"昭和62年、国鉄最後の日に駅弁を一つ売らなかった理由" 第4話
仮の売
がける、駅から度目の連絡があった。
会社への移、駅構内の販売方法を見直すため、既のにも見を聞きたいという。私は良治ではなく、自分で駅へ向いた。今までは類の名義である夫が説を受け、私には帰宅してから話すことがかった。
「今は私が伺います。弁当を作って売っているのは私ですから」
岡崎駅はし驚いた顔をしたが、子を勧めてくれた。
しい売は改札のに設ける共同販売台で、森渡駅の利用者向けに菓子、料、聞などを扱う予定だという。弁当を置く余もある。ただし、品数を絞り、朝の決められたまでに納品する必がある。
「うちは朝の急がまるに、売れきを見て追加しています」
「今は、それが難しくなるかもしれません」
「だったら、最初から数を決めて置くしかないんですね」
私は図面の余に、駅からまでのを描いた。踏切が閉まると、では分余計にかかる。の朝ならもっとだ。
「週、試してもらえませんか。指定のに個。残った数も記録します」
岡崎さんは隣の担当者と顔を見わせた。
「正式な条件が決まるですが、販売実績を確認することはできます」
私は駅をると、すぐにへ話した。
「良治さん、から個、別の箱にして。
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搬入を測りたいの」
「まだ決まってないのに?」
「決まるまで何もしないほうが怖い」
翌朝、私は美さんとで試した。箱の代わりに蓋つきの運搬箱を使い、掛には製造したとの連絡先を見やすく入れた。しい印刷代はかかったが、持ち運ぶときに崩れないよう、包み方も変えた。
初は個のうち個が売れた。目は個。目、急が遅れたせいで個しか売れなかった。
その目、私は売のそばでしばらく客の様子を見ていた。杖をついた男性が弁当をに取り、値札を見て戻した。学が、菓子パンをつずつ買っていった。張客らしい女性は、列の刻を気にしながら、弁当の箱を裏返していた。
「何かお探しですか」
私が聞くと、女性は困った顔をした。
「これ、内で膝に置いてべやすいですか。荷物がくて」
私は箱のきさを見た。いつも台ので詰めるから、膝のでどうなるか考えたことがなかった。
「ちょっときいかもしれませんね」
「は好きなんだけど、今はパンにします」
女性は申し訳なさそうに笑った。私は売れなかった個の理由を、帳面に初めて具体にいた。《箱がきい》。値段だけでなく、べる所も客は選んでいる。
「だめね」
私が言うと、美さんは首を振った。
「だめって決めるの、まだいです。
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個しか売れなかったは、昼にお弁当を買うがいなかったんです。おにぎりは売れましたよ」
「じゃあ、何を変える?」
「さいの、作りませんか。百円の鶏めしじゃなくて、百円台の」
私はその提案に驚いた。宮原の鶏めしは、昔から具のさが自だった。くすれば板を傷つける気がした。
しかし目、私はさな箱に鶏そぼろと卵焼きを詰め、試しに個だけ置いた。昼にはなくなった。
岡崎駅が売へ顔をした。
「これなら、通勤の方にもが届きますね」
久しぶりに、私の胸がしるくなった。
駅を追いされるのを待つだけではない。しい所で売る方法がある。
末最の営業、岡崎さんは試験販売の記録を見て言った。
「正式な担当部署にも、この数字を渡します。検討の台にはなりますよ」
私はをげた。きな約束ではなかった。それでも、自分でいて得た初めての答えだった。
へ帰ると、誠が珍しく私の試作弁当をべていた。
「母さん、これ、駅じゃなくても売れるよ」
私は笑って返した。
「そうかもしれないね」
そのときはまだ、駅ので売るという言葉のさを、分かっていなかった。
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