"シャッターを切らなかった日" 第11話
を越えた面
昭47の、さんが国の雑誌を抱えて写真館へ駆け込んできた。
「たんだ。スミスさんたちの俣の写真が」
雑誌の名は『ライフ』。号に、俣を伝える写真記事が載ったのだという。さんは英語の説を指で追い、わかるところだけを訳した。僕は面に目を奪われた。写真の枚枚がかったからではない。その向こうに、撮られたとく向きったがあるように見えたからだ。
「世界のが俣をるようになるかもしれない」
さんは興奮していた。
僕も嬉しかった。排による被害を、町ののにってもらえる。俣の名が、無できないものになる。
雑誌を持って港へくと、漁に関わってきた老は「ようやく国まで届いたか」と言った。方で堂の主は、「今度は俣と聞いただけで客が来なくなる」と顔を曇らせた。僕はどちらかを違いだと言えなかった。被害をらせる必と、町のが今夜もをける必は、同にしていた。
けれど、恵子に雑誌を見せると、彼女はしばらく黙っていた。
「くのがってくれるのは、事だとう」
「うん」
「でも、ったがここに来たら、何をするんだろう。写真を撮って、帰るだけなのかな」
その問いに、僕はすぐには答えられなかった。
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数、展示の倉庫へ阪から来たという若い男が現れた。学の仲と募活をしていると言い、展示写真を複写して配りたいと申した。
「たくさんのにらせたいんです。患者さんのためになります」
彼の声には、嘘がなかった。
僕は展示の決まりをいたを見せた。
「写っているの解が必です。説文も、勝には変えられません」
男は困った顔をした。
「写真って、そういうものなんですか。僕らはいいことをしてるつもりだった」
「僕も、はそうでした」
結局、男は写真を複写せず、資料の送り先だけを聞いて帰った。さんはその話を聞き、「もったいない気もするな」と言った。
「広める会を逃したかもしれない」
「でも、僕らの写真じゃないものもあります」
「撮者は君だろう」
「それだけじゃ決められません」
僕は言いながら、以の自分なら、相のを理由に渡していただろうとった。
そのの終わり、枝さんのに、らない差から封が届いた。には千円札が枚と、いが入っていた。
《聞の写真を見ました。しでもお役にてばといます。》
枝さんはおを机に置き、しばらく見つめていた。
「ありがたいよ。でも、私はこのに、何を頼んだんだろう」
僕は返すべきだと言いかけて、を閉じた。千円はさな額ではない。
善を拒むことが、正しいとも限らない。
「をこうとう」
枝さんは便箋をした。
「私のは営業しています。もし気持ちを寄せてくださるなら、仕事を頼んでくださいって。そういたら、失礼かな」
「失礼じゃないです」
彼女はゆっくり字をき始めた。僕はその姿を撮らなかった。
封筒に切を貼ると、枝さんは言った。
「助けてくれるに、どう助けてほしいか伝えるのも、私の仕事なんだね」
雑誌の写真はを越えた。けれど、の返事が届くまでのい々は、町に残ったたちがきていくだった。
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