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"「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘" 第2話

根を抜く

松さんは話を切らず、私が座り直すのを待ってくれた。は布団のでさな拳を握り、陸もまだ眠っている。夫だけが落ち着きなく窓のを見ていた。「幸、そこにいるんだろう。聞こえているなら返事をしなさい」。松さんの声に、夫は子どもの頃へ戻ったように「……いる」と答えた。

「先、親戚の枝さんから話があったんだよ。『松さんが入院したって幸くんから聞いたけど、見いはどこへ送ればいいの』ってね」。私の記憶がつながった。妊娠、幸は祖母が入院したと言い、私から万円を受け取っていた。その週、松さんは畑で採れた根を本送ってきたのだ。

「あのとき、退院したばかりなのに畑仕事をして丈夫かって聞いたよね」。私が言うと、幸は「本当に体調が悪かったんだよ」と反論した。松さんがすぐに遮る。「悪かったのはの邪くらいだ。入院なんてしてない」。彼女は親戚からの話のあと幸を問いただしたが、幸は「勘違いさせただけ」と言い張り、度としないと約束したという。

「どうして私には教えてくれなかったんですか」。責めるつもりではなかったが、声が震えた。松さんはしを置いた。「妊娠の乃ちゃんに、あの子の恥を背負わせたくなかった。私が叱れば止まるとったんだよ」

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。その判断が違っていたと、松さんは謝った。私は祖母の謝罪を受け取りながら、夫が度叱られても嘘をやめなかった事実を考えていた。

松さんは、幸が子どもの頃から困ると黙り込む癖があったとも話した。「昔はそれでも、あとで本当のことを言えたんだよ」。私は、祖母がまだ孫のに残っているはずの誠実さを信じたかったのだと理解した。ただ、信じたい気持ちで事実を覆えば、今度はと陸が困る。私は祖母を責めるより、ここから何を確かめるべきか考えることにした。

「今からそっちへくよ」と松さんは言った。私は産の体調を気遣ってもらい、夕方まで待ってほしいと頼んだ。先にすることがあったからだ。話を終えると、幸は「ばあちゃんはげさなんだ」とつぶやいた。私は反論せず、居の引きしからの通帳とカードをした。

「万円は渡さない。それから、活費の座のカードを返して」。夫は顔をしかめた。「なんで急にそんな話になるんだよ」。私は陸を起こさないように静かに答えた。「あなたが何度もおの理由を偽ったから。今は私が管理する」。夫は渋々財布からカードをしたが、指のでしばらくそうとしなかった。そのためらいが、別のを呼んだ。

その座は私の名義だった。産、貯の部を活防費として移し、切迫産で入院したときに備えて幸へカードを預けた。

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暗証番号も、病院への支払いを頼む能性があったため教えていた。私が退院してからも、夫は「買い物を引き受けるから」と言ってカードを持ち続けていた。

のアプリをき、私は残を見た。百万円ほど入れておいたはずの座に、万円しか残っていない。履歴をさかのぼると、万円、万円、万円と、数に分けたが並んでいた。病院へ払った記録とは額も回数もわない。私は画面を保し、にをき始めた。

「この百万円、どこへったの」。夫は瞬だけ画面を見て、目をそらした。「のことで使ったんだろ」。私は計簿をき、双子の産費用や賃は別の座から支払われていることを示した。夫はそれ以何も言わなかった。週にまれたのためのおが、説もなく消えていた。

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