"新幹線で母娘の席を奪った女、現れた女性を見て絶句" 第3話
いブラウスとたいコーヒー
プシューッという音とともに扉がき、列がゆっくりときしました。
私たちは比較い順番で乗り込むことができたため、方向の窓側と通側、掛けの空席を無事に見つけることができました。
「よかった、ちゃんと座れたね」 「うん! 窓のところがいいな!」
パニミが嬉しそうに窓際の席へ滑り込みます。 私は自分たちの荷物を網棚へ持ちげ、元に置くさな貴品バッグだけを持って通側に腰をろしました。
発のベルが鳴り響く、通には席を探す乗客たちが次々と流れ込んできました。 自由席はあっというに満席になり、通にもち客が始めています。
その混みう通を、あの派な母親が娘のを乱暴に引っ張りながら歩いてきました。
「えー、嘘でしょ!? もう席も空いてないじゃないの!」 母親は通の真んでち止まり、声で満を漏らしました。
「ママ、痛いよ……座りたい……」 「しなさい! 誰かがりるまでってるしかないでしょ!」
母親は片に、駅の売で買ったばかりの蓋付きのアイスコーヒーのプラカップを持っていました。 自由席の通でち止まり、周囲の座っている乗客たちを睨みつけるように見回しています。
ドアが閉まり、列がガタガタと揺れながらホームをれました。
広告
窓のの景がゆっくりと方へ流れ始め、パニミが「わあ、いた!」と声を弾ませました。 実の両親の顔をい浮かべ、私もようやく肩の力を抜いて息を吐きしました。
ところが、発してほんの分ほど経った頃のことです。
「ちょっと、そこ通してよ」
通側から、トゲトゲしい声がってきました。 見げると、あの母親がたい目をして私たちの座席の横にっていたのです。 コーヒーを持ったを、自然に私たちの座席の背もたれへもたれかけさせていました。
「……はい? 何か御用でしょうか」 私が構えた、次の瞬でした。
「ああっ、危ない!」
わざとらしい叫び声とともに、母親の首が自然に傾きました。 カップの蓋がれ、に入っていた茶い液体と氷が、私の胸元めがけて直線にり注いできたのです。
バシャアッ!
「キャッ!?」 たい衝撃が、私の胸元から太ももにかけて広がりました。
今のために調した、真っなリネンのブラウス。 それが瞬にして、ドス黒いコーヒーのきな染みでぐっしょりと濡れそぼってしまったのです。
「たい……!」 氷がスカートの隙に入り込み、コーヒー独特の苦い匂いが内にち込めました。
パニミが驚いてちがり、「ママ! 丈夫!?」と叫びました。
見げると、カップをにした母親が、元に瞬だけ歪んだ笑みを浮かべていました。
けれどすぐに、わざとらしいおどけたような表を作って両を広げたのです。
「あら嫌だ、ごめんなさい! が急にガクンと揺れたものだから! ワザとじゃないのよ、ワザとじゃないから許してね!」
謝罪の言葉をにしながら、その瞳はまったく笑っていませんでした。 それどころか、濡れ鼠になった私の姿を、どこか値踏みするように見ろしていたのです。
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
腎臓をあげた私に離婚届――夫の隣には若い女
三歳の娘を育てる裕子は、重い腎臓病になった夫・英司を救うため、自分の腎臓を一つ提供した。ところが手術後、体調を崩した裕子を待っていたのは、夫からの暴言と冷たい仕打ちだった。やがて英司は、若い女との新生活を理由に離婚届を突きつけ、娘まで奪おうとする。そんな裕子の味方になったのは、意外にも義母だった。命を救ってくれた妻を平然と捨てようとする夫。すべてを失いかけた裕子は、娘と自分の人生を守るため、反撃を決意する。夫婦|真実|裏の顔|真相|第二の人生1.4万字5 416 -
完結第12話
新婚旅行に便乗する義母を空港に残した結果
新婚旅行で大阪へ向かうみちると健二。ところが、何かと二人の予定に入りたがる義母・恵子が「私の航空券も買って!」と空港から電話をかけてきた。何度断っても諦めない義母を避け、二人は夜行バスで出発。これで夫婦水入らずの旅行になるはずだった。しかし恵子は、二人の荷物に目をつけ、とんでもない方法で後を追おうとする。さらに健二の友人・圭司の借金騒動まで絡み、大阪では思いもよらない珍事件が発生。暴走する義母と、それに振り回される人々のドタバタコメディ。嫁姑|夫婦|真相1.3万字5 477 -
