みかん小説
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"喫茶ひばりの百円玉" 第2話

百円玉はコーヒーのがしない

曜、ゲームの業者が集に来た。赤羽という代の男で、いつも紺の背広を着ている。台の鍵を順にけ、貨を袋へ移してから、卓の帳面に数字をいた。

「いやあ、杉原さん、いい所を押さえましたね。駅からいし、学帰りのでもある」

「学帰りの子に来てもらいたいわけじゃないんですけど」

「まあまあ。今はどこもこうですよ」

赤羽は売を数え終え、契約どおり半分をひばりの取り分として渡した。袋のには百円玉が詰まっている。律子がさに驚いていると、赤羽はしいゲームの話を始めた。

「来にはもっと客を呼べる械もあります。いっそ全部入れ替えませんか」

「今ので分です」

「今が稼ぎどきですからね。ブームは待ってくれませんよ」

赤羽が帰ったあと、律子は売帳をいた。ゲームの取り分は確かにきい。しかしコーヒーと軽の売はの半分以になっていた。豆は仕入れ量を減らしたが、卵やパンは読み違えると余る。夕方はゲームの客で満席なのに、昼は子が空いている。客がいほど、律子は両替との追加に追われた。

「売が増えたんだから、いいじゃないか」

清はそう言って聞をたたんだ。

「売と元に残るおは違うでしょ」

「俺だってそれくらいってる」

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「じゃあ、パンが何斤残ってるか言ってみて」

清は答えなかった。律子も言い過ぎたとったが、謝るのはあとにした。

昼すぎ、アルバイトの岸恵子が来た。歳の恵子は裁学へ通いながら週働いている。の様子を見るなり、エプロンの紐を結ぶを止めた。

「奥さん、今も塚さん、来てないんですか」

「先週からね」

「この、駅のベンチで聞読んでましたよ。がりそうなのに」

律子は窓のを見た。塚はのもれのも、午になると聞を持ってひばりへ来た。聞を買って読むだけならでもできる。どうしてわざわざへ来ていたのか、律子は考えたことがなかった。

「あと、富さんのお直し、うちに持ってくるが減ったみたいです」

「それ、どういうこと?」

「で会えるとって来たが、ゲームで席がないから帰っちゃったって。富さん、話を引いてないでしょう」

富は暮らしで、には話がない。客からの連絡は所ので受け、ひばりで待ちわせることもかった。律子はそこで初めて、窓際の席が富にとってさな仕事だったとった。

「そんな事なこと、言ってくれればよかったのに」

「言わなくても丈夫だったから、言わなかったんじゃないですか」

恵子の言葉は穏やかだったが、律子にはが痛かった。

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その夕方、常連だった理髪の田代が、久しぶりに顔をした。律子がんで「コーヒー、いつもの?」と聞くと、田代は首を振った。

「両替だけ。うちの客に頼まれてさ」

「田代さんまで?」

「何だよ、俺が宇宙を撃っちゃいけないのか」

田代は笑ったが、内を見て声になった。

「ここで話すと声を張らなきゃいけないからな。はしゃべってる。休憩ぐらい静かにしたいんだよ」

律子は百円玉を渡し、田代の背を見送った。何も言い返せなかった。

夜、帳面を広げ直した律子は、ゲームの取り分の横に赤い線を引いた。数字は確かに計を助けている。根の修理代を考えれば、今すぐ械をす勇気はない。

だが、喫茶の客が減った理由を「代が変わったから」で済ませるのも違う。彼らはくへ引っ越したわけではない。今も同じ商を歩いている。

清が湯呑みを置きながら言った。

「お、そんなに嫌なら械を返せばいい」

「返して、来の根代はどうするの」

「だから置いとくんだろ」

「置いとくなら、何か考えないと」

はしばらく黙った。窓のでは、商の灯が本ずつ消えていく。

律子は翌の仕込み表の余に「客の名」とき、富、塚、田代、との名を並べた。最に空けたところでが止まった。もをやってきたのに、ほかに誰が来なくなったのか、すぐにはいせなかった。

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