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"3年眠った財閥社長を叩き起こした3歳の道士" 第11話

ひいおばあちゃんの特効薬

夕暮れ、陸の本邸の広な厨から、何とも言えない独特の芳が漂っていた。

甘いのようなり、しツンとを突く野性のあるり、そしてをじんわりと包み込むような温かい湯気が、廊杯に広がっている。

「加減はこれくらいでいいの! でコトコト、おが半分になるまでじっくり煮すんだから!」

踏み台のに仁王ちした兮兮が、で買ったの鍋をべらで丁寧にかき混ぜていた。さな額には汗がり、つぎはぎのの袖をきっちり襷(たすき)で結いげている。

普段はフランス料理や最級の広料理を腕を振るう敷の料理が、両をに揃えて恐縮しきりでの番を伝っていた。

「お、お嬢様、汁(あく)取りはお任せください! 傷をなさっては変です!」

「ダメダメ! 気持ちを込めないと薬が拗ねちゃうの! ひいおばあちゃんが元気になりますように、ぐっすり眠れますようにって、のでお祈りしながら混ぜるんだもん!」

厨の入りには、いつのにか奥様が杖をついてっていた。その横には、穏やかな顔つきになった晏蕭が付き添っている。

「まあまあ……あんなにさな子が、私のために……」

奥様は目を押さえ、隣の晏蕭を肘で突いた。

「見なさい、晏蕭。

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あんたがかかってもできなかった親孝を、この子は来てたったでやってのけたよ。爪の垢でも煎じてみなさい」

「……返す言葉もございません」

晏蕭が苦笑いを浮かべたその、兮兮がさな湯呑みに注がれた琥珀の薬湯を、お盆に乗せて慎に運んできた。

「ひいおばあちゃん、できたよ! いからフーフーしてんでね!」

奥様は腰を落とし、さなから湯呑みを受け取った。

見た目は濃い茶で、いかにも苦そうに見えたが、すすると、当帰と黄耆の芳醇な甘みと、茯苓のまろやかながいっぱいに広がった。

「……おいしい。ちっとも苦くないよ、兮兮。体が芯からポカポカ温かくなってくるようだわ」

奥様が最の滴までみ干すと、兮兮は満そうに胸を張った。

「えへへ! 当たりだよ! 峨眉の仙薬だもん! 今夜は悪いなんて絶対に見ないよ!」

その言葉通り、その夜、眠症に悩まされていた奥様は、に就くと同にい眠りに落ち、翌朝まで度も目を覚ますことなく、歳も若返ったようなれやかな顔で起きてきたのだった。

敷の使用たちが「神童だ」「き仏様だ」と騒ぎてる、晏蕭の斎には、陸グループの最幹部たちが集結していた。

机のには、柳飄飄の背にいた「陸の裏切り者」に関する調査報告が積みげられていた。

「社、やはり違いありませんでした。の事故の際、あなたのに細を指示したのは……」

秘のチェンが声を震わせながら、枚の写真を差しした。

そこに写っていたのは、晏蕭の叔父であり、グループの副総裁を務める陸振(ルー・ジェンドン)の姿だった。

「振叔父さんか……。俺が昏している、グループの資産を次々と私化し、柳と結託して実権を奪おうとしていた張本だな」

晏蕭の黒い瞳に、氷のようなが宿った。

「惜の居所を突き止めろ。峨眉のどの観に匿われているのか、今すぐ最医療チームを編成して救に向かう準備をしろ。邪魔する者は……親族であれ容赦はしない」

復讐の刃が、静かに研ぎ澄まされようとしていた。

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