"夜勤明けに鍵を替えられた私" 第12話
調が終わった
回目の調で、婚と財産分与について筋がまとまった。徹は最まで「やり直したい」と言ったらしい。調委員を通して伝えられたその言葉に、私は驚かなかった。彼は私が戻れば、以の暮らしに戻れるとっているのかもしれない。
私は「気持ちは変わりません」と答えた。の鍵を替えたことだけでなく、私をに見て、謝らせようとしたことが積みなっていた。徹がから謝っても、あのへ戻りたいとはえなかった。
婚届の提は、弁護士と確認して決めた。徹が緒に役所へくことはなかった。必な類をし、続きが終わると、私は建物ので度ち止まった。解放されたというより、区切りがついたじだった。
財産分与で受け取ったおは、しい活のために使うことにした。きな買い物をするつもりはない。まずは活費の予備を確保し、必な具を揃える。自分の料で暮らしていける見通しもっていた。
病院へ戻ると、真帆が「今は顔がすっきりしていますね」と言った。私は「婚が成したの」と伝えた。彼女は「お疲れさまでした」と言い、余計なことは聞かなかった。
その夜、で夕飯をべた。凍しておいたスープとパンだけの簡単な事だったが、好きなにべて、好きな番組を見た。
広告
誰かに謝らせられることも、嫌を直すために言葉を選ぶこともない。静かな部で、私は初めて自分のを取り戻した気がした。
調の最終段階で、徹はもう度「考え直してほしい」と伝えてきた。私はその言葉を聞いても、はかなかった。婚するかどうかを迷っていた頃なら、謝罪の言に期待したかもしれない。でも、今は戻る活を像できなかった。
財産分与は、双方の記録を確認したで決まった。私はマンションを受け取らず、結婚に築いた財産について自分の取り分を受け取る。徹はにみ続けることになった。私は、額が妥当だと弁護士に確認してからした。
婚届をす、役所の窓で類を提した。終わった、私はすぐに笑ったり泣いたりはしなかった。ただ、次に何をするかを考えた。昼をべて、午から病院へく。活は続いていく。
夜勤、真帆が「無理しないでくださいね」と声をかけてくれた。私は「ありがとう。もう丈夫」と答えた。
婚届をしたあと、私はしい名字に戻す続きをめた。職では旧姓を使い続けていたので、患者さんや同僚に説することはなかった。それでも、保険やの続きはつずつ必だった。類に自分の名をくたび、活の形が変わっていくのをじた。
広告
夜、部でになった、ふと徹に何か連絡する必があるのではとった。すぐに、もう必な連絡は弁護士を通して終わっているとい直した。寂しさが残ることと、戻りたいことは違う。私はその夜、好きな音楽をかけて眠った。
役所をた、私は駅の売でさなケーキを買った。誰かに報告するためではなく、自分で区切りをつけたかったからだ。部に帰り、お茶を入れてでべた。
調でした内容は、弁護士に何度も確認してもらった。徹はマンションにみ続ける。私はの権利を求めない代わりに、結婚の預やローンの負担を含めて計算した分与を受け取る。額だけでなく、支払い期や必類も決めた。から「そんな約束はしていない」とならないよう、すべて面に残した。
徹からは、最まで「に戻ってやり直そう」という言葉があった。私は、その言葉に返事をしなかった。戻ることができない理由を、もう度説する必はない。私は調委員に婚のが変わらないと伝えた。
婚届をした、役所の窓は混んでいて、番号札を持ってしばらく待った。類が受理されると、職員が続きは終わりですと教えてくれた。私は軽くをげ、へた。きな音がしたわけでも、世界が変わったわけでもない。
ただつ、終わったのだと分かった。
広告
おすすめ作品
-
完結第18話
3年ぶりの帰省、弟嫁がゴミ箱を漁っていた理由
32歳の玲奈は、3年ぶりに実家へ帰り、弟の妻・南が別人のように痩せていることに驚く。夕食の席でも南の前には料理がなく、家族は誰も気に留めない。その深夜、台所で物音を聞いた玲奈は、ゴミ箱を漁る南の姿を目撃する。「食べられるものを探していました」――その言葉をきっかけに、母と弟が南に強いていた異常な暮らしが明らかになっていく。さらに、南が隠し持っていた手帳には、翌朝に迫る恐ろしい約束が記されていた。玲奈は弟嫁を守るため、信じていた家族と向き合う決意をする。因果応報|人生逆転|兄弟姉妹|嫁姑|夫婦|修羅場2.4万字5 11 -
完結第11話
新婚初夜の裏切り
結婚式を終えた夜、美香はホテルの浴室から、夫の健太が自分のバッグを探る姿を目撃する。持ち去られたのは、父から贈られた1億円の預金口座のキャッシュカードだった。翌朝、健太は「弟の用事がある」と言ってホテルを出ていく。以前から義母と義弟は、8800万円の新居を欲しがっていた。まさか、私のお金で家を買うつもりなの? 夫を問い詰めず、黙って様子を見る美香。やがて不動産会社から、思いもよらない電話がかかってくる。結婚初日に露わになる夫の本性と、美香が密かに用意していた対抗策とは。兄弟姉妹|夫婦|ATM扱い|金銭問題1.8万字5 9 -
完結第10話
もやしと消えた仕送り
フリーランスのデザイナーとして働く里見は、一人暮らしの母・春江に毎月10万円を仕送りしているつもりだった。ところが、久しぶりに訪ねた実家で目にしたのは、冷やご飯ともやしだけの寂しい食卓。母は仕送りなど一度も受け取っていないと言う。家計を任せていたのは、優しく頼りになる夫の久し。疑念を抱いた里見が夫のスマホを確かめると、そこには信じがたい送金記録と、妻をあざ笑うメッセージが残されていた。さらに、夫が隠していた給与明細にも不可解な数字が……。信じていた家族の裏切りを知った里見の反撃が始まる。裏切られた|嫁姑|親子関係|金銭問題1.5万字5 33 -
完結第10話
「中卒女に現場は無理」職人10人が辞めた結果
中学卒業後、十五歳で職人の世界に飛び込んだ堀江千夏。三十二歳で工務店の現場責任者に抜擢されるが、古参の職人頭・岩木は「中卒の女に現場が回せるか」と嘲笑う。やがて岩木を含む十人が一斉に退職。大型介護施設の改修工事は納期目前なのに、残された職人はわずか三人だった。しかし千夏には、十七年間積み重ねてきた技術と、二十冊を超える黒い手帳があった。仲間とともに現場の立て直しに挑む千夏。その一方で、手帳に記された資材の数字が、会社に隠された不審な事実を浮かび上がらせていく。職場逆転|因果応報|人生逆転|修羅場1.3万字5 25 -
完結第20話
夫の昇進を伝えた瞬間、父が命じた全財産の移転
夫・達也の専務昇進を喜んだ美桜。ところが父に報告すると、返ってきたのは祝福ではなく、「財産をすべて母さんの名義に移しなさい」という不可解な指示だった。昇進を境に夫は横柄になり、義母まで豪邸と通帳を自分たちのもののように扱い始める。さらに、高額な宝石の領収書や会社の不審な資金移動が見つかり、美桜は夫の裏の顔を知っていく。嫁姑|夫婦|金銭問題2.5万字5 24