"60日間見舞いゼロの夫、退院した妻に600万円を要求" 第12話
億円の債務保証解除
着信の画面に表示されていたのは、【剛田物産・財務担当専務】の文字だった。
達也はいらちを隠そうともせず、乱暴に通話ボタンをスワイプした。
「おい専務! 今、事な族会議だって言っただろうが! 何の用だ!」
しかし、受話器から返ってきたのは、息を呑むような絶叫だった。
スピーカーの音量が漏れ、リビングの隅々にまでその痛な叫びが響き渡る。
『しゃ……社!! 今すぐ会社に戻ってください! 惨事です、とんでもないことが起きました!!』
「な、なんだよ袈裟な! 何があったって言うんだ!」
『たった今、メインバンクの帝都メガバンクから緊急通が届きました! 神堂グループによるが社への億円の包括債務保証が、正式に完全解除されたと通達がありました!!』
「……は?」
達也の顔から、瞬にして余裕のが抜け落ちた。
「ほ、包括保証の解除……? 神堂グループが……? なんで、そんな……」
『それだけじゃありません! 側から、本正午を期限とする億円の融資残の即括全額返済を求められています! 会社の全預座はすでに保全凍結され、本決済予定の形億千万円が落ちません! このままでは、あとでが社は渡りをして倒産します!!』
「な……なんだとォォッ!?」
達也のからスマートフォンが滑り落ち、毛のい絨毯のに鈍い音をてて転がった。
広告
「う、嘘でしょ……? 倒産って、どういうことなのよ達也!」
数が泡をってちがろうとするが、がもつれてソファに倒れ込む。
「億円って何よ!? 私の百万円はどうなるのよ!?」
を同じくして、数のスマートフォンにもけたたましい通音が鳴り響いた。
画面には、京方裁判所民事執センターからの【建物渡断仮処分決定通】の子速報が表示されていた。
『貸主ミオ・エステート同会社による契約解除に基づき、本午をもって本物件の法占者たる剛田達也名の即退を命ずる』
会社倒産。
億円の即括返済。
そして、億円の豪邸の制退。
達也の顔面から、あらゆる血の気が引いていった。
赤黒かった肌が気に変し、膝の関節がガクガクと激しく震えす。
「な……なんでだ……。神堂グループが、どうして突然、俺の会社を見捨てるんだ……? あの保証があったから、うちは流商社として……」
「まだ分からないのですか、達也さん」
私が静かに歩へ踏みすと、達也は幽霊でも見るかのように退りした。
「あなたが『流商社』として威張り散らし、豪遊できていたのは、あなたの実力などではありません。すべて、私が裏で神堂グループをかし、億円の信用を与えていたからですよ」
「お……が……? 何を、馬鹿な妄を……」
その、ドガアンッ! と響きのような轟音とともに、リビングの巨な両き防音ドアが側から力任せに押しかれた。
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
結婚初夜、義母を助けた私を殴った夫の誤算
結婚初夜、夫の実家で義父が義母の首を絞める現場を目撃した公認会計士の直美。助けようとした彼女を、信じていた夫・翔太は平手打ちし、「見て見ぬふりを覚えろ」と命じた。直美は義母を病院へ運ぶが、夫一家は弁護士と金の力を使い、彼女の口を封じようと動き始める。そんな中、義母が密かに託していた記憶装置が見つかった。嫁姑|絶縁|親子関係|介護2.6万字5 220 -
完結第25話
母との同居後、妻が倒れた――医師が私だけ呼んだ理由
父を亡くした春樹は、一人暮らしの母・節子を心配し、妻の夏美と三人で暮らし始める。家事も母の通院もこなす妻を見て、同居はうまくいっていると思っていた。ところがある朝、夏美が突然倒れ、救急搬送される。医師に一人だけ呼ばれた春樹は、妻の体に起きていた異変を知らされる。変更された婦人科の予約、開かれなかった白い封筒、妻に任せきりだった家の用事。自分は家族を守っているつもりだったのに、何を見落としていたのか。人生逆転|嫁姑|夫婦|親子関係3.1万字5 285 -
完結第15話