完結第16話
午前3時、警察から「夫を迎えに」――私は独身なのに
神堂グループを率いる美桜のもとに、午前3時、警察から奇妙な電話が入る。「ご主人を迎えに来てください」。しかし、美桜は一度も結婚したことがなかった。保護された男性が持っていたのは、5年前の爆発事故で亡くなったはずの婚約者・一条蓮との婚姻届の控え。半信半疑で警察署へ駆けつけた美桜は、信じられない光景を目にする。空白の5年間に何があったのか。そして、なぜ今になって彼が現れたのか。かつての事故をめぐる疑惑と、身近な人物の隠された思惑が、少しずつ明らかになっていく。夫婦|裏の顔|真相2.7万字5 531 -
完結第10話
144枚の給与明細
金型の仕上げ職人として20年以上の経験を持つ宮下明。会社の危機を救うほどの腕前を持ちながら、12年間、月給は19万円のままだった。それでも創業者への恩を忘れず、黙々と働いてきた宮下だったが、ある日、専務から突然の配置転換を命じられる。職人としての誇りを踏みにじられ、退職を決意した翌朝、会長が自宅へ駆けつけてきた。「年収1200万円では足りないのか?」――その一言から、会社の金をめぐる不可解な事実が明らかになり始める。職場逆転|第二の人生|修羅場1.7万字5 275 -
完結第10話
消えた卵の秘密
茜の家では、父の再婚相手・美津江が届けてくれる卵が、なぜか毎回なくなっていた。夜中につまみ食いをする夫の陽斗を疑っていた茜だったが、ある日、卵をこっそり持ち出す小学一年生の娘・凛を目撃する。「急に卵が嫌いになった」と泣く娘。しかし、いつもは素直な凛の様子はどこかおかしかった。そんな中、美津江から再び大量の卵が届く。茜は娘のために手作りプリンを用意するが、それを食べた美津江は、材料を聞いた途端に顔色を変えてしまう。娘が必死に隠していた秘密とは、いったい何だったのか。祖父母と孫|真実|真相|第二の人生1.4万字5 404 -
完結第12話
竹林の向こうの白衣
八歳のティアラは、重い喘息を理由に山奥の療養施設へ預けられた。だが本当の理由は、両親が天才と呼ばれる兄の教育に専念するためだった。家族に忘れられた少女を支えたのは、施設の人々と小児科医の竹之内先生。やがて彼女は自分の名前を変え、医師になる道を選ぶ。努力の末に脳神経外科医となった洋子は、ある冬の深夜、救急搬送された患者と向き合うことに。かつて自分を置き去りにした家族との思いがけない再会が、彼女の人生を大きく揺さぶり始める。兄弟姉妹|真相|絶縁|親子関係1.7万字5 405 -
完結第12話
五歳の母ちゃん
両親を事故で亡くしたシンジは、五歳の妹・楓を育てながら、昼も夜も働いていた。そんなある日、楓が「母ちゃんが来た」と言って連れてきたのは、同じ保育園に通う五歳の少女・リサだった。ところが彼女は、家族しか知らない昔の出来事を次々に話し、シンジを息子のように気遣う。信じられない再会に戸惑いながらも、兄妹は少しずつ彼女に心を開いていく。しかし、リサ自身の記憶が薄れていくという異変が起こり始める。もう一度母に会いたかった兄妹が、大切なものを守るために選ぶ道とは。兄弟姉妹|真実|真相|第二の人生1.2万字5 213 -
完結第10話
出産3日目、1億円の入金直後に夫が離婚届
娘を出産してわずか三日。病室で体を休めていた立花玲奈の口座に、父から譲り受けた株式の特別配当金、一億円が振り込まれた。その直後、見舞いに来た夫・直樹が突然離婚届を差し出す。しかも、財産分与として五千万円を要求し、自分の会社への融資継続まで求めてきた。夫の本性を知った玲奈は、追加融資と家族カードを止め、離婚に向けた準備を始める。ところが、カードの利用明細を調べると、身に覚えのない高級ホテルや宝飾店への支払いが次々と見つかり……。夫婦|真相|親子関係1.8万字5 387