"シャッターを切らなかった日" 第12話
善のポスター
、倉庫の展示を片づけていた僕のところへ、枚のポスターが届いた。
阪の学たちがく支援集会の案内だった。さんがから送られたものを、恵子が持ってきた。の央には、見覚えのあるがきく印刷されていた。
枝さんのだった。
《病に奪われた暮らしを取り戻すために》
僕はその文字を読んで、背がたくなった。写真は、最初に聞に載ったものを複写したらしい。にさく、僕の名まで入っていた。
「この写真、許してない」
恵子はすぐに主催者へ話した。相はに倉庫へ来た青ではなく、別の学だった。彼は驚き、何度も謝った。
「聞に載っていたので、使っていいとっていました。募は患者さんの支援に使うつもりです」
「使いの話だけじゃありません」
恵子は落ち着いて説した。
「写っている方が、何を見せたいか決めているんです。そのを確かめずに使わないでください」
青は、印刷済みのポスターが百枚あると言った。集会は。今から全部を刷り直すはないという。
「止にした方がいいでしょうか」
その問いを聞いて、僕たちは顔を見わせた。
僕は受話器のそばで、百枚という数をい浮かべた。誰かが夜遅くまでを切り、糊を付け、駅や学へ貼りにくのだろう。
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違いを直すには、がる。だからといって、がかかることを理由に写真を使い続ければ、撮られたが負うだけが見えなくなる。恵子はそのことも学へ伝えた。
枝さんに相談すると、彼女はポスターをじっと見たあと、なことを言った。
「集会はやってほしい」
「でも、この写真は……」
「だから、写真を替えてほしい。印刷が無理なら、からを貼ればいい」
僕は驚いた。百枚のに、別の写真を貼る。も費用もかかる。
「にうでしょうか」
「やりたいなら、やるしかないよ。こっちの話を聞くって、そういうことでしょう」
僕たちは阪へ話し、学たちと話しった。彼らはポスターの写真部分にいを貼り、代わりに文章を入れることにした。
《写真の使用について本の承を得ていなかったため、掲示を取りやめました。俣の被害と救済については、当事者の声と公表資料をもとに考えます。》
会では、なぜ写真が消されたのかを説するも設けるという。
「写真がないと、見てもらえないかもしれません」
話の向こうの学はそうだった。
「だったら、なぜ写真がないのかを話してください」
僕が言うと、彼はし考えてから、「わかりました」と答えた。
集会が終わったあと、学たちからが届いた。
ににわせるため、学たちは夜通しポスターにを貼ったという。
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送られてきた枚の見本には、糊の跡がし残っていた。僕はそれを見て、写真を使う側にも変な仕事があったのだとった。それでも、誰かの解を取ることは、その仕事の最に付けす続きではなく、最初に考えるべきことだった。募の額は当初の目標に届かなかった。それでも、会で写真の扱いをめぐる議論が起き、次の集会では当事者を招く方法を考えたいとかれていた。
さんはを読み、「写真をしたことが記事になるな」と言った。
「それも勝にかないでくださいよ」
僕が返すと、彼は初めてきな声で笑った。
「そうだな。まず本に聞く」
その晩、僕は枝さんに結果を伝えた。彼女は集会の報告を最まで読み、机の引きしへしまった。
「私が断ったことまで、誰かの派な話にしないでね」
「……はい」
「断ったのは、私が私の仕事を続けたいから。勇気があったとか、偉かったとか、そういう話じゃないよ」
僕はうなずいた。
善は切だ。けれど、善を受けるの返事を聞かないままむなら、それはいつか別の荷になる。ポスターから写真が消えたことを、僕は失敗だとはわなかった。
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