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"死んだ母を名乗る女" 第7話

喫茶の密談と謎の男

翌の曜、午分。 駅の商の角にあるレトロな純喫茶『ルノアール』の奥まったボックス席に、私はで座っていた。 テーブルのには、ダミーの茶封筒が置かれている。は、役所から届いた適当な固定資産税の通を数枚ねただけのものだ。

約束の午ちょうど、カランコロンとのドアベルが鳴り響いた。 現れたのは、派な赤と黒の原を組みわせた物のチュニックに、ブランド物のバッグを肩にかけた千恵子叔母だった。 ぶりにで見るその顔は、化粧で隠しきれないいシワが刻まれ、だけが獲物を狙う獣のようにギラギラと濁っていた。

だが、驚いたのは叔母の姿だけではなかった。 叔母のすぐろに、仕ての良いグレーのスーツを着こなした、代の太りな男が、が物顔で付き従って入ってきたのだ。

「待たせたわね、美咲ちゃん!」 叔母は員の制止も聞かずに私の正面の席にドカリと腰をろすと、隣の男に目配せをした。 男もまた、値踏みするように私をからまで眺め回し、脂ぎった顔に笑いを浮かべて腰掛けた。

「叔母さん……その方は?」 私が警戒をわにして尋ねると、叔母はこれ見よがしに顎をしゃくった。

「紹介するわ。こちらは川島秀(かわしま・ひでき)さん。

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都内で広く産会社を経営されている社さんよ。私の……まあ、特別なお友達ってところかしらね」

川島と名乗る男は、胸ポケットから文字で印刷された名刺を取りし、指先で弾くようにして私のに滑らせてきた。【株式会社カワシマ・エステート 代表取締役 川島秀】

「初めまして、お嬢さん。坂さんからお話は伺っておりますよ」 川島はい声で、尊に語り始めた。 「くなられたお母様の遺言の件、法律な続きや税務処理は非常に複雑ですからね。素のお嬢さん方だけで処理するよりも、私のような産と資産管理のプロがに入った方が、円滑にむといましてね」

私は名刺を瞥し、ややかに角をげた。 「産会社の社さんが、の庭の遺言の確認にわざわざ同席されるなんて、随分とお暇なんですね」

「なっ……! 美咲ちゃん、何て失礼なを利くのよ!」 叔母がテーブルをバンと叩いてを乗りした。 「川島さんはね、私の将来のパートナーなの! 姉さんの遺言にいてある私の取り分は、全額、川島さんの会社を通じて運用してもらう予定なんだから! ほら、もったいぶらないで、さっさとその遺言を見せなさいよ!」

血になって茶封筒へを伸ばそうとする叔母。 その浅ましい姿と、隣で品定めするように目を細める自称・産会社社。

(なるほどね……そういうことか) 私は封筒を元にスッと引き戻し、の瞳を真っ直ぐに見据えた。 この女は、で潜伏していたのではない。 何らかの利害関係で結ばれたこの怪しげな男と結託し、私の実とその遺産を丸ごと掠め取ろうと画策していたのだ。

「慌てないでください、叔母さん。遺言の話をするに……まず、清算していただかなければならない話がありますよね?」 私の声が、氷のように研ぎ澄まされた。

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