"昭和62年、国鉄最後の日に駅弁を一つ売らなかった理由" 第5話
パーセント
、しい販売条件の案が届いた。
私は台所の端にを広げ、数字をつずつ指で追った。共同売へ商品を預ける、売から販売数料を差し引く。売れ残りは原則としてが引き取る。納品は午分まで。置ける数は当初個程度。
数料はパーセント。
「百円の弁当なら、うちに入るのは百円とし」
良治が計算を叩いた。
「材料と箱で百円くらいだろ」
「残りで件費も灯油代も払うのね」
私は笑おうとして、できなかった。
駅に売が残っても、商売として残れるとは限らない。
私はを持って駅へき、担当者に尋ねた。
「売れ残りを引き取るなら、うちが売へ様子を見にってもいいですか」
「商品の追加や引き取りは、決められたにお願いすることになります」
「個を全部売ったら、午は空っぽの棚になるんですね」
「ほかの商品も置きますから」
私はそこでを閉じた。駅のにとって、弁当は商品のつだ。私にとっては、暮らしの全部だ。同じを見ていても、さが違う。
帰りに売のを通ると、らない男性が駅へ尋ねていた。
「しい会社になったら、売ももっと便利になるんでしょうね」
駅は、できるだけそうしたいと答えた。
便利になることを待っているもいる。
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私が困るからといって、誰も変化を望んでいないわけではない。私は数料のを鞄へしまい、もう度自分の計算をし直そうとった。
担当者は条件がまだ案の段階で、個別の契約交渉もあり得ると説していた。私はそので断ることも、承諾することもできなかった。
「個を置いて、全部売れても千円に届かない利益じゃ、は支えられない」
誠は言った。
「利益って、まだ賃も料も引いてないでしょう」
「そう。だから駅だけじゃ無理なんだ」
誠は自分の計画をまたした。国沿いの空き舗は、今に返事をすれば押さえられるという。
「この町のは、もう駅をに暮らしてない。で仕事へって、帰りに買い物をする。の所を変えるなら、今だ」
良治は反対した。
「借して失敗したらどうする。国鉄の仕事が減ったからって、らない商売にをすな」
「らない商売じゃない。弁当だよ」
「揚げ物を並べるは、うちの弁当とは違う」
私はを止めた。
「の仕込みがある。今はもう終わり」
その夜、寝るに帳面をいた。で、駅員や清掃会社から受けた定期注文は何個だったか。旅客向けの鶏めしは何個だったか。私が気づかずにいた売の偏りが、数字になって並んでいる。
翌、もっときな問題が来た。
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駅の清掃を請け負う会社から話があったのだ。から仕事の配置が変わるため、弁当の定期注文を末で終したいという。
週回、個ずつ。続いた注文だった。
「すみません。うちも員がどうなるか、まだ分からなくて」
話の担当者は申し訳なさそうだった。
私は受話器を置き、注文帳の同じ欄にまでといた。
さらに夕方、駅の事予定図が届いた。しい通の位置は確定にく、私たちの売は末で撤する。から共同売の準備がうまで、駅構内で販売できる所はないという。
つまり、からしばらく、私たちは駅で個も売れない。
その夜、美さんが仕事を終えたあと、私にだけ話しかけてきた。
「澄さん、保育園の先に言われたんです。仕事を続けるなら、来度の勤務先をいてくださいって」
「うん」
「私は、からもここで働けますか」
私は答えられなかった。
自分のが続くかどうかさえ分からないのに、の暮らしを約束できるはずがなかった。
美さんは責めなかった。ただ、いつもと同じように掛を片付け、を洗って帰っていった。
私は台所に残り、パーセントとかれたを裏返した。
駅を失うことより怖いことが、ようやく分かった。
私が決めるのを待っているがいる。
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