みかん小説
本棚

"忘れたコートが教えてくれたこと" 第11話

会社が本当に守るべきもの

私が博との関係を終えてから数週。

直子さんから、度だけ話があった。

「ゆいさん。ご報告だけしておきたくて」

会社は、ついにから具体な資産理を求められたという。

追加融資や借り換えの条件として、

担保の追加。

事業規模の見直し。

遊休資産の売却。

どれかを形にしなければならない。

私のマンションを使うという提が消えたことで、笠原は初めて自分たちの資産だけで答えをす必に迫られた。

族と役員を交えた会議がかれた。

直子さん。

叔父である役員。

幸子さん。

博。

テーブルの央には、くなった父親が残した黒いファイルが置かれたそうだ。

「もう猶予はない」

叔父が言った。

「古い倉庫を売る。郊のも部理する。設備投資も延期して、会社の規模を落とす」

幸子さんはすぐに反対した。

「倉庫はだめよ。あれはお父さんが最初に建てた建物なのよ」

「会社がなくなったら、建物だけ残してどうする」

「でも……」

「お父さんが残したのは、倉庫じゃない」

叔父は言った。

「が働く会社だ」

その言葉に、幸子さんは黙った。

それでも最には博へ助けを求めた。

「博。あなたからも言って。お父さんの会社をさくしたくないでしょう?」

以の彼なら、母親に同調したのかもしれない。

しかし博は、しばらくを向いたあと、

広告

「もう無理だよ、母さん」

と言ったそうだ。

「俺たちが甘かったんだ」

幸子さんが息を呑んだ。

「の財産を当てにして、自分たちは何も失わずに今の規模を守ろうとした。その結果がこれだ」

直子さんは話の向こうで、静かに話していた。

「兄があんなことを言ったのは初めてでした」

そして直子さん自も、母親へ言った。

「お母さん。ゆいさんのマンションは危険に入れてもいいのに、自分の倉庫は嫌だというのは通らないよ」

幸子さんは泣いた。

しかし、もう泣いて決定が変わる段階ではなかった。

父親の記録には確にいてある。

まず自分たちの資産を理する。

部の犠牲なしに続できないなら、規模を縮する。

最終に、

古い倉庫は売却。

郊のの部も売却。

設備更計画は延期。

採算のい事業を縮。

社員のうちは別拠点へ配置転換。

もうは希望退職を選んだ。

量解雇にはならなかった。

会社も倒産しなかった。

ただ、

さくなった。

それだけだった。

「ゆいさんのマンションを使わなくても、会社を残すはありました」

直子さんが言った。

私は窓のを見た。

「そうですか」

議なほど、何もじなかった。

ざまあみろともわない。

かわいそうともわない。

ただ、

やっぱりそうだったのだとった。

《ゆいさんが断れば、が困る》

あの言葉は、

私が背負わなければならないではなかった。

彼らが自分たちの痛みを避けるために、

私へ背負わせようとしただった。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: