ったりしている。見える所に置かなければ、そこにないのと同じです」
佐藤はそので設置位置の変更を認めた。承認のための類は必だったが、現を見たの彼は、机の図面だけで判断しようとはしなかった。
「僕も、最それをりました」
俊はそう答えた。自分が描いた線の向こうに、の音が聞こえるようになっていた。
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