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"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第4話

病の密会と極秘の調査命令

翌の午。面会の始とともに、病の引き戸が静かにかれた。

音を忍ばせて入ってきたのは、仕ての良い濃紺の級スーツにを包んだ、髪交じりの初老の紳士だった。

神堂グループの顧問弁護士であり、私の腕としてグループの裏方を取り仕切ってきた、誠(たちばな・せいいち・歳)である。

彼は周囲の目を警戒し、見い客を装ってにしたフラワーアレンジメントの籠をサイドテーブルに置くと、ベッドを囲む仕切りカーテンを完全に閉め切った。

そして、カーテンの奥で居まいを正すと、々とをげた。

「……総帥。ご無事で……本当によくぞご無事で還されました」

の声はく抑えられていたが、その語気には隠しきれない激しい震えと堵が滲んでいた。

「救急搬送の報を受けて以来、々法務部も医療デスクも、きたがいたしませんでした。総帥の『素性をかさずに療養する』という厳命がなければ、今すぐにでも部隊を率いてこの病院を買い取り、最峰の医療チームを突入させていたところです」

「配をかけましたね、さん。……見ての通り、臓はまだ軋みますが、は完全に覚しました」

掠れた声で答える私を見て、は痛ましげに眉根を寄せた。

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そして、ベッドサイドの無質な空を瞥し、怜悧な法曹の目をらせた。

「……やはり、剛田の者は、も姿を見せていないのですか」

「ええ。、誰として来ませんでした。今朝届いた夫からの話は、『く義母の座に千百万円を振り込め』という罵倒だけでしたよ」

私がを交えずに事実を告げると、のがりでピクリと震えた。

「万に値する愚です……! 総帥がどれほどの慈をもってあの者たちを養い、倒産寸だった剛田物産を億円もの包括保証で支えてきたか、ほどもらずに……! 総帥、今すぐグループの全権を発し、剛田への制裁に着すべきです!」

「そのに、さん。つ、確認しておきたいことがあります」

私は痛む体をベッドのリクライニングでしだけ起こした。

「私が倒れて以来、義母への毎百万円の送は止まっているはずです。その状況を正確に把握したい」

は無言で頷くと、持参したブリーフケースから、固な体認証が施された型の専用セキュリティ端末を取りした。

画面を操作し、神堂グループの資産管理ネットワークへアクセスする。

「はい。総帥の個信託座から剛田数氏の個座への自送システムは、総帥の体アクセスが途絶えた点で、非常プロトコルに基づき自凍結されております。

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先分および今分の計千百万円は、完全に送保留となっております」

「……やはりね。彼らが私を罵倒し、ヒステリーを起こしている理由はそれです」

「なんと浅ましい……。自らので稼いだでもない施しが止まっただけで、瀕の妻につ当たりをするとは」

の吐き捨てるような言葉を聞きながら、私は考の糸を鋭く紡ぎしていった。

「さん。ここでつ、な疑問がじます」

「と、仰いますと?」

「送が止まったのは先の初旬です。剛田は、私が与えていた毎百万円の遣いを、毎綺麗に使い切るような放漫な活をしていました。貯蓄などほとんどないはずです。……にもかかわらず、なぜ彼らは先、座の級や商での買い物を平然と続け、今になってようやく引き落とし能に陥ったのでしょう?」

がハッと息を呑み、鏡の奥の目を鋭く細めた。

「……所から、まとまった資を調達して穴埋めをしていた、と?」

「ええ。剛田物産の財務状況、そして直かの達也と義母、義妹の履歴と資の流れを、徹底に洗いしてください。神堂グループが億円の債務保証をしている以、々には剛田物産の全ての帳簿と取引履歴を監査する完全な法権利があります」

私の声から、妻としてのさは完全に消え失せていた。

絶対な支配者としての徹なが、を見据える。

「彼らがどこからを引きし、何に使っていたのか。円の狂いもなく特定しなさい。……逃げをすべて塞ぐための、完璧な包囲網を敷くのです」

「御に。直ちにグループの極秘監査チームをかします」

はく礼し、静かに病を辞していった。

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