認知症の父を選んだ私を捨てた夫、5年後の再会
「俺と、あのボケた親父。どっちを選ぶんだ?」 認知症と診断された父を支えようとした都子は、夫の一郎から離婚を突きつけられる。長年の夢だった洋食店の継承も難しくなり、介護と生活に追われる日々。それでも地域の支援を頼り、父の料理を生かした新しい仕事に挑戦する。 五年後、介護事業者の交流会で元夫と偶然再会。若く美しい社長の妻と子どもがいると自慢する一郎だったが、都子は彼が指さした女性をよく知っていた。嫁姑|夫婦|親不孝3.1万字5 44 -
完結第13話
貧乏なふりで結婚挨拶へ――彼女の父に正体を見抜かれた
三十四歳の神谷優馬は、恋人・水希の両親へ結婚の挨拶に行く日、わざと古いスーツと傷んだ靴を選んだ。実は大企業グループ会長の息子だが、その素性を二年間隠していたのだ。相手の家族が金や家柄で人を判断しないか、確かめるつもりだった。ところが、訪ねた水希の実家は、自分の家をはるかに上回る巨大企業グループの会長宅。しかも初対面のはずの父親は、優馬を見るなり意味深に笑った。人生逆転|真実|第二の人生|金銭問題3.3万字5 14 -
完結第15話
50万円で嫁がされた私、6年後に見た父の姿
昭和63年、教師になることを夢見ていた19歳の藤崎千春は、父が受け取った50万円の結納金と引き換えに、東北の山村へ嫁がされる。進学を諦め、過酷な農作業に追われる毎日。ところが、段ボールの底に隠していた受験参考書を義母に見つけられた日、千春の運命は思いがけない方向へ動き始める。夫と義父母の支えで夢を取り戻した千春は、6年後、教師となって実家へ帰る。しかし庭先で目にしたのは、かつて自分の進学を許さなかった父の、信じられない姿だった。第二の人生|親子関係|金銭問題2.4万字5 436 -
完結第20話
父の死後、姉に追い出された私が嫁いだ農家の秘密
五年間、父の介護を一人で担ってきた三十三歳の美咲。ところが父の死後、二人の姉は遺産の独占を企て、美咲に実家から出ていくよう迫った。失意の中、美咲は交際相手の米農家・宮田大輔との結婚を決意する。しかし嫁ぎ先には七千二百万円もの借金があり、姉たちからも貧乏農家の嫁だと嘲笑される。それでも夫と田んぼを守ろうと決めた美咲に、大輔は「明日、俺の仕事場を見てほしい」と告げる。翌朝、連れていかれた巨大な倉庫で、美咲は思いもよらない光景を目にする――。夫婦|相続|絶縁|親子関係2.6万字5 512 -
完結第20話
朝八時までのヒーロー弁当
工場の門前で40年間、社員たちに弁当を作り続けてきた正夫としず子。ところが、新しい社員食堂の開設を機に、部長から突然取引を打ち切られてしまう。売れ残る弁当、痛む膝、減り続ける売上。店を閉める覚悟をした二人だったが、ある日、古くからの常連が昼食の注文にやって来る。それをきっかけに、店先には再び社員たちの姿が増え始めた。一方、工場では思いがけない問題が起ころうとしていた。感動|真実|裡の顔|金銭問題4.5万字5 322 -
完結第17話
忘れたコートが教えてくれたこと
結婚式まであと3週間。高橋ゆいは婚約者・博人の実家に忘れたコートを取りに戻り、衝撃的な会話を耳にする。食卓に広げられていたのは、祖母から相続した自分のマンションを、博人の実家が営む会社の追加担保にする計画書だった。しかも本人への説明は「婚姻後1週間」の予定。14人の従業員を守るためだと訴える婚約者の母と、すべてを知りながら黙っていた博人。人生逆転|裡切られた|夫婦|真相|修羅場2.0万字5 413 -
完結第22話
「祖母が危篤」と10万円を求めた夫の大嘘
双子を出産してわずか3週間。看護師の雪乃は、夫の幸一から「祖母が危篤だから10万円ほしい」と頼まれる。ところが本人に電話すると、83歳の松江は畑仕事の真っ最中。「またあの子は私を死にかけにしたのかい」と呆れた声を上げた。夫の嘘をきっかけに、雪乃は生活費の口座から多額の貯金が消えていることに気づく。祖父母と孫|夫婦|第二の人生2.8万字5 635