"喫茶ひばりの百円玉" 第5話
会のみを握った女
「その袋、全部使うつもりだったんですか」
律子が尋ねると、坂井は布袋を背広の内側に隠した。
「全部じゃない。今はしだけだ」
「しって、いくら?」
「……千円くらい」
「回もやるのに、の無駄なんですね」
坂井は苦い顔をした。律子はコーヒーを入れ直し、彼のに置いた。を閉めたあとの杯だから、は取らないことにした。
「会、そんなに面いなら、役員会で言ってくださいよ。遊ぶの気持ちもわかるって」
「それとこれとは別だ。商には責任がある」
「うちには責任がないと?」
「そういうじゃない」
坂井は言葉を探した末、カップを持ちげた。
「正直に言えば、面いよ。計の修理をしてると、細かい部品を何も見つめるだろう。あれは違うことを考えられる。ただ、面いからこそ、子どもがやめられないのもわかる」
律子はしだった。坂井が遊んでいるとった瞬、ただの偽善者だとったのだ。
「だったら、やめさせるだけじゃなくて、どうしたらいいか考えませんか」
「まずが自分で決まりを作るべきだ」
「作ってます。制の子には注してるし、自転も」
「それでも苦は来ている」
話は平線だった。坂井はコーヒーをみ干し、最にもう度だけゲームをした。律子は止めなかった。
次の役員会の、律子はめに集会所へった。
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で使う帳面を持ち、恵子と考えた改善案をにいてある。自転の置き、学への声かけ、閉刻。それを話せば、しはわかってもらえるとっていた。
だが会議が始まると、坂井は回と同じ調子で言った。
「ゲームは商の雰囲気を変えます。も子どもも、あれにを取られている。祭りのだけでも、械をかさないようにしたい」
律子ので、何かが切れた。
「会だって遊んでるじゃないですか」
部が静かになった。坂井が顔をげる。
「先週の曜、閉にうちへ来て、何回もやってましたよね。研究だとか言って」
百の主が「えっ」と声をした。文具の若い主は元を押さえた。坂井はしばらく黙っていたが、やがて背筋を伸ばした。
「そうだよ。やった。面いともった」
「じゃあ、どうしてにはの無駄だって言うんですか」
「私がやったことと、子どもが帰宅を遅らせていることは別の話だろう」
「都のいい話です」
「杉原さん、私のことを笑いたいなら笑えばいい。でも森田さんのところが困ったのは本当だ」
律子はをつぐんだ。美津子はそのの会議には来ていない。だが啓介の件を持ちされると、反論できなかった。
そこへ菓子の主が割って入った。
「会もやってたなら、悪いのはゲームじゃなくて、使い方じゃないですか。
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にはいいけど子どもには駄目とか、はっきりさせましょうよ」
「それを決めるための会議だ」と坂井が答えた。
会議はわぬ方向へんだ。誰が何まで遊べるのか、側はどこまで見守るのか。話すほど見が割れた。最に決まったのは、祭りに参加するは当ゲームをかさないこと、普段の営業については各が利用の決まりを掲示し、苦が続けば改めて協議することだった。
律子のだけを締めす案は消えた。しかし彼女の改善案は、最まで読まれなかった。
会議が終わると、坂井はをまとめてていった。百の主が律子の肩をたたいた。
「やるねえ、杉原さん。あの会がインベーダーとは」
笑い声が起こった。律子も瞬笑ったが、すぐに気分が悪くなった。坂井がゲームをした事実は、誰の困りごとも解決していない。
翌朝には噂が商を周していた。計ので、客が「会、今は宇宙退治しないの」とからかう。坂井は笑いをしていたが、昼にはのシャッターを半分ろした。
ひばりの入にも、誰かが鉛でいたが挟まれていた。
《子どもにはだめで、会にはいいんですか》
律子はを破りかけ、やめた。自分が役員会で言ったことと、ほとんど同じだったからだ。
そのの夕方、啓介が久しぶりに来た。
制ではなく私だった。
「おばちゃん、俺、入っちゃだめ?」
律子は即答できなかった。の決まりはまだ、誰にも説できる形になっていなかった。
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