みかん小説
本棚

"朝八時までのヒーロー弁当" 第6話

窓から見ていた男

翌週、昼の注文はによって個から個のをき来した。のからまで歩くのに分もかからないが、昼休みはい。しず子は混雑を避けるため、受け取りを回に分けることを提案した。堀の班は正午、別の班は分。正夫は弁当を詰める順番を変え、できるだけべる直に渡せるよう夫した。

その、の柱のからの男がこちらをうかがっていた。目のに濃い隈があり、子のつばをくげている。しず子は顔を見ていした。が閉まる、夜勤けに疲れ切ってっていた男だ。正夫がさなおかずの包みをおまけしたことがある。「あのときの煮物、おいしかったです」と男はさな声で言った。「今は弁当、ありますか」。

「ごめんね、予約分で終わっちゃったの」。しず子が答えると、男は慌てて首を振った。「いえ、いいんです。次はに話します」。名を聞くと、検査程のだった。しず子は帳簿の端に名をき、話番号を伝えた。翌、は同じ程のを連れてやって来た。とも数はなかったが、蓋をけたときの顔を見れば、何を言いたいかは分伝わった。

昼の列がくなったの午、浦は堂の委託責任者から呼び止められた。「見込みより数が減っています。

広告

廃棄を減らすため、来週から仕込み数を調してもよろしいでしょうか」。浦は承諾したが、のでは納得できなかった。しい設備を作り、会社が補助もしている。社員にとって便利なはずの堂より、古いの弁当を選ぶ理由が分からなかった。

浦は自分の昼休みに堂へ入った。定のご飯は温かく、汁物もあり、献表には栄養の目がいてある。きな満は見当たらない。ところが席をつとき、隣のテーブルから「今の唐揚げは向かいで買った」「俺は煮物が好きなんだ」という会話が聞こえた。浦が振り向くと、若い社員たちは慌てて声を落とした。その反応がかえって浦を苛たせた。

午の打ちわせで、浦は堀に「班の堂利用率ががっています」と告げた。堀は「昼の選び方は作業の評価とは別でしょう」と返した。浦は「会社がえた環境を活用してほしいだけです」と説したが、堀は引かなかった。「堂があることと、全員が毎そこでべることは違います。に来ているのは働くためですから」。会議は瞬静かになった。

堀の言葉は、浦への反抗というより現の事実だった。番の社員には朝をでべるがない者がいる。夜勤けには、温かい定より軽いおにぎりを好む者もいる。

広告

昼休みがずれる程では、堂の混むを避けたい者もいる。浦はそれぞれの事を把握せず、利用者数をつの数字として見ていた。

では別の問題が起きていた。弁当を運ぶための台をかした正夫が、段差で膝をひねったのだ。事には至らなかったが、しず子はそので台を取りげた。「もういものは持たせないって言ったでしょう」。正夫は「このくらい」と言いかけ、妻の顔を見て黙った。夕方には湿布を貼り、翌から受け渡しの台をい位置に移した。

翔太が仕事帰りにち寄ったとき、正夫は残った弁当をつずつ確認していた。「親父さん、予約の数が分かれば余らないですよね」。正夫は「分かればな」と答えた。翔太はの話番号と注文締切をにき写した。「俺、班のみんなに聞いてみます。まずの分だけでも」。正夫は礼を言わなかったが、翔太が帰るときに「字はきくけよ。こっちは老だ」と声をかけた。

その晩、翔太は休憩の仲に相談した。自分たちでに注文をまとめ、当はが受け取りにけば、列もくなる。誰かに買うことを制するつもりはないし、会社の堂を悪く言うつもりもない。何をべるかを自分で選びたいだけだ。仲のが「それなら俺も伝う」と言い、別のが「注文表、作ってくるよ」

と応じた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: